溶接の種類はこの記事だけでOK!3分でわかる金属加工で代表的溶接方法!

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溶接の種類はこの記事だけでOK!3分でわかる金属加工で代表的溶接方法!

「溶接」と聞いてイメージされるのは、大量の火花の中で作業している光景ではないでしょうか。しかし、実は自動車工場で産業用ロボットが行っているのも溶接です。

たくさんある溶接の種類の中から、この記事では代表的な溶接方法について解説します。

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金属加工で代表的な溶接の種類と特徴

引用元:Pixabay

溶接加工には60種類以上が存在しますが、まず大きく3つに分類できます。

溶接の大まかな分類

融接(溶融溶接):被溶接材料(母材)を加熱して接合する

圧接(加圧溶接):被溶接材料(母材)に圧力を加えて接合する

ろう接:被溶接材料を溶かさず溶加材を接着剤のように用いて接合する

この異なる3つのアプローチには、それぞれにさらに細分化された溶接方法があります。その中から代表的なものとして、アーク溶接(融接)が2種類レーザー溶接(融接)抵抗溶接(圧接)、そしてろう付け(ろう接)が挙げられます。本記事では、これら代表的な溶接方法について、解説していきます。

代表的な溶接方法

1.アーク溶接(融接)

 1-1.溶融電極式 1-2.非溶融電極式

2.レーザー溶接(融接)

3.抵抗溶接(圧接)

4.ろう付け(ろう接)

 

1-1.アーク溶接(溶融電極式)

引用元:Pixabay

アーク溶接は、火花が散る放電現象を利用した溶接方法です。「溶接」で最もイメージされやすいアーク溶接ですが、用いられる溶接機(トーチ)の電極棒(溶接棒)が“溶ける”ものか、“溶けない”ものかで分類されています。

溶融電極式のアーク溶接では、“溶ける”溶接棒を電極として用います。そして、この溶接棒は母材と接合するための溶加材の役割も兼ねています。

溶加材が自動的に供給できる仕組みのものもあり、半自動アーク溶接または半自動溶接とも呼ばれています。しかし、被覆アーク溶接については、手動で溶加材を供給しなければばりません。

アーク溶接については別にの記事でより詳細を書いていますので、合わせてチェックしてみてください。

アーク溶接についてはこちら

【アーク溶接とは!?】代表的な種類や特徴と「メリット・デメリット」を解説

①マグ溶接

マグ溶接は、ガスシールドアーク溶接の半自動溶接に分類されます。シールドガスは、溶接部と酸素を遮断し、酸化を防ぐ目的で用いられます。

 マグ溶接では、シールドガスにアルゴンヘリウムといった不活性ガス(80%)と二酸化炭素(20%)を組み合わせた混合ガスが使われます。

これは、不活性ガスだけだと溶接材の溶け込みが浅くなってしまうからです。二酸化炭素(炭酸ガス)を用いた場合は、アークが狭くなり溶け込みが深くなるデメリットがあります。しかし、二酸化炭素に比べ、不活性ガスを用いるとスパッタと呼ばれる金属の粒が出にくく、仕上がりが美しいというメリットがあります。

 そこで、不活性ガスと二酸化炭素を組み合わせることで、両方のメリットを得たのがマグ溶接です。

 しかし、二酸化炭素はその特性からアルミといった非鉄金属と反応してしまいます。ですから、マグ溶接は非鉄金属に用いることはできず、鉄(軟鋼)の溶接に用いられます。二酸化炭素を用いる炭酸ガスアーク溶接との比較では、スパッタを少なくしてきれいな仕上がりを目指す場合にマグ溶接が選択されます。

マグ溶接の特徴

・半自動溶接

・シールドガスに不活性ガス(アルゴン)+二酸化炭素(CO2)を使う

・非鉄金属に用いることはできない

マグ溶接についてはこちらを参考にしてください。

【マグ溶接】マグ溶接原理や特徴を解説!!他の溶接との違いはどこにある?


