2025-01-15
更新
銅と言えば、日本人なら誰もが使っている10円玉やオリンピックの銅メダルなんかが真っ先に思い付くでしょうか。実は銅は10円玉だけでなく、1円玉以外のすべての硬貨に使われていたりするんですよ。
今回は私たちの生活の中に意外なほど溢れている銅のについて紹介していきましょう。まず銅の基礎知識を始めとして、順に銅の特徴と用途、そして最後に真鍮について解説していきます。
銅と言うと金銀銅というイメージからちょっと高価なものという印象があるかもしれませんが、製造業においては重要な加工素材です。
現在、金属資源として大量に使われている銅素材ですが、実は太古の時代から利用されていて、人類が最初に使い始めた金属と言われています。
青銅器時代と呼ばれる時代がある通り、銅は青銅器や和同開珎などの貴重品から武器や農具といった一般的に使われる道具まで、昔から大変よく使われていた金属なのです。
銅の種類には先ほどから出ている青銅のほか、純銅や真鍮、白銅などがあります。この記事でも取り上げる真鍮(しんちゅう)とは銅の仲間の一つなんですね。
真鍮は別の言い方で黄銅(おうどう)と呼ばれる黄色い銅で、五円玉や仏具などに使用されます。
純銅とは工業用に製造される赤色の銅のことを言います。普通の銅は多くの不純物を含んでいるので、製品や部品の材料などに扱う際は、不純物を可能な限り取り除いた高純度な銅にします。そして、その純銅にすずや亜鉛を加えることで青銅や真鍮となり、色彩も変わるのです。
銅の種類を硬貨に沿って紹介していくと、5円玉は真鍮、10円玉は青銅、50円玉と100円玉は白銅、500円玉はニッケル黄銅で作られています。
銅の種類と使われている硬貨
5円玉=真鍮
10円玉=青銅
50円玉・100円玉=白銅
500円玉=ニッケル黄銅
10円玉は赤色ですが純銅ではなく青銅なんですね。色が赤いのは青銅の材料であるすずの割合が少ないためです。ちなみに1円玉の材料はアルミですね。銅ではありません。
銅は他にも洋白、クロム銅、ベリリウム銅など普段聞き慣れない種類が数多くあります。
銅は優れた性質を持ち、いろいろな加工方法をとれるため、身の回りの製品から工業製品まで幅広く活用されています。
その分野は工業だけでなく、医療・船舶・建築業など様々。
それでは、現代だけでなく古来より人々の支えになっている銅の特徴について理解を深めていきましょう。
銅の特徴
①加工性が高い
②耐食性が高い
③熱や電気が伝わりやすい
④抗菌作用がある
⑤見た目が綺麗に仕上がる
銅は柔らかいので伸ばしたり押し込んだりして形を変えやすい金属です。そのため銅線、銅板、銅管、銅棒など多種多様な製品を作ることができます。
加工の方法も曲げ加工や切削加工、絞り加工と様々な方法がとれるため、複雑な形にしたり細かい模様を描いたりすることもしやすい金属です。
また、銅は金属としての寿命も長いため、市販の製品以外にもバルブや歯車といった長期間の使用が求められる部品にも多用されます。
耐食性とは錆びのことです。銅は他の金属と比べて錆びにくい性質を持っています。
たまに何百年、何千年も前の埋蔵品が出てきたというニュースを見聞きすることがあると思いますが、それは銅が錆びにくいのが一躍買っているんですね。
この錆びにくい性質を利用して、屋根や船のスクリューなど建築や船の材料としてもよく使われます。
銅は熱が伝わりやすく電気を通しやすい金属です。
もともと金属は熱や電気が伝わりやすい素材ですが、銅は金属の中でも特に優れた熱伝導性と導電性を持ちます。
その特性から熱交換器や電子機器の材料として多用され、今やエアコン、冷蔵庫、パソコン、携帯電話など生活に欠かせない金属となっています。
銅には殺菌作用があります。
金属に殺菌作用というとピンとこないかもしれませんが、科学的な実証実験により何種類もの細菌に対して効果があることが分かっています。有名なところではO-157やノロウイルスなんかにも殺菌効果があるようです。
硬貨の製造には銅が採用されていますが、これも殺菌効果があるというのが理由の一つなのです。
銅は赤、黄、白といった様々な色の種類があり、仕上がりにも鮮やかな色調や光沢が出せるため綺麗に仕上がります。
硬貨も長年使い続けられたお金は黒ずんでいますが新品は綺麗ですよね。
硬貨以外にも銅で作られた製品や建物は鉄製やアルミ製のものより高級感が漂います。
特に真鍮は金色になるので高級感がグッと増します。
手間は掛かりますが手入れをすることで綺麗な色合いを持続させることができますし、他の金属よりも錆びないので製品としても長持ちします。ただし、値段も相応に見た目通り高いのがネックだったりしますね。
では、優れた特徴の多い銅が何に使われているか見ていきましょう。
生活の中でいろいろな使われ方をしている銅ですが、パッと思い浮かぶものはそれほどないかもしれません。ですが銅は、隠れたところで人々が暮らしていくのに欠かせないほど広い分野で使われています。
用途:鍋、やかん、フライパン、抗菌スポンジなど
鍋やフライパンには鉄製、アルミ製、ステンレス製といった種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
