2024-09-18
更新
染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
ユニクロめっきとはいったいどのような特徴があるのでしょうか?めっきとは物体に対して金属の膜で覆うことを指しますが、ユニクロと聞いてどのような処理がされているかをご存知の方は少ないかもしれません。
この記事では「ユニクロめっきとは何か」について解説するだけでなく、亜鉛めっき・クロメートの違いについても解説します。
ユニクロめっきとは、電気亜鉛メッキされた材料に対してフッ化物を含んだ溶液でクロメート処理したもののことを言い、一般名称は「光沢クロメート」とも呼ばれています。色合いはシルバーに少し青みがかったような見た目です。
クロメート処理は、亜鉛・アルミ・マグネシウムなどに対して六価のクロム酸を主とした処理液で表面処理することを言います。この処理をすることで一部の六価クロムが還元されて三価の水和クロムによる無機高分子被膜が形成され、残りの六価クロムとの相乗効果で耐食性を増加させるのです。
ただし六価クロムには有害性があり、RoHS指令(*)と呼ばれるEUの特定有害物質の使用制限法に違反しているため、EUではユニクロめっきされた商品は販売できません。また、EU以外の地域での六価クロムを使用した商品でも、EUへ輸出する場合は使用制限に抵触するため注意が必要です。特に自動車や電気電子機器などの部品を多く使用する業界では、メーカー側だけでなく協力会社も含めて、RoHS指令に抵触しないように管理しなければなりません。規制のトラブルを避けるためにも、協力会社は納入仕様書をよく確認して、めっきの選択をする必要があるでしょう。
ここで、六価クロムを含有しためっき品は使用不可という仕様の場合、ユニクロめっきの代わりに何を使えばいいのかという疑問が出てきます。その解答としましては、現在ではユニクロめっきの代替品として、「三価ホワイト(別名:三価クロメート)」というめっきが流通されています。
三価ホワイトは防錆力が通常のユニクロめっきと同等に備えていること。また、有害性がなく、RoHS指令の規制対象外として使用することが可能です。以上のことから、三価ホワイトのめっきをオススメする、または売りにしている企業は多いです。(*)RoHS指令
ここではユニクロめっき・亜鉛めっき・クロメートの違いについて紹介します。
防錆力は、以下の順で効果が高いです。
【クロメート>ユニクロめっき>亜鉛めっき】
クロメートとユニクロめっきは亜鉛めっきを下地とし、亜鉛めっきよりも更に防錆力を高めています。そしてクロメートとユニクロめっきは、どちらもクロメート処理が施されていますが、使用されている溶液が異なり、結果クロメートの方がクロムの含有量が多いことから、ユニクロめっきよりも防錆力が高くなります。クロムには金属の表面を不働態被膜と呼ばれる薄い膜で覆い、サビから守る効果が期待できます。
ユニクロめっきは前述でもお伝えしたように、電気亜鉛めっきされた材料に対してフッ化物を含んだ溶液でクロメート処理したものになります。正式名称は「光沢クロメート」と呼ばれ、シルバーに青みがかった色合いが特徴です。クロメート処理には、防錆力を高めるだけでなく、亜鉛皮膜の変色を防ぐことや光沢を持たせて見た目を良くするといった役割もあります。
また、ユニクロめっきには、クロメート処理をした際に六価クロムが含まれるため、EUのRoHS指令の規制対象品に該当します。RoHS指令に対応するために、六価クロムを使うことを禁止する仕様がある場合は、防錆力が同等でもある三価ホワイトのめっき品を使うなどの対応をする必要があるでしょう。
亜鉛めっきには「犠牲防食」と呼ばれる防錆効果により、鉄を腐食から守ってくれます。
もし鉄が亜鉛めっきではなく樹脂系塗装だけ施した状態だと、キズが付いてしまった時点で、鉄が空気中の酸素と反応し赤錆が発生して、強度の低下および破損といった問題が出てしまいます。
一方、亜鉛めっきの塗膜にキズが付いて鉄の素地が露出してしまった場合、亜鉛が鉄よりも優先して溶けだし、酸化被膜を作られて鉄の腐食を防止してくれます。
亜鉛めっきは大きく分けて「電気亜鉛めっき」と「溶融亜鉛めっき」の2種類に分けられます。
電気亜鉛めっきは材料を亜鉛の槽に浸し、電解することで亜鉛の被膜を形成します。被膜の厚みが2~25μmと非常に薄く、均一に亜鉛が付着していることから仕上がりが綺麗なことが特徴です。被膜が薄いことから、寸法の精度が厳しい場合にも適していると言えるでしょう。電気亜鉛めっきは防錆効果を高めるために、ユニクロめっき・クロメートの下地として合わせて処理されていることが多いです。
溶融亜鉛めっきは別名「ドブづけ」「天ぷらめっき」とも言われるように、材料を高温で溶かした亜鉛の槽に浸して亜鉛を付着させます。製品にもよりますが、電気亜鉛めっきと比べると膜厚は8~125μmと少々厚みがあるため耐食性には優れています。しかし、膜厚があるぶん、寸法精度を必要とする部材には適していないことと、高温の亜鉛槽に浸すため、材料が薄いと歪んでしまう恐れがあるので注意が必要です。
参考記事:電気亜鉛めっきとは【3分でわかる】専門家がわかりやすく解説します!
クロメートの一般名称は「有色クロメート」とも呼ばれています。クロメートは二層の被膜から成り立っており、下地に電気亜鉛めっきを有します。製法としては電気亜鉛メッキの上から六価クロムを主成分とした溶液に浸漬させることでクロメート被膜を生成。クロメート処理された材料は虹色がかったような金色の見た目になり、耐食性に優れた性質を有します。
六価クロムの含有率はユニクロめっきよりもクロメートの方が大きく、それにともない耐食性もユニクロめっきより優れています。クロメートもユニクロめっきと同様にRoHS指令に抵触してしまうため、納入仕様書をよく確認したうえで使うようにしてください。
参考記事:クロムの毒性(三価・六価)を解説
ボルトナット類はユニクロめっきが採用されている最もポピュラーな商品と言っても良いでしょう。上図は六角ボルトナットの写真ですが、キャップスクリューやアンカーボルトといった、ボルトナット類全般でユニクロめっきは使用されています。土木関係だと、ボルトナットは景観性をそこまで重視しない箇所にもよく使われるので、サビのない洗練された見た目のステンレスよりも、比較的安価で購入できるユニクロめっきを使うことが多々あります。
クサリ類もボルトナットと同様にユニクロめっきが施されているものが多いです。こちらもクサリのみではなく、カンやシャックルにもユニクロめっきが使われています。
建築系で用いられる補強金物のLアングルにもユニクロめっきが施されています。
ユニクロめっきとクロメートには、有害と言われている六価クロムを含有していることから、EUのRoHS指令に対応していない点には注意してください。それらの代替品として三価ホワイトと呼ばれるめっきも現在では流通しています。三価ホワイトは有害性のない三価クロムを使用しているほか、防錆力もユニクロめっきと同等レベルで持ち合わせています。
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