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絞り加工の基礎知識と工程9ステップを徹底解説!

絞り加工 | 2021年09月07日

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絞り加工とは、板金加工の一種で、一枚の板に圧力を加える(絞る)ことで凹ませ、継ぎ目がない容器状の製品を成形することです。

  1. この記事では絞り加工の1.用途、2.種類、3.加工の仕組み、4.工程について詳しくご紹介します。

1.用途

絞り加工で成形される製品は、一枚の板からできており継ぎ目がなく、底つきの容器状です。製品にはキャップ類、ボトル容器、アルミ缶、灰皿などの小さな物からエンジンのヘッドカバーキッチンシンクなど大きな物まで様々なものがあります。

また、形状は円筒をはじめ、角筒円錐角錐など幅広く、少工程で成形できるため、工業製品の部品の一つとして多種多様な場面で使用されています。


2.種類

絞り加工の種類は、成形品の形状によって分類すると6種、成形品の絞り深さで分類すると2種に分けることができます。また、加工方法によって分類されることもありますので、その方法のいくつかをご紹介します。

形状による分類

①円筒絞り加工

②角筒絞り加工

③異形絞り加工

④円錐絞り加工

⑤角錐絞り加工

⑥球頭絞り加工


絞り深さによる分類

①浅絞り加工

②深絞り加工


形状に関する分類のうち、③異形絞り加工は、自動車の車体パネルに使用されるような複雑な形状に成形するものです。

また、絞り深さによる分類では、仕上がった製品の直径に対して製品の深さの方が短いものを①浅絞り加工、長いものを②深絞り加工としています。

加工方法による分類

絞り加工には、板金を上下から金型で挟んで加圧することで成形する一般的な加工方法と、熱や液圧などを利用して成形する加工方法があります。ここでは、その特殊な絞り加工の中でも代表的な温間成形法と対向液圧成形法について説明します。

温間成形法

引用元:絞り加工.COM

温間成形法は、板金に熱を加えた状態で加圧して成形する絞り加工法です。

例えば上図の例では、ダイスとブランクホルダーをヒーターで加熱し、パンチを水で冷却することで板金の温度を制御しています。

温間成形法は、高温では加工性が向上するという金属材料の性質を利用しています。そのため、板金が薄すぎる、絞りが深すぎるなどの理由から、一般的な絞り加工法では成形することが難しい形状を加工する場合に用いられます。また、絞り回数を減らす目的で採用されることもあります。ただし、設備や金型などに初期コストがかかる、ランニングコストが上がってしまうというデメリットもあります。

温間成形法は、ステンレス(SUS304)やアルミニウム合金を素材とする場合に用いられることが多いです。下の写真で挙げているSUS304の例では、左の冷間での成形品が20mm、右の温間での成形品が33mmと絞り深さは1.5倍程度になっています。なお、SUS304では、板厚や絞り径、温度にもよりますが、温間成形法で絞り深さを2倍以上にすることも可能であると報告されています。

引用元:株式会社吉井金型製作所


対向液圧成形法

引用元:絞り加工.COM

対向液圧成形法は、上図のように、液体を満たした液圧室にパンチを押し込み、そのときに生じる対向液圧を利用して板金を成形する絞り加工法です。

この方法では、板金は液体から均等に圧力を受けるため、局所的な板厚減少を抑制することができます。それにより、高い寸法精度が得られると共に、絞り深さの限界が向上することから工程削減が可能です。また、下側は液体であるため、下側の金型が不要である、キズやへこみが発生しにくいというメリットがあります。ただし、一般的な絞り加工法に比べ、成形時間がかかるというデメリットがあります。


3.加工の仕組み

絞り加工では、成形したい形の凹みをもつ下側の金型(ダイ)と、そこに沈み込む上側の金型(パンチ)がペアになって、一枚の板に圧力を加え成形します。

流れとしては、まずシワ抑え板であるブランクホルダーがダイ上に板を押し付けた後、パンチが降下して板に圧力をかけます。そしてパンチの下端部の形状に従って板が変形し、ダイに空いた穴の内部に押し込まれていきます。更にパンチの降下が進むとブランクホルダーで抑えられていた周辺部がダイの穴の中へ引き込まれていき、成形が行われます。