銅で作られたフライパンには熱が広がりやすいというメリットがありますね。熱を通しやすいという銅の特徴が活かされているのです。
他にも、銅の性質である錆びにくかったり殺菌効果がある点も、やかんやスポンジなどの日用品に備えることができます。
ただ、銅製の日用品は重い・値段が高いといった手を出しにくい点がネックとなっている側面がありますね。そのため、安くて扱いがお手軽な鉄製やアルミ製の商品が使われていることが大半で、銅製の日用品を目にする機会はあまりないという背景が伺えます。
用途:テレビ、パソコン、エアコン、スマートフォン、冷蔵庫など
銅が生活必需品であることが分かるラインナップですね。主に銅の導電性や熱伝導性を利用した製品に使われています。
熱伝導性が高いということは熱くなりやすい反面、冷めやすい性質も持つことになるので、エアコンや冷蔵庫を作るのに適しているのです。
また、銅の加工がしやすいという利点も製品内部の細かい部品を作るのに重宝されています。
用途:自動車のガスケット、エンジン、ブレ-キパイプ、船の船底など
自動車には多くの銅製の部品が組み込まれています。
エンジンやブレーキパイプなどの走るための部分以外にも、エアコンやオーディオ、カーナビなど多くの機能が求められる車は、通電性の良い銅が電子機器に数多く使用されています。
船では銅の耐食性が役に立っています。船のスクリューにはアルミニウム青銅という銅が使われていたり、船の船底には銅が塗られていたりします。
引用元:銀星の瓦版
船底とは画像の赤く塗られている部分ですね。
実はこの部分はデザインのためではなく、水棲生物が引っ付かないようにするためと錆びにくいようにするために船底を守っているのです。
船底にフジツボや海草などの水棲生物が大量に引っ付くと、船の重量が増してしまいスピードが落ちるのに加え、余計な動力を消費して燃費が悪くなります。
そういった船の劣化を防ぎ安全な航行を維持するため、船の底の部分には銅が含まれる赤い塗料が塗られているのです。
用途:ドアの取っ手、家の屋根板、電柱の電線、配管など
家の屋根板や給水管・ガス管などの配管は錆びにくいように銅が使われることが多いですね。
ドアの取っ手は錆びにくさにプラスして殺菌作用も加味して銅が使用されています。電柱の導線は伝導率の良さから昭和の頃は銅が使われていました。
今となっては軽くてそこそこ伝導率の良いアルミの電線がほとんどですが、一昔前までは銅が主流だったのです。
引用元:モノタロウ
電線こそアルミに取って代わられましたが、ワイヤーや画像のような銅線は今でも耐食性や柔軟性を買われ銅が重宝されています。
用途:貨幣、ばね、ボルト、銅像、金管楽器など
貨幣や銅像は言わずもがな、ばねやボルトなどの機械部品にも銅素材が使われることがあります。
特にトランペットやホルンなどの金管楽器は主に真鍮や洋白を古くから材料にしています。
錆びにくい・加工がしやすいといった機能的な面だけでなく、材料によって音の響きや重厚感が変わってくるので、より重要な役割を担っていると言えます。
真鍮(しんちゅう)とは銅に亜鉛を混ぜた合金で、黄色、または金色をした銅のことです。先にも説明しましたが真鍮は黄銅(おうどう)とも呼ばれます。元が銅なので金属としての性質も銅と似ていますね。
黄銅は知名度としては青銅に劣るものの、実は使用頻度で言えば黄銅の方が圧倒的に高くなります。
銅を伸ばしたり圧縮したりして加工する製品を伸銅品と言いますが、その伸銅品の内もっとも多く使われるのは黄銅です。そして次に使われるのが銅(純銅)で、銅の使用率は黄銅と銅でほとんどを占めていると言われています。
青銅は一般的に有名ではあるものの、そこまで使われている銅ではないんですね。
真鍮は5円玉や金管楽器の他、その綺麗な色合いからアクセサリーやアンティークに使われていたりします。画像のネックレスやアンティークも金色に輝く色彩がとても美しく高級感がありますね。
ただし、真鍮は銅が素材なので、時間が経つと酸化により黒ずんでしまいます。5円玉も製造されたばかりの硬貨は綺麗ですが、何年も経つと汚れたように黒くなってしまいますよね。あれは空気や人の手に触れたことで酸化してしまっているのです。ですが真鍮は酸化により黒ずんでしまっても、専用のクリームやお酢で磨いて手入れをすることにより元の輝きに戻すことができます。定期的に手入れをするのは少々手間ですが、真鍮製の宝物はいつまでも綺麗なままで保っておくことが可能なのです。
銅について説明してきましたが、使いやすい・性能がいい・美しいと3拍子そろった金属でしたね。想像よりも使い道が多い素材だったのではないでしょうか。
銅は加工素材として便利なだけでなく、古くから装飾品として人気がある奥ゆかしさがあります。
スマートフォンや車の部品などの新しい製品から埋蔵品やアンティークといった骨董品まで、用途として幅が広いだけでなく大昔から活用されている歴史の長い金属なんですね。
Mitsuriでどんな取引が行われている?
新しい機能を使ってどう新規取引につなげる
そんな疑問に毎月メールでお届けします