ティグ溶接とは【専門家が解説】特徴や加工方法について詳細をお伝えします!

板金加工の基礎

金属加工
板金加工
溶接
ティグ溶接とは【専門家が解説】特徴や加工方法について詳細をお伝えします!

引用元:ポリテクセンター山梨

ティグ溶接は、高性能・高品質、かつ美麗な仕上がりが得られるアーク溶接法の一つです。また、導電性を持つ金属ならばほぼ適用可能で、鉄鋼やステンレス鋼のほか、アルミニウム合金やマグネシウム合金なども溶接することができます。

しかし、アーク溶接には、被覆アーク溶接やマグ溶接、ミグ溶接などの多様な溶接法があるため、ティグ溶接が他の溶接法とどのように異なり、優れているのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。

そこで、今回の記事では、ティグ溶接の詳細や原理、また特徴について説明していきます。また、実際のティグ溶接の方法・工程を動画と併せて解説していきますので、溶接をご依頼するときの参考にしてください。

小ロットの加工依頼をするならMitsuri

小ロットの加工依頼をするならぜひ、Mitsuriにお任せください!

Mitsuriなら、全国の協力工場に、簡単に見積もり依頼を出すことができます。協力工場は全国に140社あり、小ロットでの加工依頼をOKとしている工場に絞って見積もりすることも可能です

さらにMitsuriには多数の加工実績があるため、安心して依頼できるんです。

  • 「小ロットの依頼をするのが気が引けてしまって…」
  • 「普段の取引先には小ロットの発注は頼みづらい…」

等小ロットの加工依頼でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください!


ティグ溶接とは

引用元:株式会社森製作所

ティグ(TIG)溶接は、Tungsten Inert Gas(タングステン不活性ガス)溶接を略したもので、アーク溶接法の一種です。そのアーク溶接法の中でも、タングステンを電極に用いた非溶極式に分類され、溶接部をアルゴンなどの不活性ガスでシールドしながら、必要に応じて溶加材を溶かし込んで溶接する方式です。


アーク溶接

引用元:株式会社ダイヘン

溶接には、融接、圧接、ろう接の3種類の方法があります。これらの方法は、以下のように被溶接材料(母材)を接合しますが、ティグ溶接は融接による溶接法の一つです。

溶接の種類

●融接…熱で母材を溶かし、必要に応じて溶かした溶加材を加え、凝固させて接合

●圧接…圧力を母材に加えて接合

●ろう接…母材を溶かすことなく、溶加材のみを溶かし、溶加材を接着剤のように用いて母材を接合

融接による溶接法は、母材を溶かす手段により、ガス溶接、アーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接に分けられます。ティグ溶接は、これらの溶接法の中のアーク溶接にあたります。

融接の種類

●ガス溶接…可燃性ガスを燃焼させることで発生する熱で母材を溶融

●アーク溶接…気体中の放電現象に伴って発生する熱で母材を溶融

●レーザー溶接…レーザー光を照射することで母材を溶融

●電子ビーム溶接…加速した電子を衝突させることで母材を溶融


参考記事

アーク溶接全般については、以下の記事に詳細がございますので、ぜひご覧ください。

【アーク溶接とは!?】代表的な種類や特徴と「メリット・デメリット」を解説


非溶極式アーク溶接

引用元:株式会社ダイヘン

アーク溶接は、母材を溶かすと共に、電極を溶かし溶加材としても用いる溶極式と、消耗しない電極を用い、別に溶加材を添加する非溶極式に分けられます。

ティグ溶接は、非溶極式のアーク溶接法で、融点が3380℃と金属の中で最も高融点のタングステン、もしくはタングステン合金を電極として使用します。


なお、タングステンを電極に用いる非溶極式には、プラズマ溶接という溶接法もあります。下図のようにティグ溶接と非常に似通った方法ですが、その違いは、電極をノズルとプラズマガスで包み込むことで、アークが広がらないように絞っていることです。

それにより、そのアークは電流密度が高く、熱効率や熱集中性もティグ溶接と比べて高くなります。そのため、精度が高く、速度が早い優れた溶接法と言えるでしょう。ただし、プラズマ溶接は、ティグ溶接よりも高コストであるというデメリットがあります。

引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センター


ガスシールドアーク溶接

引用元:株式会社新東

アーク溶接では、アーク放電を安定的に維持する、酸化を防止するなどの目的から溶接部をガスでシールドする場合があり、シールドガスを用いる方式をガスシールドアーク溶接と言います。