金型・機械・加工条件などのバランスが整って初めて、シワや割れ、ひずみのない製品が生まれます。

引用元:工具の通販モノタロウ


4.工程

ここで、円筒絞りの絞り加工を例に、その製作工程を解説していきます。


①ブランク直径Dを求める

まず、作りたい製品の形状を展開してブランク(板)の直径を求めます。ブランクを絞り形状にしますが、1回に絞れる径には限界があるため、最初に絞る「初絞り」の後に、「再絞り」が続くことを念頭に置きます。目的とする径に達したとき、形状を整える「リストライク工程」を要することも多いです。最後に絞ったフランジ(縁)のトリミングを行って完成になりますが、このトリミングによって削られる部分を考慮して、ブランク直径を計算します。

引用元:MiSUMi-VONA技術情報

このとき、ブランク展開式と呼ばれる式を利用します。

D=√(d`^2+4dh)

d`:フランジ直径 d:絞り部分の直径 h:絞り部分の高さ


トリミング代は、例えば円筒絞り加工をするときに円形ブランクから絞ったとしても、フランジの縁は変形して四角になります。トリミング代の明確な基準はありませんが、製品の大きさに比例するので、その分多めにフランジ直径を見積ります。

製品形状が複雑な場合は、形状を分割して面積計算して、その合計でブランク直径を決めることもあります。


②絞り回数を決める

求めたブランク直径から、何回で絞ることができるか決めます。絞り加工では1回に絞れる深さに限界があるため、目的の形状になるまで複数回繰り返します。また、繰り返すにつれ、材料は加工硬化して絞りづらくなっていきます。その上で、絞れる量を決める方法として、「絞り率」を使います。

絞り率(m)=絞り後の径÷絞り前の径


工程ごとの絞り率の目安は、

初絞り…m1=0.5~0.6

2絞り…m2=0.75~0.8

3絞り…M3=0.8~0.9

となっており、これを利用して、ブランク直径から何回で絞れるか決定します。

尚、これには、板厚の条件は考慮されていませんが、絞りの難易度を把握する方法として「相対板厚」があります。

相対板厚=板厚÷ブランク直径×100(%)


相対板厚が小さいほど絞りにくく、大きいものほど絞りやすくなります。


③パンチ径を決める

製品のパンチ、パンチ肩半径を元に、最後の絞りから初絞りへと順を追ってパンチ肩半径rを求めながらパンチRを決定します。

まず最終絞りのr1の中心位置と同じ線上にr2の中心をとり、円弧を描くように肩をとって最終絞りの一つ前のパンチR2を決めます。次に、R2の中心から外径までの距離を3~4等分し、r2の中心線上から1/3または1/4外側へずらした位置で、再び円弧を描くように肩をとってr3を求めながらR3を決定します。更に前工程がある場合は、初絞りまでこの操作を繰り返し、r、Rを求めます。

引用元:MiSUMi-VONA技術情報


④ダイ寸法とクリアランスを決める

絞り加工をすると、変形するときにブランクの縁が収縮し縁の板厚増加が生じます。このため、金型のクリアランス(隙間)は材料板厚より大きく設定し、板厚増加を考慮します。

一方、この板厚増加によって、絞り径の寸法精度が悪くなるため、厚くなった部分をしごいて均一にすることも行います。この場合、クリアランスは元の板厚より小さくなります。

このように、最初の工程ではクリアランスを大きくとり、無理なく加工できるようにした上で、最終工程に近づいた際にクリアランスを小さくし、側壁にしごき加工を加え、均一な厚さと寸法精度を確保します。

ダイ寸法は、各絞り過程のパンチ径にクリアランスの2倍(両側面分)を加えたもので求められます。


⑤ダイ肩半径を決める

ダイ肩半径r`は、初絞りから最終工程に向かって決めていきます。このとき用いるのが③で求めた初絞りのパンチ肩半径rです。初絞りのダイ肩半径は初絞りのパンチ肩半径よりも少し大きいか同じにします。また、初絞りのダイ肩半径r`は

4t<r`<20t    t:板厚

の範囲内になければいけません。

第2絞りのダイ肩半径は、初絞り時の100~60%の範囲で減少します。第3絞り以降も同様に減少していきます。

尚、フランジのある絞り形状の場合は、必要なダイ肩半径の大きさと、製品が求めるダイ肩半径の大きさが異なり、形状を整えるためのリストライク工程を要する場合があります。


⑥絞り高さを決める

形状にもよりますが、①でブランクを求めるために使用したブランク展開式h=の式になおして各工程で計算することで、各絞り工程での高さを知ることができます。

h=(D^2-d2^2)/4d1

D:ブランク直径  d2:フランジ直径  d1:各工程の絞り直径


⑦プレス機械の選定

まず、絞り加工力を下記の式から求めます。

P=K・n・d・t・Ts(kgf)

