2025-01-15
更新
日用品、家、ビル、自転車、車、電車、新幹線、飛行機、船、はたまたロケットエンジンやロボットまで、溶接は私たちの生活の様々なシーンで使用される身近な技術です。
実はその溶接には色々な工法があります。
その中でも今回はミグ溶接について素人でも3分で理解できるよう簡潔に解説していきたいと思います。
「ミグ溶接ってなに?」
「ミグ溶接に向いている金属は?」
「ミグ溶接は他の溶接と何が違うの?」
上記のような疑問が解決できると思いますので、参考にしてみてください。
溶接には大きく分けると、融接、圧接、ろう接の3種類があります。
ミグ溶接はこの3つの内の融接に当ります。融接とはくっつけたいモノ同士の接合部に熱を加えて溶かして融合させ、冷却することにより接合して一つのモノとなる現象をいいます。溶接といえば多くの人が思い浮かぶのがこの融接だと思います。
さらに、この融接には主にアーク溶接、ガス溶接、電子ビーム溶接、レーザー溶接の4つの種類があります。ミグ溶接はこの内のアーク溶接に当たります。
アークとは2つの電極間(+とー)で放電することによって発生するプラズマの一種です。溶接というとバチバチと音が鳴りながら火花が飛び散るイメージがありますよね。あれがアークです。他にも日常でコンセントに電源ケーブルを抜き差しした際にたまに小さく発光することがあると思いますが、これもアークですし、もっと大きな規模の現象だと雷もアークと言えます。
このアーク溶接から、さらにさらに枝分かれし分類されていくのですが、ここでは簡潔な解説を心がけ省略させてもらい、ノンガス溶接とガスシールド溶接についてです。
まず、この記事のテーマであるミグ溶接はガスシールド溶接になります。シールドガスとは溶接時にガスを利用し、溶融金属と空気の接触による化学反応が起こるのを防ぐバリアの役割を持っています。このバリアがないと溶接部に気孔が出来たり、溶接強度が落ちるなどの弊害が生じてしまいます。ミグ溶接はこのシールドガスに不活性ガスを使用する溶接工法です。この不活性ガスですが、主にアルゴンまたはヘリウムを使用し、そこに数%の酸素を混合して使用します。
対して一般の人がDIYなどで行う溶接はノンガス溶接工法によるものが多いと思います。シールドガスを使用しないため、空気が邪魔をし仕上り外観に大きな差が出ます。
分類が大分長くなってしまいましたが、まとめるとミグ溶接は次の様に分類されます。
ミグ溶接の分類
融接 〉アーク溶接 〉シールドガス溶接 〉ミグ溶接
それぞれの溶接工法には材料に対しての向き不向きがあります。材料に対して誤った溶接工法を選んでしまうと強度が出なかったり、溶接ができないこともあるので注意しましょう。
ミグ溶接は主にアルミ、ステンレスなどの非鉄金属と呼ばれる金属の溶接に用いられます。
アルミ、ステンレスの溶接は、後述する他のシールドガス溶接工法では溶接出来ず、ミグ溶接でしか出来ないことなのです。
そんなミグ溶接ですが、次の様なメリット・デメリットがあります。
メリット
デメリット
ミグ溶接の最大の特徴は溶接の仕上り外観がキレイということでしょう。溶接の仕上り外観は溶接工法によって差があり、その差は主にスパッタ(溶接時に飛散した金属粉が接合部周辺にぶつぶつしと固化して残る現象)の発生程度にあります。
このため、ミグ溶接は高い外観品質が求められるモノで選ばれる工法です。反面、不活性ガスはアークを捕まえる性質が弱いため、アークが広がり易く溶け込みが浅くなり、他のガスアーク溶接などと比較して強度が劣ります。溶接工法はこの辺を考えながら選んでいく必要があるので注意が必要です。
シールドガス溶接の主な工法はミグ溶接、マグ溶接、炭酸ガスアーク溶接の3つになります。先述した通り、ミグ溶接はステンレス、アルミなどの非鉄金属はミグ溶接でしか出来ないのですが、逆に鉄鋼などの炭素鋼は溶接できません。
それぞれの違いを表にまとめたものです。
マグ溶接はミグ溶接の鉄を溶接できないデメリットを補うため、ミグ溶接と同じ不活性ガスであるアルゴンを主体に二酸化炭素を混合したガスを使用した工法です。下の写真は炭酸ガスアーク溶接とマグ溶接の仕上りを並べた写真です。
一目でわかるようにマグ溶接の方がきれいですよね。これは不活性ガスが空気と化学反応を起こさない(溶接部が酸化、窒化しない)性質を持っているために生じる差です。
対して炭酸ガスアークですが、この工法は溶接の仕上り外観品質はミグ溶接、マグ溶接と比較して劣りますが、鉄の溶接で強度が出ること、シールドガスとして使用する二酸化炭素が不活性ガスに比べて安価なことなどから幅広い用途で使用される溶接工法です。
以上、ミグ溶接について理解してもらえたでしょうか。
ミグ溶接は適した材料が非鉄金属に限られるため、なんにでも対応できる万能な工法ではありません。しかし、逆にアルミ、ステンレスの溶接はミグ溶接でしかできないため、溶接にはなくてはならない工法です。
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