ミグ溶接もマグ溶接と同様に、ガスシールドアーク溶接の半自動溶接に分類されます。

マグ溶接との違いは、用いられるシールドガスです。マグ溶接が不活性ガス+二酸化炭素の混合ガスを用いるのに対し、ミグ溶接では不活性ガスのみが用いられます。

ただ、不活性ガスのみですとアークが不安定になりやすく作業がし難くなります。ですから、アークを安定させる目的で一部に酸素を2%ほど混ぜて使われることも多いです。

ミグ溶接の場合、マグ溶接と異なり二酸化炭素を用いないので、金属を選ばないというメリットがあります。

しかし、日本では二酸化炭素に比べ不活性ガスは高価になりますので、マグ溶接の方が低コストです。

ミグ溶接の特徴

・半自動溶接

・シールドガスには不活性ガス(アルゴン)を使う

・ステンレスやアルミといった非鉄金属にも用いることができる

ミグ溶接についてはこちらをご参考にしてください。

ミグ溶接を徹底解説!【専門家が語る】素人でも3分で理解できます!


1-2.アーク溶接(非溶融電極式)

「溶融電極式」のアーク溶接に対し、「非溶融電極式」では”溶けない”素材でできた電極棒(溶接棒)を用います。

「溶融電極式」のように溶接棒がそのまま溶加材にはならないので、アーク(バチバチという火花)の中に溶接機とは別に横から溶加材を入れて溶かす必要があります。

 

①ティグ溶接

ティグ溶接は、ガスシールドアーク溶接に分類されます。電極棒には“溶けない”タングステンが使われ、電気を通してアークを発生させる仕組みです。

溶接トーチの他に、溶接材を手動で供給する必要があります。また、ティグ溶接は火花が激しく飛び散るようなことがありません。

半自動溶接といった「溶融電極式」に比べ、仕上がりが美しいというメリットがあります。そして、シールドガスには不活性ガスを用いるため金属を選びません。ただ、コスト面から、ステンレスやアルミといった非鉄金属に多く用いられます。

ティグ溶接の特徴

・電極棒にタングステンを使う

・溶融電極式に比べ仕上がりが美しい

・主にステンレスやアルミに使われる

ティグ溶接についてはこちらをご参考にしてください。

ティグ溶接とは【専門家が解説】特徴や加工方法について詳細をお伝えします!

 

②プラズマ溶接

 

引用元:株式会社キーエンス

プラズマ溶接は、プラズマガスとプラズマアークを用いた溶接法です。

ティグ溶接と同様に、電極棒にタングステン、シールドガスには不活性ガスが使われます。

プラズマ溶接用のトーチ内で、不活性ガスはイオン化されプラズマガスに変化します。ジェットとして噴出するプラズマガスが導電体となり、プラズマアークが作られるという仕組みです。

そして、大きな特徴はティグ溶接に比べアークが狭く絞られることです。この効果によって、ティグ溶接に比べ溶接の溶け込みを深くすることができます。

しかし、ランニングコスト・装置の価格・メンテナンスのコストがティグ溶接よりもかかることがデメリットです。

プラズマ溶接の特徴

・プラズマガスとプラズマアークを使う

・アークを狭く絞るので溶け込みが深い

・ティグ溶接に比べコストがかかる

2.レーザー溶接

レーザー溶接では、レーザー光線の熱を利用します。アーク溶接に比べ、細かく精密さが必要とされる溶接に適しています。さらに、レーザー溶接は異なる種類の金属を接合することも可能です。

ただ、精密さゆえに溶接部に水分や油分が微量にでもあると、溶接欠陥に繋がるデリケートな面もあります。そして、母体などを固定するためのジグと呼ばれる器具にも高い質が求められます。

 

3.抵抗溶接

 