K:係数 n:円周率 d:絞り径 t:板厚 Ts:引っ張り強さ


Kは、絞り率が一定であれば、相対板厚が大きいほど小さくなり、反対に相対板厚が小さいほど大きくなります。(限界値1.0)

この絞り加工力とシワ抑え力が同時に出力できること、パンチに張り付いた成形品を引き剥がす逆方向の加圧力があること、金型取り付けのための寸法が確保されていること、等の条件を満たしている機械を選びます。


⑧絞り材料の選定

材料の特性には、「引っ張り強さ」「降伏点」「伸び」「硬さ」の4つがあります。この中でも、「伸び」は成形性を見る上で重要であると共に、以下紹介するr値(ランクフォード値)、n値(加工硬化係数)が絞り成形法と相関します。

r値…引き伸ばしたときに板厚方向よりも幅方向に縮みやすい材料であるかどうかを示す数値

(大きいほど絞りやすい)

n値…加工したり変形させたりすることで材料が硬くなる性質を表す値

(大きいほど硬くなる)


⑨潤滑油の選定

絞り加工中は、ブランクが高い面圧を受けながら金型の上を滑るため、潤滑油が必須です。潤滑油を使用することによって、摩擦や破断、焼き付き、金型のダメージを防ぐことができます。(※近年ではドライ絞り加工が行われる場合もあります)

使用するのは液圧潤滑油で、油性タイプと水性タイプの二種類があります。粘度、後工程での洗浄、冷却性など用途目的に応じて選定します。


以上、①~⑨の工程を経て、実加工に進みます。


絞り加工で作成できる形状

引用元:株式会社長野サンコー

ここでは、絞り加工で作成できる形状についてご説明していきます。


おわん型

引用元:有限会社こだま製作所

おわん型に加工する際には、一般にへら絞り加工と呼ばれる加工方法が用いられます。へら絞り加工とは、金属材料を高速で回転させ、へら棒と呼ばれる金属の棒を押し付けることで成形する加工方法を指します。

おわん型のような形状は、切削加工を用いて製作することもできますが、材料に金属の塊を用意する必要があり、さらに切削する部分も多くなるため、材料の無駄が多く、材料にかかるコストも増加してしまいます。一方、へら絞り加工では、金属板を用いて加工を行うことができるのに加えて、材料を削ることなく、塑性変形を利用して加工を施すため、材料の無駄がありません。

参考記事

こちらの記事では、ヘラ絞り加工について加工方法やメリット・デメリットなど、さらに詳しく解説しています。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

【へら絞り】へら絞りの加工方法やメリット・デメリットをわかりやすく解説!!


パイプの絞り加工

次に、パイプの絞り加工についてご説明していきます。

パイプのテーパー絞り

引用元:株式会社テクノス・ジャパン

テーパーとは、径が先端に向かって傾斜している(細くなっている)形状のことを指します。パイプにテーパーを付けるには、一般的に金型を用いてパイプの外径を絞る方法が利用されます。


●断面形状を変更する時に使う方法

パイプにテーパーを付けるように、パイプの断面形状を変える際に用いられる方法には、さまざまな種類があります。その中から、代表的な2つの方法についてご紹介いたします。

①プレスによる方法

引用元:株式会社ヤノテック

まず、プレス機を利用する方法では、上図のように、パイプ材料の外径より小さい内径のダイスにパイプを押し込むことで、その外径を小さくします。ダイスの形状を変えることによって、テーパーを付ける他にも、断面形状を円から六角に変えることなども可能となります。

②スウェージングマシンによる方法

引用元:株式会社伊藤製作所

スウェージングマシンを用いる方法では、上図のようにスウェージングダイスと呼ばれるダイスによって、パイプを直径方向に加圧することで断面形状を変化させます。なお、スウェージングダイスの内部は、下図に示すような構造になっており、1~2対のダイスが加工部の周囲を回転しながら、連続的に叩くことで加工部を加圧していきます。なお、ダイスの打撃数は毎分3000~5000回にもなり、高速で加工が施されることが分かります。

<スウェージングダイスダイスの内部>

引用元:株式会社シミズプレス


●パイプのバルジ加工

引用元:株式会社山光

バルジ加工とは、金型内にセットしたパイプ内に液体を充填させ、内側から超高圧力をかけることで金型に沿った形状に成形する加工方法を言います。ハイドロフォーミング加工や膨らまし加工などと呼ばれることもあります。バルジ加工は、難易度が非常に高い絞り加工の一種で、複雑な形状の中空製品の成形に利用されます。


