【アーク溶接とは!?】代表的な種類や特徴と「メリット・デメリット」を解説

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【アーク溶接とは!?】代表的な種類や特徴と「メリット・デメリット」を解説

今回は、融接の中でも幅広く利用されているアーク溶接について、アーク溶接という加工法の定義や種類、メリットデメリットなどを解説します。

アーク溶接は最も幅広く利用されている溶接加工であるが故に、どの工場に頼むのが適切なのかわからないというケースがとても多いです。

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アーク溶接とは

引用元:コベルコ教習所

アーク溶接は、アーク放電という気体中に生じる放電現象を利用した溶接方法です。

アーク放電とは、電極に電流を流した状態で接触し引き離すと起こるもので、非常に強い光と高熱を発するのが特徴です。

身近なものでは、電化製品のプラグをコンセントから引き抜いたときに発生するスパークなどがアーク放電に当たります。

アーク放電は、溶接以外にプラズマ切断や放電加工などにも用いられる放電現象です。溶接で使用するアーク放電は高いものでは太陽の表面温度を超える2万度ほどにもなり、あらゆる母材を溶融させることが可能です。

放電現象を利用することから、基本的にアーク溶接の対象は電気伝導体のみとなっています。

そのためアーク溶接は電気溶接と言われることもありますが、その場合は抵抗溶接(スポット溶接)も含むのが一般的です。なお、抵抗溶接の詳細については次回以降解説します。

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アーク溶接の種類

アーク溶接は超高温によってあらゆる母材を溶融させることができますが、その高温によって、アーク放電を生み出す電極そのものも溶融することがあります。

そしてアーク溶接は、主に電極が溶融するか否かによって、2種類に大別されます。 2種類とは、電極が溶融して消耗する消耗電極式溶接(溶極式)と、電極は溶融せず溶加材(溶接棒)を母材へ溶かし込む非消耗電極式溶接(非溶極式)です。

消耗電極式溶接と非消耗電極式溶接は、それぞれ次のアーク溶接が該当します。

消耗電極式溶接

  • 被覆アーク溶接

  • 炭酸ガスアーク溶接

  • マグ溶接(MAG溶接)

  • ミグ溶接(MIG溶接)

  • サブマージアーク溶接

  • セルフシールドアーク溶接

  • スタッド溶接


非消耗電極式溶接

  • ティグ溶接(TIG溶接)

  • プラズマアーク溶接


消耗電極式溶接の特徴

消耗電極式溶接に分類される、各アーク溶接の特徴を見ていきましょう。

被覆アーク溶接の特徴・メリット・デメリット

引用:日鉄住金テクノロジー株式会社

被覆アーク溶接は、被覆剤(フラックス)を塗布した溶接棒を電極にして、母材との間に発生したアークの熱を利用して溶接するものです。一般には、手溶接法と呼ばれています。

被覆アーク溶接は溶接棒を使い分けることでさまざまな母材に対応できる手軽さから、これまで主流の溶接法として活躍してきました。しかし最近では、より効率のよい溶接法が利用されることも多く、利用範囲は減少傾向にあります。

それでも現場溶接では手軽さが重宝される場面はまだ多く、活躍のシーンが完全になくなることはないでしょう。

なお、被覆アーク溶接のメリットとデメリットは次の通りです。


被覆アーク溶接のメリット

①設備、装置が小型で安価なので導入しやすい

②被覆剤が溶融して発生するガスやスラグが母材を覆うことで、現場環境による影響を受けにくい(=シールド効果を得やすい)

③手作業が前提となるため、素材や構造によらず溶接が可能

※1 スラグ:溶接の際に発生する、溶融した金属から分離して浮かぶかす。鉱滓、溶滓、のろなどとも呼ぶ


被覆アーク溶接のデメリット

①溶着効率が低く、溶接棒の交換やスラグ除去などの手間がかかる

②多量のヒューム(※2)が発生する

③溶接者の技量によって品質に差が生まれる

※2 ヒューム:溶接の際に発生した金属蒸気が凝集して、微細な粒子となったもの。吸入すると、ヒューム熱などの原因となり得る。

炭酸ガスアーク溶接の特徴・メリット・デメリット

引用:株式会社北星製作所

アーク溶接する際、金属が酸化するのを防ぐためにガスをシールドとして利用するものを総称して「ガスシールドアーク溶接」と言います。その中でも、シールドガスに炭酸ガス、または炭酸ガスを中心とした混合ガスを用いるものを、炭酸ガスアーク溶接と呼びます。

ガスシールドアーク溶接にはそのほか、ミグ溶接、マグ溶接などがありますが、炭酸ガス(CO2)アーク溶接、ミグ溶接、マグ溶接の違いは、そのまま使用するガスの違いです。順にご説明します。

