鉄と鋼の違いについて解説!【専門家が語る】鉄の種類についてもお伝えします!

板金加工の基礎

鉄と鋼の違いについて解説!【専門家が語る】鉄の種類についてもお伝えします!

一口に「鉄」と言いましても、「○○鋼」や「SS○○」などたくさんの用語があり、お困りではないでしょうか。

本記事では、「鉄」と「鋼(はがね)」の違いから、鉄の種類、そして使い分けについても解説します。


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鉄と鋼の違いについて

引用元:Pixabay

鉄と鋼の違いを分けるのは、含まれている炭素量(C)です。

炭素量の違い

・鉄:およそ0.02%未満の炭素を含む

・鋼:およそ0.02%~2%ほどの炭素を含む

鉄と鋼はどちらも鉄鉱石から作られ、鉄(Fe)と炭素(C)からできています。そして、炭素量が多い方が硬く強くなるという傾向があります。

極めて純度の高い鉄は、脆く酸化(イオン化)しやすいので、工業製品にはなりません。そして、鉄は加工も難しく柔軟性に乏しいので、一般的にそのまま使われることはありません。

は、鉄により強度を持たせるために、意図的に炭素量を増やした合金です。私達が普段の生活で触れている「鉄」というのは、つまりこの鋼のことです。

鋼は鉄に比べ、強度と「靭性(じんせい)」と呼ばれる粘り強さが優れています。さらに、加工もしやすいので、一般的に用いられている合金です。

 

鉄の特徴

引用元:Pixabay

純粋(100%)な鉄(Fe)は、実はほとんどの人は見たことがありません。純粋な鉄は、私達が知っている灰色のような色ではなく、白い光沢を持っています。

しかし、純粋な鉄は酸化(イオン化)しやすい傾向があり、脆くその形を保つことが困難でもあります。鉄鉱石も鉄のこの特徴を持っているため、赤さびのような赤茶けた色をしています。

逆に、イオン化(酸化)しにくい金、銀、プラチナといった金属を指して「貴金属」と呼ばれています。イオン化しにくい貴金属は、色が美しく加工し易いという特性を持っていますが、同時に他の金属と混ぜて化合物を作ることには向いていません

鉄に触れた時、「鉄臭い」や「金属臭い」などと表現することがありますが、実際には鉄それ自体にはにおいはありません

私達が「鉄臭い」と感じるにおいは、鉄と人間の汗や皮脂が反応し、鉄が酸化したことによって出たにおいです。

純粋(100%)な鉄は脆く酸化しやすいため、加工にも適しません。しかし、これが99.9999%となると、硬く強く、しなやかな伸びや引っ張りにも強いという性質を持つようになります。

このような性質は「塑性(そせい)」または「可塑性(かそせい)」と呼ばれ、加工のし易い特性でもあります。99.9999%になった鉄には、この高い可塑性があったため、世界中で金属加工に用いられるようになりました。

 

鋼の特徴

 引用元:Pixabay

鋼は、鉄に0.02%~2%ほどの炭素を混ぜた合金です。私達が普段の生活で親しんでいる「鉄」というのは、この鋼のことを指します。また、鋼は「炭素鋼」と呼ばれることもあります。

炭素量が増えるほど、鋼は強く硬くなっていきます。しかし同時に、「靭性(じんせい)」と呼ばれる粘り強さやしなやかさが失われてしまいます。

炭素量が増えすぎると、強く硬くはなりますが、強度の限界を超えると折れてしまいます。ですから、「靭性」が高いということは、折れにくく粘り強いということになります。

強靭で加工のし易い鋼ですが、炭素量によって高い硬さとしなやかさを同時に得ることはできません。目的に応じて、硬さと靭性のバランスを決めることが必要になります。

炭素含有量が0.02%~0.30%以下の微量な鋼は、「軟鋼(なんこう)」や「低炭素鋼(ていたんそこう)」と呼ばれています。

「軟鋼」や「低炭素鋼」は建築資材や水道管に用いられ、私達の身近にある「鉄」でもあります。

鋼はそれ自体が合金ですが、さらに合金元素を加えることで「合金鋼(ごうきんこう)」になります。

「合金鋼」の中で、合金元素が5%以下のもの「低合金鋼(ていごうきんこう)」と呼ばれます。低合金鋼は、車の車体、鉄道のレール、橋などに用いられる工学プレート、そしてパイプと、社会の様々な場面で使用されています。

 


鉄の種類

「鉄」と「鋼」の厳密な違いについて解説しましたが、さらに詳しく鉄(鋼)の種類について見ていきましょう。

鉄鋼材料(鋼材)の中でも広く一般的に使われているのが、「SS材」と「炭素鋼鋼材S-C系」です。

「SS材」と「炭素鋼鋼材S-C系」の違いは、JIS(日本工業)規格の規定の違いです。

SS材・炭素鋼鋼材S-C系の違い

・SS材:引っ張り、伸びなどへの「強度」によって規定

・炭素鋼鋼材S-C系:「炭素含有量」によって規定

スポーツの競技によっては、「体重別」というように選手の体重によって階級を規定します。この場合、体重が同じなら身長の違いは考慮されません。

鋼材についても、「強度」で規定するか、「炭素含有量」で規定するかによって種類が分かれます。

「強度」で規定されたSS材は、炭素含有量については考慮しません。しかし、炭素含有量が多ければ強度も増すので、自ずと「強度」が決まれば炭素含有量も分かるということになります。

