ダボ出し加工とは?加工原理と基礎知識

ダボ出し加工は、板金をプレスして表面にダボと呼ばれる突起を出す加工法です。ダボは、他の板金にあけた穴などに嵌めることで、板金部品同士を固定し、板金製品の溶接や組立などに利用します。

ダボは、上手く利用することで、作業効率の向上やコストの削減に繋げることができます。しかし、ダボ出し加工が適切でないと、凸形状とならずに板金が抜けてしまったり、ダボの高さが不足して固定できなかったりすることもあります。

この記事では、ダボ出し加工の基礎知識や加工方法、ダボの利用方法、ダボ出し加工を行う際の注意点などについて解説していきます。

ダボ出し加工とは

ダボ出し加工とは、主に板金部品の溶接や組立の位置決めに利用する凸(突起)を板金に成形する加工のことです(上図参照)。半抜き加工やハーフパンチ加工、ハーフシャー加工とも呼ばれる加工法で、その凸自体は「ダボ」や「ボチ」などと呼ばれます。ダボは、位置決めのほか、ストッパーなどに利用されることもあります。ダボは、下図のように、部品の凹や穴に嵌め込むことで、板金と部品の相対位置を固定し、位置決めやストッパーに利用します。

ダボの形状は、円形が標準的ですが、長円形や正方形、長方形のものもあります。上面の形状は、平型や丸型、山型などのように様々です。角についても、Rを付けたものと直角のものがあります。

ダボの径・幅や高さについては、外観に影響しないように小さく、位置決めしやすいように抜けにくい高さであることが用途に合致しますが、加工できるサイズに制限があります。径・幅は最小で1.6mm程度からとなっていますが、径・幅が小さい上に板金が厚い場合は、加工に用いられる金型の強度が不足して金型を損傷することがあります。一方、高さは板厚の70%程度が限界で、それ以上の高さにすると、板金の材質によっては抜けてしまうことがあるので注意が必要です。ただし、金型のパンチにRを付けたり、金型のクリアランス(パンチとダイの隙間のこと)を広くしたりすることで、板厚以上の高さを確保することができます。

また、ダボ出し加工には、材質が冷間圧延鋼板(SPCC)もしくは電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)の場合、下表の寸法がよく用いられています。下表のダボの寸法は、既製品の金物にあいた穴などの寸法に適合しているため、既製品の金物などを利用する場合には有用です。

参考:【SPCC基礎知識】SPCCの金属加工を依頼するならMitsuri!他材料とどう違う?板厚、材質、降伏点、比重、ヤング率

参考:ボンデ鋼板(SECC)とは?特殊加工による錆止め効果!メリット・用途を解説!

(単位:mm)

板厚 ダボの径 径の公差 ダボの高さ ダボ穴の径
低いタイプ 高いタイプ
0.5 Φ3.0
もしくは
Φ4.0
−0.1~0.0
もしくは
−0.05~0.0
0.25±0.075 0.5±0.075 Φ3.2
もしくは
Φ4.2
0.8 0.4±0.12 0.8±0.12
1.0 0.5±0.15 1.0±0.15
1.2 0.6±0.18 1.2±0.18
1.6 Φ4.0
もしくは
Φ5.0
0.8±0.24 1.6±0.24 Φ4.2
もしくは
Φ5.2
2.0 1.0±0.30 2.0±0.30
2.6 1.3±0.39 2.6±0.39
3.2 1.6±0.48 3.2±0.48

なお、ダボ出し加工の「ダボ」とは本来、木工に用いられる下図左図のような部品のことです。木材を繋ぎ合わせる際に用いられます。具体的には、木材の接合面の双方に穴をあけ、下図右図のように差し込むことで部材同士を固定し、ズレることなどを防ぎます。

引用元:ブログ > 単管パイプ/足場管「単管パイプのダボ加工って何??!」大和鋼管工業株式会社

ダボによる位置決め

ダボによる位置決めは、上述したように、板金に成形したダボを組み合わせる部品の凹や穴に嵌め込み、板金と部品の相対位置を固定することで行います。このダボによる位置決めは、板金を重ね合わせて溶接する「スポット溶接」でよく採用されます。ちなみに、スポット溶接では、板金が重なった部分を電極で挟み込み、電流を流すことで、2枚の板金の接触部に抵抗熱を発生させ、接触部を溶融して接合します。

位置決めにダボを利用することで、材料に位置決めのための印を付ける「ケガキ」が不要となり、ケガキに合わせた材料の位置決めも簡素化することができます。位置決め用の治具の代替とすることも可能であるため、コスト削減にも繋がります。

ダボによる固定

引用元:MONOist「半抜きを使う[板金スマートテクニック]」アイティメディア株式会社

ダボは、ストッパーとしての役割も果たすことが可能です。例えば、上図のように、2つの板金を重ねて、1点をねじで止め、さらに1点をダボと穴で固定すれば、ダボは回転止めとして機能します。ただし、ダボと穴がピッタリと嵌まっていなければ、それらの隙間によって多少振れは生じます。

ダボ出し加工の原理

ダボ出し加工では、金型のパンチとダイの間に板金を挟んでプレスすることでダボを成形します(上図参照)。主にタレットパンチプレス(タレパン)加工機が用いられますが、ダボの形状やサイズに合わせた金型が必要です。

参考:【タレパン】タレットパンチプレスの仕組みや特徴について詳しくご紹介!!

例えば、下図の3つのダボがある板金は、それぞれ異なる金型を用いてプレスしたものです。それぞれの金型には下記のような異なる点があり、その違いによって成形可能なダボの高さが変わってきます。

●上の板金…パンチとダイのクリアランスがゼロの金型を使用。板金をせん断するように加工することとなるため、抜けやすく、板厚の半分程度の高さまでしかダボを出すことができない。

参考:せん断加工とは【3分でわかる】専門家がわかりやすく解説します!

●中央の板金…パンチとダイのクリアランスを板厚程度とした金型を使用。板金を引き伸ばしてダボを成形することとなるため、絞り加工と同じような加工となり、板厚以上の高さのダボも成形することができる。絞り加工のように、プレスを何回かに分け、板金を少しずつ引き伸ばすことで、ダボを高くすることが可能。

参考:絞り加工の基礎知識と工程9ステップを徹底解説!

●下の板金…先端にRを付けたパンチを使用し、パンチとダイのクリアランスを板厚程度とした金型を使用。先端が直角のパンチを使用した金型を使用するよりも、ダボを高くしやすい。

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