まず炭酸ガスアーク溶接は、たいてい半自動溶接として使われる工法です。半自動溶接とは、消耗する電極を自動的に供給する溶接トーチを利用するもので、手順としては、まず溶接棒の代わりに、コイル状に巻いた溶接ワイヤーを送給ローラーによってトーチ先端に送ります。ワイヤーはトーチ先端のコンタクトチップで通電され、炭酸ガスの雰囲気(※3)中で母材との間にアークを発生し、その熱で母材とワイヤーを溶かし接合する方法です。

なお炭酸ガスアーク溶接における炭酸とは二酸化炭素のことで、作業中に化学反応によって一酸化炭素を生じます。

※3 雰囲気:シールドガスなどの特定の気体そのものの状態や、その気体の条件下にある状態を指す¥

炭酸ガスアーク溶接のメリットとデメリットは次の通りです。

炭酸ガスアーク溶接のメリット

①炭酸ガスが安価であるため経済的

②薄板溶接に向いている

③アークの状態を確認しながら作業ができる


炭酸ガスアーク溶接のデメリット

①厚板溶接には向いていない

②作業者が発生した一酸化炭素を吸わないよう換気に注意が必要

③スパッタ(※4)が比較的発生しやすく、接合面の外観が悪くなる

④ガスを使用するため、風の影響を受けやすい

※4 スパッタ:溶接時に飛散する微粒子。塗装や溶接などの欠陥の原因になり、品質に悪影響を与える。

ミグ溶接(MIG溶接)の特徴・メリット・デメリット

引用:株式会社関西金属製作所

シールドガスとして、炭酸ガスの代わりに、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスのみを使用するものをミグ(Metal Inert Gas)溶接と呼びます。

ミグ溶接もガスシールドアーク溶接の一種であり、工法は炭酸ガスアーク溶接と基本的に同様で、半自動溶接として使われます。

ミグ溶接には、炭酸ガスアーク溶接に比べて仕上がりが美しくなるという特徴がありますが、日本ではアルゴンガスやヘリウムガスが高価なことから、高い精度品質を求められない場合は炭酸ガスアーク溶接が用いられることが多いです。

対して、アメリカやヨーロッパでは不活性ガスが比較的安価なため、よく使われる傾向にあります。

なお、ミグ溶接のメリットとデメリットは次の通りです。

ミグ溶接のメリット

①溶接速度が速く、仕上がりが美しくなる

②非鉄金属にも使用できる


ミグ溶接のデメリット

①不活性ガスが高価でコストが高い

②不活性ガスはアークが広がりやすく、接合面の溶け込みが浅くなり溶け込み不良が発生しやすい。溶け込み不良があると、強度低下、応力集中による亀裂発生などに繋がる可能性がある

③ガスを使用するため、風の影響を受けやすい


マグ溶接(MAG溶接)の特徴・メリット・デメリット

引用:日鉄住金ハード株式会社

シールドガスとして、不活性ガスと炭酸ガスの混合ガスを使用するものをマグ(Metal Active Gas)溶接と呼びます。

マグ溶接もまたガスシールドアーク溶接の一種であり、工法は炭酸ガスアーク溶接と基本的に同様、通常半自動溶接として使われます。不活性ガスのみを用いるミグ溶接が、溶接面などの仕上がりが美しくなる一方で、アークが広がりやすく溶け込みが浅くなってしまうことから、アークを細く集中させる作用のある炭酸ガスを混合したのがマグ溶接です。

そんなマグ溶接のメリットとデメリットは次の通りです。


マグ溶接のメリット

①ミグ溶接よりも溶け込みが深くなる

②炭酸ガス溶接よりもスパッタの発生が少ない


マグ溶接のデメリット

①炭酸ガスを使用するため、非鉄金属(アルミニウムなど)には使用できない

②ガスを使用するため、風の影響を受けやすい

サブマージアーク溶接の特徴・メリット・デメリット

引用:JFEテクノリサーチ株式会社

サブマージアーク溶接は、散布した粒状の被覆剤(フラックス)中にワイヤを自動送給して、ワイヤーと母材の間にアークを発生させて溶接する方法です。被覆アーク溶接における溶接棒の心線と被覆剤を分離させて、自動溶接を可能にしました。

サブマージアーク溶接のメリットとデメリットは次の通りです。

サブマージアーク溶接のメリット

①太いワイヤーと大電流を用い、スピーディな溶接が可能

②溶け込みの深い溶接ができる

③フラックス中でアークが発生するため遮光が不要

④スパッタやヒュームの発生が少ない

⑤風の影響をほとんど受けない

⑥仕上がり品質が作業者の技量にほぼよらない


サブマージアーク溶接のデメリット

①溶接時の姿勢が、下向き、水平、横向きに限られる

②溶接面の形状が、直接かそれに近い曲線に限られる

③フラックスの供給と回収、スラグの剥離が必要

④溶接熱が大きくなりすぎると、影響部の軟化や脆化を生じることがある


セルフシールドアーク溶接の特徴・メリット・デメリット

引用:ウエルドツール

CO2溶接、MIG溶接、MAG溶接といったガスシールドアーク溶接に対して、ガスを使用しない溶接法をセルフシールドアーク溶接(そのほかノーガスアーク溶接、ノンガスシールドアーク溶接など)と呼びます。
セルフシールドアーク溶接は、ガスシールドアーク溶接やサブマージアーク溶接とは違い、外部から被覆剤やガスを供給することなく溶接する方法です。チューブ状の溶接ワイヤーに脱酸材と被覆剤を装填してあり、アーク発生とともにアーク柱および溶融池を外気の酸素や窒素から保護して溶接します。