ティグ溶接は、ガスシールドアーク溶接に分類されますが、特にシールドガスに不活性ガスを用いることからイナートガスアーク溶接と呼ばれることもあります。

ティグ溶接で使用されるシールドガスは、酸素を含まないアルゴン・ヘリウム・アルゴンとヘリウムの混合ガス・アルゴンと水素の混合ガスの4種類に限られています。その理由は、電極に用いるタングステンが高温下で酸化しやすく、千数百℃程度まで融点が低下してしまうことがあるからです。

なお、ヘリウムや水素を含んだ混合ガスは、アーク放電の発熱量の上昇による、溶け込み深さの増大や溶接速度の向上を目的として用いられます。しかし、水素含有の混合ガスでは、水素を吸収して強度が低下する水素脆化が生じることがあるため、使用可能なのはオーステナイト系ステンレス鋼とニッケル合金に限られます。

引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センター


交流ティグ溶接

アルミニウムやマグネシウムをティグ溶接する場合は、アーク放電のクリーニング作用を活かすことができる交流が主に使用されています。

ティグ溶接では通常、電極が陰極、母材が陽極の正極性で、直流を流して溶接を行います。これは、電子を放出する電極に比べ、電子が衝突する母材側がより加熱されることを理由とします。

一方、電極が陽極、母材が陰極の逆極性では、電子が衝突する電極が消耗すると同時に、電子を放出する母材表面の酸化物が還元され、酸化物が取り除かれるクリーニング作用が生じます。逆極性での溶接は、電極の消耗により長時間の溶接ができないという欠点があるものの、酸化膜の融点が2000℃超と高く、正極性での溶接が困難なアルミニウムやマグネシウムなどでは極めて有効です。

そこで、アルミニウムやマグネシウムには、クリーニング作用を活かすと共に電極の消耗も抑制した交流ティグ溶接が用いられています。

引用元:Bildy.マガジン



ティグ溶接の原理

引用元:株式会社ダイヘンテクノサポート

次に、ティグ溶接の原理を説明していきます。

ディグ溶接では、電極と母材間に高電圧を加え、高電流を流すことで起こるアーク放電によって生じる熱を利用して溶接します。

アーク放電は、電極と母材間の電位差によって不活性ガスの電離が進行し、本来絶縁体である気体が導電性を持つプラズマとなることで起こります。プラズマは、電流路になってアーク放電を保つ役割を果たすとともに、熱を発生して母材や溶加棒を溶かします。細いタングステン電極と母材との間に生じるアーク放電は、電極から母材に向かって拡がるベルのような形状となり、中心部で1万数千℃、外周部でも1万℃程度の高温を示します。

引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センター

このアーク放電の維持には、適切な電圧と電流の供給が必要です。その電圧と電流の関係は不活性ガスがアルゴンの場合、下のグラフのようになり、アークが長いほど必要な電圧は大きくなります。ただし、ティグ溶接機は一般に、溶接電流のみが設定可能で、設定された電流を出力するために電圧を自動で増減する定電流特性を備えたものが多いです。

引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センター

アーク放電を維持するために必要な電圧と電流は、使用する不活性ガスによっても大きく異なります。例えば、溶接電流を200Aとすると、下のグラフのようにヘリウムではアルゴンの約2倍の電圧が必要です。そのため、ヘリウムを不活性ガスに用いる場合は、溶接機の最大電圧が十分に高いものを選ぶ必要があります。

引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センター

ティグ溶接では、下図のような装置構成で溶接が行われます。装置構成に見られるように、溶接電源に母材を接続し、通常はトーチの電極を陰極、母材を陽極とします。そして、リモコンボックスやトーチの手元のスイッチで、ガスの供給や電流の入切を操作して溶接を実施します。

アーク放電が発生すると、下図のように、母材と溶接する金属、および溶加棒が溶け出して溶融池を形成します。この溶融池が凝固したものがビードとなるので、溶接の性能や品質、仕上がりの美しさは溶融池の状態によって左右されます。

引用元:独立行政法人 産業技術総合研究所 加工技術データベース



ティグ溶接の特徴

引用元:ケイ・エイチ工業株式会社

次は、ティグ溶接の特徴について見ていきましょう。

融接の特徴

まず、ティグ溶接は、融接による溶接法の一つであることから、融接に共通した以下の特徴があります。

融接の特徴

  • ・溶接継手の強度が高い。

  • ・気密性や水密性に優れる。

  • ・溶接熱で母材の性質が変化することがある。

  • ・局所的な加熱と冷却により、変形する、または残留応力が生じることがある。

  • ・外観からの溶接品質の確認が困難である。


  • 圧接と比べた融接の特徴

    • ・溶接継手の構造を簡素化できる。

    • ・厚さに制限がほとんどない。


●溶接継手について

溶接における、2つの母材の接合部分、もしくは接合しようとしている部分を溶接継手といいます。代表的な溶接継手には、以下の突合せ溶接継手、重ね溶接継手、隅肉溶接継手が挙げられます。

