2025-01-15
更新
せん断加工は、歯車やステンレス製品、各種の打ち抜き部品といったものから小型精密機械の部品といったものまで幅広い部品製造にプレス成形とともに生産現場で広く使用されています。
そんな製造現場において必須といえるせん断加工についてご紹介していきます。
せん断加工は板材、線材、棒材といった材料を切断する加工方法の一つです。せん断加工はプレス機を使用し材料をあらかじめ作りたい形や長さの通りに大量に製作できる為、大量生産に向いています。
そんなせん断加工ですが、日常でも使われています。穴開けパンチはせん断加工の仕組みがわかる文具です。直径が同じ穴を同じ場所に開けられる穴開けパンチは金属の材料を決まった大きさ、場所に開ける加工と全く同じです。またハサミは二枚の刃物をずれ合わせる事で紙を切るせん断力を利用した道具です。
せん断加工の一つにタレパン加工があります。こちらの動画ではタレパン加工とレーザー加工の違いを動画で簡単に説明しています。タレパン加工の仕組み、タレパン加工が得意な製品を図解していますので、是非ご覧ください!
https://youtu.be/3Cl0rQRz1VQ
【6分でわかる】タレパンとレーザーの違い【板金加工】
素材となる金属をダイ(下の金型)に乗せ、上からパンチ(上の金型)で圧します。破壊限以上の力を加えることでせん断断応力が発生し、金型の形の通り切断する仕組みです。
せん断の仕組み
破断面の下端部にバリ(かえり)が発生する場合もあります。
クリアランスの大小は、素材の断面形状に大きく影響を与える要因となり、クリアランスが大きい場合は、抜き打ちに要する力は小さくて済みますが、素材がちぎれるように分断される形となります。
平板を切断加工した時に、切口の断面はパンチが当たった上部からダレ(滑かなR形状)、せん断面(光沢があり縦筋がある)、破断面(材料をむしりとった感じ)、ギザギザがあり触ると痛いバリ(かえり)ができます。
クリアランスが大きい場合、大きなダレやバリが発生し破断面が乱れた断面となります。
クリアランスが適切である場合は、素材のパンチ側とダイ側双方に生じたクラックが適切にかみ合い、スムーズに分断が行われせん断面は整った状態になりやすいです。
クリアランスが小さい場合は、湾曲したような形状の大きなクラックが発生します。さらに上下のクラックに囲まれた部分(タング)が発生し、その部分が脱落します。クリアランスが小さすぎる場合は、工具を傷めてしまうことにもつながってしまうのです。
したがって、クリアランスは大きすぎても小さすぎても素材のせん断面の美しさや機能を損なったり、せん断の機械寿命を縮めたりするため、適切なクリアランスの設定が重要となってきます。
切り口の精密度によって「単純せん断」と「精密せん断」に分けられ、使用目的により加工法を選びます。まず普通せん断では「ブランク加工」、「トリミング加工」、「ピアス加工」があります。
ブランクとは板材を意味します。コイル状や大きな板状の素材を、プレス加工などに使用できるよう適切な形状の金属の板材にするため、素材を打ち抜く事をブランク加工といいます。
材料作りのために単に打ちぬく作業だけでなく、コイル材の巻きぐせを直し加工しやすくし、素材の洗浄や、抜き取ったブランク材を積み上げる工程の作業もブランク加工になります。
せん断加工において発生する素材の余肉(素材の余白部分)を取り除くことをトリミング加工(*)といいます。
例えるならば、一枚の平たく大きなクッキー生地から丸い抜き型を使ってくり抜いたものがブランク、ブランクを抜き取った後の生地が余肉となります。
(*)トリミング加工:素材をウレタンゴムなどのパッドで動かないように固定し、そこにパンチを降下させて打ち抜く加工法です。
トリミングによって抜き取った後に残ったパーツがスクラップで、自動車の車体製造など、複雑なプレス加工を行う大規模な機械では、このスクラップが詰まるとラインを停止させる原因になります。トリミング加工を行う際は、適切にスクラップを排出することが重要です。
穴あけ加工は素材に穴状のせん断を加える加工です。二穴パンチが身近な例になります。
素材を弾性のあるパッドでダイ上に固定し、パンチで打ち抜きます。穴あけ加工を行うパンチは「ピアスパンチ」、それを受けるダイは「ボタンダイ」という名前です。
「ピアスパンチ」は「パンチリテーナー」という器具で機械に固定されています。狭い範囲で複数の穴を開ける場合は、1つの「パンチリテーナー」に複数の「ピアスパンチ」を取り付ける「集合リテーナー」を使用することが多いです。穴あけ加工もトリミング加工同様、スクラップの適切な排出が大切になっています。
上記のようにせん断した後、金属板から目的の形状を切り離す方法には、切り離し方により加工の名前が異なります。具体的には次のような加工の名前と加工の方法があります。
「打ち抜き加工」は金属板から必要な形状を打ち出します。
「切り欠き加工」は金属板の端の部分から一部を打ち抜く加工で、加工の方法は打ち抜き加工と同様です。
「縁取り加工」は成形した加工物の周囲の縁の部分を切り取ります。
「切断加工」はプレス加工前の大きな金属板の中央部分を余裕がない状態で切断し、切り離す加工です。
「分割加工」はプレス加工前の大きな金属板の中央部分に余裕を持たせて分割する加工です。
「切り込み加工」は金属板の中央部等を切り込み、金属板から打ち抜き部分を引き起こすせん断加工です。
「シェービング」は普通せん断を行った断面を削り取り、面の状況を整える技法です。
「ファインブランキング」はパンチとダイのクリアランスを出来るだけ小さくするようにパンチとダイスの位置合わせを精密に行います。また打ち抜く金属板のずれ、ソリを抑えるため、上下からプレスの圧力を強めたりすることでせん断面の乱れを抑え、ダレのない破談面を作る技法です。
製造現場では製造の第一歩と言える板材製造に使われることも多く、切断の原理も大変簡単なものですが、金型を素材に当てる場所が的確でなければ、大きなダレや不要な縁などが出来てしまい、不要な工程や原料のロスが発生してしまいます。
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