異形の形状

引用元:株式会社春日井金型

異形絞り加工とは、上図のように、円筒や角筒のような決まった形状を持たない複雑な形状を成形する加工方法を指します。例えば、下図に示したような家庭用暖房機の燃料タンクの底面には模様が付いていますが、このような模様の形状も異形絞り加工によって実現されます。

引用元:株式会社加藤製作所

異形絞り加工では、前述した円筒絞り加工の方法と同様、下図のように底面に合わせたパンチと、目的の形状に合わせた金型(ダイ)を利用して加工を施します。

引用元:株式会社春日井金型

しかし、異形絞り加工では、円筒絞り加工や角筒絞り加工などと比較して、金型の形状がより複雑で、圧力を加える際に様々な方向に力がかかることから、加工の難易度は高くなります。


Mitsuriでは、さまざまな形状の絞り加工を依頼できる多数のメーカーと提携しています。お見積りは無料なので、お気軽にお問い合わせください。


絞り加工のメリット

引用元:協立工業株式会社

絞り加工では、容器状の製品を生産します。一方、切削加工で同様な形状の製品を製作するには、旋盤で外形を削り出し、さらにマシニングセンタなどで穴あけ・中ぐりなどを施すことが必要です。また、筒状の材料に底となる材料を溶接することでも容器状の製品は製作できますが、筒や底の成形には、板金の切断・曲げ・溶接などの工程を要します。

ここでは、以上のような切削加工や溶接加工と比較した場合の、 絞り加工のメリットについて説明していきます。


1.短時間の成形が可能

絞り加工の実加工は、絞り回数によっては複数回のプレスを必要としますが、切削加工や溶接加工に比べて短時間で成形することができます。


2.大量生産が可能

絞り加工は、金型を用意すれば、同一形状、同一精度の製品を容易に大量生産することができます。また、生産ラインも構築しやすく、大量生産に向いている加工法です。


3.材料コストが低い

絞り加工は、切削加工に比べて金属屑の発生が少ないため、材料コストを抑えることができます。


4.材料への熱的ダメージが小さい

絞り加工では、溶接を必要としないため、熱による材料の歪みなどはほとんど発生しません。


5.加工により強度が向上する

絞り加工では、部分によっては変形量が大きいため、加工硬化が期待できます。その効果は、製品の強度を向上させるため、製品の軽量化にもつながります。

また、部分によっては冷間鍛造的加工が施されるため、金属組織レベルで強度が向上します。


絞り加工のデメリット

引用元:株式会社ユタカ技研

続いて、切削加工や溶接加工と比較した場合の、 絞り加工のデメリットには以下があります。


1.初期投資が必要

プレス機械はもちろん、金型の設計や製作に非常に大きなコストがかかります。また、金型の使用を前提としてるため、多品種少量生産には向いていません。


2.割れやシワなどの欠陥が生じる

引用元:MiSUMi-VONA

絞り加工では、様々な要因から割れやたるみ、シワなどの欠陥が発生する恐れがあります。

例えば、ブランク直径が小さいと、絞り終わりでブランクホルダーによるブランクのホールドが外れてしまい、上図左のような口辺しわが発生してしまいます。また、絞り深さが大きすぎると、上図右のように、絞り加工の数日後に割れが生じる置き割れが起きることがあります。そのほか、ブランクを押さえる圧力が弱すぎればしわが、強すぎれば割れが発生してしまいます。金型の形状によっても割れやしわなどが生じることがあるので、金型の設計にはノウハウや経験が必要です。


まとめ

いかがでしたでしょうか。この記事では、絞り加工の1.用途、2.種類、3.加工の仕組み、4.工程についてご紹介しました。

仕組みはシンプルですが、精度や品質の向上のため、細かな手順を踏んで成される加工だということがわかります。

絞り加工の依頼先でお悩みの方はMitsuriにご相談ください。Mitsuriは、日本全国250社以上のメーカー様とお付き合いがあります。絞り加工をどこのメーカーへ依頼するか迷っている方は、完全無料・複数社から一括見積りが可Mitsuriにぜひご相談ください! 


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この記事を書いた人
株式会社Catallaxy

株式会社Catallaxyは "未来の製造業をつくる" をミッションに掲げ、製造業における従来のサプライチェーン/バリューチェーンの刷新を目指しています。記事内容に関するお問い合わせはこちらへ。

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