引用元:株式会社新東


アーク溶接の特徴

ティグ溶接は、アーク溶接の一つでもあることから、アーク溶接に共通した以下のような特徴があります。

アーク溶接の特徴

  • ・アーク放電の温度が5000℃以上と高温であるため、高温で割れる金属は溶接できない。

  • ・接合する母材が導電体でないと溶接できない。


  • ガス溶接に比べたアーク溶接の特徴

    • ・熱集中性に優れるため、溶接精度が高い。

    • ・エネルギー密度が大きいため、高融点金属の溶接が可能で、溶接速度も早い。

    ・レーザー溶接や電子ビーム溶接と比べたアーク溶接の特徴

    • ・熱集中性に劣るため、溶接精度が低い。

    • ・エネルギー密度が小さいため、溶け込みが浅く、溶接速度が遅い。

    • ・溶接速度が遅く、溶接範囲が広いため、歪みが発生しやすい。

    • ・溶接装置が安価。


参考記事

レーザー溶接については、以下の記事に詳細がございますので、参考にしてください

【レーザー溶接】仕組み(原理)やメリット・デメリットなどの特徴をご紹介!!


非溶極式アーク溶接の特徴

引用元:東邦金属株式会社

ティグ溶接は、アーク溶接の中でも非溶極式の溶接法ですが、非溶極式であるということから以下のような特徴を持ちます。なお、上の写真は、溶接用のタングステン電極棒です。

ティグ溶接の特徴

  • ・タングステンの融点は金属中で最も高いので、あらゆる金属の溶接が可能。

  • ・溶加材を別途加える必要がある。

  • ・電極の溶融を考慮する必要がないため、溶加材の種類や添加量、溶接電流を独立して設定できる。

  • ・溶加材の溶融に時間がかかるため、溶接速度が遅い。

  • ・長時間の作業が可能。

  • ・アーク長を一定に保ちやすい。


ガスシールドアーク溶接の特徴

ティグ溶接はまた、シールドガスを使用するアーク溶接でもあります。そのため、ティグ溶接は、ガスシールドアーク溶接に共通する以下のような特徴を持ちます。

ガスシールドアーク溶接と共通する特徴

  • ・シールドガスを別に用意する必要がある。

  • ・風の影響を受けやすいため、防風対策が必要になることがある。

  • ・大気の混入によるブローホールやピットの発生を抑制できる。

  • ・被覆剤を使用する場合に生じる凝固スラグが発生しない。


ティグ溶接の特徴

ティグ溶接は、アーク溶接の他の溶接法と比較して、以下の特徴を持ちます。

他の溶接法と比較した特徴

  • ・鉄鋼・ステンレス鋼・ニッケル合金・銅合金・アルミニウム合金・チタン合金・マグネシウム合金など、ほとんどの金属を溶接できる。

  • ・高品質・高性能の溶接継手が得られ、ビードの外観にも優れる。

  • ・広範囲の電流域で溶接に適したアーク放電が得られる。

  • ・溶接姿勢の制約が少ない。

  • ・溶融池が安定しているため、その挙動を明瞭に観察できる。

  • ・有害な溶接ヒューム(溶融金属の蒸気)の発生が少ない。

  • ・火花が出ないため、スパッタの発生がほとんどない。

  • ・静音性に優れる。

  • ・手動溶接では、同時にトーチと溶加棒を操作しなければならず、熟練と技量が要求される。

  • ・不活性ガスやタングステンが比較的高価なため、溶接経費がやや高い。


溶接姿勢について

引用元:独立行政法人 産業技術総合研究所 加工技術データベース

溶接姿勢は、溶接する際の作業者と溶接部の位置関係を指す言葉です。溶接姿勢には、上図に見られるような、下向、立向上進、立向下進、上向、横向の5つの姿勢があります。これらの溶接姿勢は、溶融池に作用する重力の方向を変えるため、溶接速度や溶け込み深さ、ビード形状などに下表のような影響を与えます。