逆に、「炭素含有量」で規定された炭素鋼鋼材S-C系は、「引っ張りや粘り強さの強度」ではなく、炭素含有量による「硬さ強さ」に焦点を当てて規定したものです。

①SS材:「引っ張りや粘り強さ」に焦点を当てた鉄鋼材料

②炭素鋼鋼材S-C系:「硬さ強さ」に焦点を当てた鉄鋼材料

このように言い換えることもできます。

 

①SS材

 引用元:Pixabay

SS(Steel Structure)材は、正式には「一般構造用圧延鋼材(いっぱんこうぞうようあつえんこうざい)」という鋼材の規格です。

中でもSS400は、最も広く流通しています。「SS○○」の「○○」にあたる数字は、引っ張り強さ(N/mm2)の下限を示しています。SS400の場合なら、400~510N/mm2となります。

Structure(構造)の頭文字をとったSS材は、構造用に用いられますが、汎用性の高さから様々な分野で使用されています。

特にSS400は、比較的安価であることから、板材・棒材の形状で多く流通しているので、入手も容易です。炭素含有量は約0.15%~02%ほどで、軟鋼(低炭素鋼)にあたります。

SS材は成分規格がなく、溶接部材には不向きです。特に板厚が厚くなれば、より溶接性も悪くなるので、SM材といった溶接向きの鋼材を用いることになります。

 

②炭素鋼鋼材S-C系

引用元:Pixabay

炭素鋼鋼材S-C系は、正式には「機械構造用炭素鋼鋼材」で、「SC材」と呼ばれることもあります。

SC(Steel Carbon)材で最も一般的なのは、S45Cです。「S○○C」の「○○」に数字は、炭素含有量を示しています。S45Cの場合は、0.45%前後の炭素(Carbon)を含んでいるという意味です。

「炭素含有量」で規定したSC材は、「硬さ強さ」に焦点を当てています。SS材の代表的存在のSS400とS45Cを比較すると、S45Cの方か硬度・強度が共に高いです。

価格についてもS45Cの方がSS400に比べ高く品質も高いので、重要部品や精密機械の部品などに用いられています。


SC材は、炭素含有量といった成分が規定されており、加工性と溶接性が共に良いことも特徴です。

熱処理を施し易いので、使用する側にとっては、SS材よりも自由度が高いというメリットがあります。しかし、コストを考慮すれば、熱処理が必要でない場合は、わざわざSC材を使わずにより安価な材料を選択することになります。


 

SS材と炭素鋼鋼材S-C系をどう使い分ければいいか

SS材と炭素鋼鋼材S-C系(SC材)は、それぞれ必要な場面で使い分けられています。

①SS材の用途

SS材は「Steel Structure」の頭文字であることから、主に「構造用」に向いています。しかし、その汎用性から、ビルや橋といった土木建築だけでなく、自動車などの工業製品にも用いられています。

建築でも多く使われているSS材ですが、「引張強さ」に規定された弾性の面では優れた特性を持っています。ですが、SC材のように「硬度・強度」に規定されてはいないので、SS材は建築の主要な部材には使われません

”大黒柱”のような主要な部材(大梁など)には、SS材よりも硬度・強度に優れた鋼材が用いられます。この場合、SS材は弾性が求められる主要部材の次に重要な二次部材に用いられています


② 炭素鋼鋼材S-C系(SC材)の用途

炭素鋼鋼材S-C系(SC材)は、「機械構造用炭素鋼鋼材」の名称通り、機械の部品や部材などに使われます。

SC材は硬度・強度に優れていますが、さらに熱処理で加工ができるというメリットがあります。溶接や熱処理に向かないSS材に比べ、SC材は硬度・強度が求められ、さらに熱処理が必要な場面で選択できるでしょう。

ただ、SC材はSS材に比べ価格が高くなります。SC材を用いる場合、汎用性の高いSS材が苦手とする場面で使用すれば、コスト面でも合理的です。


以上のように、硬度・強度が求められる重要部品や部材にはSC材を、それ以外は汎用性とコストパフォーマンスに優れたSS材と使い分けることができます。


 

まとめ

鉄と鋼の違いから、それぞれの特徴や鉄の種類について解説しました。

鉄と鋼の違いは、炭素の量です。また、鉄の種類には、それぞれに規格、特徴や適した用途が異なります

専門的知識が多く、どの鉄を選べばいいのかお悩みの時は、ぜひMitsuriにご相談下さい。

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