2025-01-15
更新
大川 嘉雄
有限会社大川板金 取締役
創業50年、板金加工・機械加工等の金属加工を手掛ける有限会社大川板金で取締役を務める。町工場の3K(きつい、汚い、危険)イメージを変え、カッコいい人達で溢れる職場を目指している。
今回は、ピン加工の種類やピンの材質について解説します。
ピンとは、ボルトナットの抜け止め・製品同士の接合・位置決めなどに用いる部品です。
一口にピンと言っても、割ピンや平行ピン、スプリングピンなどの豊富な種類があります。また、使われている材質も種類が多くあります。
ピンは、形状や材質の種類の他にも、目的に応じて特殊な加工を施したり、ピンを塑性変形させて抜け止め効果を得たりと、加工により違った機能を持たせているものもあります。
参考:ピン製作のおすすめ工場をご紹介!ピン製作時のポイントについても解説!
ピンとは、ボルトナットの抜け止めや、複数の部材の接合、部材の位置決めなどに使う棒状の製品のことを指します。ピンは、割ピン・平行ピン・スプリングピン・テーパーピンなど、種類が豊富にあります。ピンの用途は、留め金・位置決め以外にも、カシメ・模型の関節・単管パイプと固定ベースの接続などとさまざまです。
ピン加工とは、上記で紹介したようなピンを製作すること以外にも、カシメをつけるなどのさまざまな加工を総称したものを意味します。
引用元:こだま製作所 ピン 針先加工
ピン針先加工は、ピンの先端を尖らせた加工のことです。針のような鋭い先端の加工はピン針先加工、先端が緩やかに傾斜させた加工はテーパー加工になります。
ピン針先加工やテーパー加工は、主に電子部品の端子として用いるコンタクトピンなどに採用されています。コンタクトピンは、メス側への挿入がスムーズに行えるように、先端が細く設計されています。
カシメ加工は、ネジ留めなどの代わりに、ピン(リベット)を用いて複数の部品を接合することを指します。
接合したい部品に専用のピン穴を設けて、ピンを差し込み、ピンの先端を変形させて固定します。
カシメは、接着剤を使用しない接合のため、材料費を抑えられて簡単に接合できるのが特徴です。また、ネジのように振動しても緩むことがありません。
引用元:太陽工業株式会社 ピン出し加工
ピン出し加工は、1枚の金属板から一体でピンを設ける加工のことを指します。
通常は金属板とシャフトをカシメて製作していたのに対し、ピン出し加工では、絞りや冷間鍛造加工を用いて一体化した状態で製作しています。
ピン出し加工は、さまざまな形状のピンが製造できるほか、カシメの工程をなくすことでコスト面でメリットがあります。また、金属板とピンが一体なので、強度面も優れています。
例えば、割ピンやスプリングピンを使った接合のメリットは、タップ加工やリーマー加工のような精度の高い加工は必要なく、ドリル穴でも接合ができる点にあります。
参考:穴開け加工とは【専門家が解説】タップ加工、リーマー加工との違いを説明!
また、カシメ加工による接合では、手順さえ知っていれば作業の難易度は低く、ボルトナットのように振動で緩む心配がないなどのメリットがあります。
ピン針先加工やピン出し加工では、それぞれで新しい特性を付与しているため、使用時の使い勝手や機能性を良好にしています。
ピンで採用されている材質は、鉄・ステンレス・アルミニウム・チタン・銅・真鍮などとさまざまです。材質は、それぞれの特性や使う場所、コスト面などを考慮して選択します。
また、ピンは水分が多い環境かつ、相手部品と異なる材質を用いた場合、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)によりサビが発生しやすくなる点に注意が必要です。異種金属接触腐食は、水中で異なる金属が接触したときに発生する腐食のことで、例えばステンレスやチタンなどの金属と鉄の材料が接触すると、腐食が促進されてしまいます。
鉄は、鋼とも呼ばれるもので、一定の強度を有しながらもコスト面に優れた材料です。鉄は大きく分けてSS材とSC材がありますが、ピンのような機械部品についてはSC材が採用されています。生地のままではサビやすいので、クロメートやユニクロめっきのような表面処理を施しているものが多いです。
ステンレスは、耐食性・強度に優れた材料です。他の金属に比べてサビに強いため、家電や医療機器、食品関連などの用途に適しています。
ステンレスは、材質によってマルテンサイト系・フェライト系・オーステナイト系などの種類に分類されますが、ピンで採用されているステンレスの種類は、SUS303やSUS304などのオーステナイト系を採用しているものが多いです。オーステナイト系は、他の種類に比べて耐食性が比較的高い傾向にあります。
参考:【SUS(ステンレス)種類と見分け方】用途・特徴を専門家が徹底解説!
アルミニウムは、スチール・ステンレス・銅などに比べて比重が軽く、軽量化目的で採用されることの多い材料です。その他にも、酸化皮膜を形成するため、サビに強いのもポイントです。加工性も良好で、複雑な形にも対応しやすい特徴があります。
参考:【アルミの基礎】アルミの加工上の特性やメリット/デメリットまで徹底解説!
チタンは、他の金属に比べて難削材であるものの、強度・軽量性に優れた材料です。また、アルミニウムのように酸化皮膜を形成するため、耐食性にも優れています。
参考:【チタンの特徴と用途とデメリット】チタンは他の金属とどう違うのか
銅は柔らかく、伸ばしたり押し込んだりして形を変えやすい材料です。また、耐食性があり、光沢のある美しい外観も特徴的です。銅は金属のなかでも熱伝導率や導電性が高く、電子機器にも多く採用されています。
真鍮は、黄銅とも呼ばれる材料で、銅に亜鉛を混ぜた合金です。真鍮は、鋳造や塑性加工が容易で、機械的性質や耐食性にも優れた材料です。その他にも、コスト面や外観性も良好で、多くの製品に採用されています。
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