セルフシールドアーク溶接のメリット

①ガスボンベ不要で手軽に溶接できる

②ガスを使用しないため、風の影響を受けない


セルフシールドアーク溶接のデメリット

①ガスシールドアーク溶接に比べ、スパッタやヒュームが多く出る

②仕上がりは被覆アーク溶接と同程度

③ボンベ不要な代わりに専用ワイヤーにコストがかかる

スタッド溶接の特徴・メリット・デメリット

引用:日本スタッドウェルディング株式会社

単にスタッド溶接と言った場合は、板の裏面に影響を及ぼさないCD方式、板厚に対して6~8倍のスタッドを接合できるショートサイクル方式、M6~M25のスタッドが接合できるアーク方式の3方式を含みますが、今回はアーク方式のスタッド溶接について解説します。

スタッド溶接は、溶接棒や溶接ワイヤーを使わず、スタッドと呼ばれるピンを専用のガンに取り付けて、母材に押し当てた状態で電流を流してから引き上げることでアークを発生させて溶接する工法です。

アーク方式のスタッド溶接のメリットとデメリットは次の通りです。

スタッド溶接のメリット

①溶接時間が短く、母材に与える影響が少ない

②溶接品質が技量によらない

③生産性と接合強度が高い


スタッド溶接のデメリット

①溶接可能な箇所と不可能な箇所がある

②明確な検査方法がない


非消耗電極式の特徴

続いて、非消耗電極式溶接に分類される2つのアーク溶接の特徴を見ていきましょう。

ティグ溶接(TIG溶接)の特徴・メリット・デメリット

引用:株式会社ハイド

ティグ溶接のTIGとは、Tungsten Inert Gasの略で、熱に強いタングステン電極と被溶接物との間にアークを発生させ、アーク部をアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスでシールドして溶接する方法です。

金属の中でも最も融点の高いタングステンを電極として使用することで、電極をほとんど消耗せずに溶接することができます。電極が溶融しない代わりに、ごく薄板の場合を除いて、溶融部の金属を補うためにフィラーワイヤー(溶加棒)が使用されます。
なおティグ溶接法はあらゆる種類の金属の溶接が行えますが、ステンレスの溶接には直流が、アルミの溶接には交流の溶接電源が使用されます。

ティグ溶接のメリットとデメリットは次の通りです。

ティグ溶接のメリット

①薄板、複雑な形状など精密な溶接が可能

②溶接後の仕上がりが美しい

③不活性ガスを用いるため、スパッタがほぼ出ない

④電極の消耗がない(少ない)ため長時間の連続溶接が可能


ティグ溶接のデメリット

①ガスを使用するため風の影響を受けやすい

②溶接速度が遅く、大量生産などに向かない

③速度が遅いせいもあり、不活性ガスのコストがかかる

④仕上がりが作業者の熟練度による

プラズマアーク溶接の特徴・メリット・デメリット

引用:日鐵住金溶接工業株式会社

プラズマアーク溶接は、イオン化した不活性ガスをプラズマガスとしてノズル孔から噴出して、アークの導電体とする溶接法です。タングステン電極を用いる点はティグ溶接と同様ですが、より幅の狭いアークが発生するため、深い溶け込みが得られます。

プラズマアーク溶接のメリットとデメリットは次の通りです。

プラズマアーク溶接のメリット

①高エネルギーのアークで、高速かつ歪みの少ない溶接が可能

②アークの指向性が高く、アーク蛇行せず仕上がりが美しくなる

③スパッタが発生しない

④電極の消耗がない(少ない)ため長時間の連続溶接が可能

⑤薄板の溶接も可能


プラズマアーク溶接のデメリット

①溶接トーチの操作にやや制約がある

②装置の価格が高く、消耗部品が多い、ガス使用量が多いなどランニングコストがかかる

③溶接制度が厳しい


まとめ

「ゼロからわかる!溶接加工!」シリーズ第5回は、アーク溶接に分類される各溶接法について、それぞれの特徴・メリット・デメリットを網羅的に解説しましたがいかがでしたでしょうか。

次回は、今回の話の中でも少し触れた、溶接の自動化や半自動化について、掘り下げて解説していきます。


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