引用元:ハイメカ株式会社

抵抗溶接は圧接(加圧溶接)に分類されます。抵抗溶接はアーク溶接のような融接とは、溶接の方法が異なります。

被溶接材(母材)の金属を重ね合わせた状態で、それをさらに電極で挟みます。そして、電極に電流を流し、溶接部位に発生した熱と圧力で接合させます。溶融凝固した、溶接部はナゲットと呼ばれます。

抵抗溶接は熟練した作業者を必要とせず、機械化と効率化が容易です。コストを下げられるので、大量生産に向いています

しかし、融接のように外観から溶接部の状態を把握できないことがデメリットです。

レーザー溶接については別にの記事でより詳細を書いていますので、合わせてチェックしてみてください。

レーザー溶接についてはこちら

【レーザー溶接】仕組み(原理)やメリット・デメリットなどの特徴をご紹介!!


①スポット溶接

スポット溶接は、抵抗スポット溶接や点溶接とも呼ばれます。文字通り、“点”で溶接されることから名付けられました。

スポット溶接は主に薄板の溶接(3枚同時の溶接も可能)に用いられ、自動車車体の生産に多用されています。溶接を行うために母材を挟む装置を「ガン」、そしてその「ガン」に電気を供給する装置を「溶接電源」または「溶接機」と呼びます。

この「ガン」と「溶接電源」は、自動車の生産などに使用される産業用ロボットに直接取り付けられて使われています。

スポット溶接についてはこちら

【スポット溶接】メリット・デメリットや他の溶接との違いを専門家が解説!


②プロジェクション溶接

プロジェクション溶接もスポット溶接と同じく抵抗溶接ですが、こちらは厚板の溶接に用いられます。

厚板の抵抗溶接時に、母材の片方にあらかじめプレス加工でプロジェクション(突起部)を施しておきます。 

溶接時には、このプロジェクション(突起部)に集中的に大電流を流し、溶融凝固させて接合します。

厚板だけでなく、ナットやボルトの溶接にも用いられる他、薄板の多点数溶接を効率よく行うこともできます。

スポット溶接と同様に、溶接機で挟んだ一点に熱が集中するため、母材への熱影響を最低限に抑えられることもメリットです。

 

③シーム溶接

 

引用元:株式会社キーエンス

シーム溶接も抵抗溶接ですが、電極の形に大きな違いがあります。シーム溶接に用いられる電極は、円板形のローラーです。このローラー電極に電流を流しながら回転させることで、母材を連続で溶接することができます。

自動車の燃料タンクといった、気密性と防水性を求められる箇所に多く用いられています。

加えて、アーク溶接では難しい、厚板の溶接を得意としています。

4.ろう付け

ろう付けは古来からある溶接加工法で、日本では奈良の大仏などにも使われています。

ガスバーナーなどで溶かした溶加材が接着剤の役目を果たし、母材同士を接合させます。異素材の接合と、厚さの異なる母材同士の接合も可能な点がメリットです。

「はんだ付け」と混同されることが多いろう付けですが、違いは溶加材の融点にあります。はんだが450℃以下であるのに対し、ろう付けに用いられる金属は450℃以上と高温です。融点が高いので、はんだ付けより接合の強度も高くなります。

また、アーク溶接(融接)との違いですが、アーク溶接は母材も加熱し溶かして接合させます。一方、ろう付けは母材を溶かさず、加熱し液状にした溶加材で接合させます。

ろう付けについては別にの記事でより詳細を書いていますので、合わせてチェックしてみてください。

ろう付けについてはこちら

ろう付けとは?代表的な種類や特徴、メリット・デメリットを解説

まとめ

代表的な溶接方法を紹介させていただきました。 

アーク溶接(融接)は、電極が“溶ける”か“溶けない”で大きく分類されます。そして、抵抗溶接(圧接)ろう付けはアーク溶接とは異なる方法の溶接であることも解説しました。

溶接方法は、コスト、素材や仕上がりの他、用途や生産効率によってさらに細分化されています。

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