引用元:一般社団法人 日本溶接協会 溶接情報センター



ティグ溶接の方法、工程を動画で解説


引用元:OPEN EV 沖縄県教育委員会 教育支援ビデオ

それでは、ティグ溶接は実際にどのように行うのか、上のアルミニウムのティグ溶接の動画を参考に解説していきます。

動画では、厚さ2mmの1000系アルミ板を、初めに溶加棒なしで、次に溶加棒ありで溶接しています。また、溶接継手の構造は板金を並べる形の突合せ溶接継手、溶接姿勢は下向姿勢で溶接しています。


ティグ溶接の準備

溶接するにあたって、まず以下の道具を用意し、正常に使用できるか確認しておく必要があります。

用意する道具

  • ・ティグ溶接機

  • ・タングステン電極

  • ・溶加棒

  • ・シールドガス

  • ・遮光マスク

  • ・革製などの溶接用手袋

  • ・難燃性の防護服

特に、タングステン電極はグラインダなどで先端の形状を整える必要がありますが、動画にあるように、アルミ溶接の場合は先端を鈍角に研磨して使用します。また、アルミ溶接では、溶接前に母材の脱脂が必要なことも注意してください。


ティグ溶接の実工程

溶接の実作業では、まず2枚のアルミ板を接合する並びにそろえ、両端を仮付けします。このとき、電極を材料から2mm程度離してアークを発生させます。なお、溶極式のアーク溶接では、電極を接触させてアークを発生させる接触法が用いられますが、非溶極式では、電極が消耗するため、電極を材料に接触させないようにしましょう。

●溶加棒なし

次に、仮付けしたアルミ板を溶接していきます。溶接は、トーチを45°程度傾け、溶融池が電極前にちょうど見える位の速度で行っていきます。

溶加棒を用いない場合の仕上がりは、ビードがへこんでおらず、かつ裏側まで溶けている状態であれば良い品質であると言えるでしょう。

●溶加棒あり

溶加棒ありの溶接にあたり、利き腕が右の場合は、溶加棒を左にトーチを右に持ち、右から左へと溶接します。

溶接方法は溶加棒なしと同様ですが、溶加棒はアークに触れるとはじかれてしまうので、溶融池に横から差し込みながら溶接していきます。

溶加棒を用いた場合の仕上がりは、ビードの盛り上がり高さが均一で、溶加棒なしと同様に裏側まで溶けている状態であれば良い品質と言えます。



まとめ

以上、ティグ溶接について解説しました。

ティグ溶接は、金属中で最も高融点のタングステンを電極に用い、溶接部をアルゴンなどの不活性ガスで覆いながら溶接する方式のアーク溶接法の一つです。

ティグ溶接は、アーク放電で発生する熱によって金属を溶かし、溶融した金属を凝固させることで溶接します。そのようなアーク溶接法の原理を利用していますが、タングステン電極や不活性ガスを用いることから、多様な金属の溶接が可能で、溶接欠陥の少ない溶接法となっています。

一方、ティグ溶接は、素材や溶接形状によって溶接方法を多様に変えることが必要な溶接法でもあります。そのため、溶接可能な素材や形状、また仕上がりは、メーカーに大きく異なります。

Mitsuriでしたら、日本全国に協力工場が140社以上あるため、ティグ溶接を専門とするメーカーをご紹介できます。

お見積りは完全無料です!ティグ溶接でお困りの際は、ぜひMitsuriにお申し付け下さい。


小ロットの加工依頼をするならMitsuri

小ロットの加工依頼をするならぜひ、Mitsuriにお任せください!

Mitsuriなら、全国の協力工場に、簡単に見積もり依頼を出すことができます。協力工場は全国に140社あり、小ロットでの加工依頼をOKとしている工場に絞って見積もりすることも可能です

さらにMitsuriには多数の加工実績があるため、安心して依頼できるんです。

  • 「小ロットの依頼をするのが気が引けてしまって…」
  • 「普段の取引先には小ロットの発注は頼みづらい…」

等小ロットの加工依頼でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください!

この記事をシェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加
おすすめ記事
関連記事
Mitsuri編集部
Mitsuri編集部

Mitsuriは、お客様に寄り添い、製造プロセスに関わる課題をトータルに解決する「お客様の最適な生産活動を達成するコーディネーター」です。

Twitter
Facebook
Instagram
YouTube

前の記事

ステンレスパイプの曲げ加工ならMitsuri!【協力工場140社以上】

次の記事

アングル加工の方法を製品事例を用いて解説!

カンタン
見積り依頼