バイス(万力)とは?種類と選び方|マシンバイス・5軸用センタリングバイスも解説

バイスとは、金属や樹脂などのワークを挟んで固定する工具です。日本語では「万力」と呼ばれます。
切断、穴あけ、切削、研磨、組立などでは、加工中にワークが動かないよう、用途に合ったバイスで確実に固定する必要があります。
この記事では、作業台で使う横バイスから、フライス盤・マシニングセンタで使うマシンバイス、5軸加工向けのセンタリングバイスまで、代表的な種類と選び方を解説します。
バイスとは
バイスは、固定口金と可動口金の間にワークを挟み、ハンドルや油圧などの力で締め付ける工具です。
作業台に取り付けて手作業で使うものと、工作機械のテーブルに固定して使うものがあります。
ワークを十分に固定できていないと、加工精度の低下、工具の破損、ワークの飛び出しにつながるため、口金幅、口開き、締付力などを確認して選ぶことが重要です。
主なバイスの種類
マシンバイス
マシンバイスは、フライス盤やマシニングセンタのテーブルに取り付けて使う機械加工用のバイスです。
一般的な万力よりも剛性と精度が高く、切削抵抗を受けてもワークが動きにくい構造になっています。
締付方式には、ねじ式、メカ増力式、油圧式、空圧式などがあります。油圧式は小さな操作力で大きな締付力を得やすく、空圧式は自動化にも利用されます。ミスミも、工作機械用の代表的な分類として精密バイス、ミーリングバイス、油圧バイスを挙げています。
精密バイス
精密バイスは、本体の基準面や口金が高精度に研削されたバイスです。
平行度や直角度が求められる部品加工、研削加工、測定などに使われます。
高精度なバイスでも、テーブルとの間に切粉や打痕があると傾きが生じるため、取り付け面を清掃して使用することが重要です。
油圧マシンバイス
油圧マシンバイスは、油圧機構を利用してワークを強く固定するバイスです。
作業者による締付力のばらつきを抑えやすく、安定したクランプ力が必要な加工に向いています。
複数のワークを繰り返し加工する場合や、比較的大きな切削力が加わる加工で使用されます。国内メーカーでも、油圧式、精密型、大型型など、用途別のマシンバイスが展開されています。
横バイス
横バイスは、作業台にボルトで固定して使う一般的な万力です。リードバイスや横万力とも呼ばれます。
ヤスリがけ、穴あけ前の保持、部品の組立、金型や治具の手仕上げなどに使われます。
強い力で固定できますが、精密な機械加工用ではないため、フライス盤やマシニングセンタで使用する場合はマシンバイスを選びます。
引用元:「横万力(角胴形) JIS B 4620(1995)より抜粋」株式会社ナベヤ
5軸加工用センタリングバイスとは
センタリングバイスは、左右の口金が中心に向かって同時に動き、ワークをバイスの中央で固定するタイプです。
センタークランプバイス、セルフセンタリングバイス、5軸マシンバイスなどとも呼ばれます。
一般的な片側固定式のバイスでは、ワーク寸法が変わるとワーク中心の位置も変化します。一方、センタリングバイスはワークの大きさが変わっても、中心位置を一定に保ちやすいのが特徴です。
引用元:5軸加工用バイス(MC-P125ZK)ロームヘルド・ハルダー株式会社
5軸加工に向いている理由
5軸マシニングセンタでは、テーブルを傾けながらワークの側面や上面を加工します。
そのため、バイス本体が大きいと工具や主軸、機械テーブルと干渉しやすくなります。
5軸加工用バイスは、少ないつかみ代でワークを保持し、多方向から工具が近づきやすいコンパクトな形状に設計されています。一度のクランプで複数面を加工できるため、ワークの付け替えによる位置ずれや段取り時間を抑えやすくなります。
センタリング機構には、次のような利点があります。
- ワーク中心を一定に保ちやすい
- 5面加工で工具が接近しやすい
- ワークの付け替え回数を減らせる
- 少ないつかみ代で材料の無駄を抑えやすい
- 同じ基準で異なるサイズのワークを固定しやすい
ただし、把握できる寸法や締付力、口金の形状は製品によって異なります。荒加工で大きな切削力が加わる場合は、必要な締付力を確保できるか確認しましょう。
バイスの選び方
作業内容で選ぶ
手仕上げや組立には横バイス、穴あけにはボール盤バイス、フライス加工やマシニング加工にはマシンバイスが基本です。
5軸加工で多方向から工具を近づけたい場合は、コンパクトなセンタリングバイスが候補になります。
ワークサイズで選ぶ
バイスを選ぶときは、口金幅と最大口開きを確認します。
ワークが口金から大きくはみ出すと固定が不安定になるため、形状や加工方向も含めて検討します。
バイス本体が工作機械のテーブルに収まるか、主軸や工具と干渉しないかも重要です。
締付力で選ぶ
締付力が不足すると、加工中にワークがずれたり、浮き上がったりする可能性があります。
一方、締め付けすぎると、薄物やアルミ部品が変形する場合があります。
ワークの材質、形状、切込み量に合った締付力を選び、必要に応じて専用口金や当て板を使います。
精度で選ぶ
精密加工では、バイス本体の平行度、直角度、繰り返し位置決め精度を確認します。
複数のバイスを並べて使用する場合は、それぞれの高さや口金位置をそろえる必要があります。
センタリングバイスでは、ワーク中心の繰り返し精度も確認しましょう。
バイスを使用するときの注意点
バイスを取り付ける前に、工作機械のテーブルとバイス底面から切粉や汚れを取り除きます。
ワークを固定するときは、口金の奥まで正しく当て、浮き上がりや傾きがないことを確認してください。
また、次の点にも注意が必要です。
- ハンドルへパイプを掛けて過大な力で締めない
- 口金の締付範囲を超えて使用しない
- 加工中に工具とバイスが干渉しないか確認する
- 傷を避けたいワークには保護口金を使う
- 切粉を挟んだまま次のワークを固定しない
- 摩耗した口金やねじは交換する
5軸加工では、機械を傾けた状態も含めて干渉確認を行うことが重要です。
バイスとクランプの違い
バイスは、本体を作業台や工作機械に固定し、2つの口金でワークを挟む工具です。
クランプは、ワーク同士やワークと作業台を直接挟んで固定する工具を指すことが多く、取り付け場所を柔軟に変えられます。
ただし、製品によって呼び方が異なる場合があり、センタリングクランプのように、バイスに近い製品がクランプと呼ばれることもあります。
まとめ
バイスは、ワークを確実に固定し、安全性と加工精度を確保するための工具です。
手仕上げには横バイス、穴あけにはボール盤バイス、フライス加工やマシニング加工にはマシンバイスを使用します。
5軸加工では、ワークを中心で固定でき、工具との干渉を抑えやすいセンタリングバイスが有効です。
選定時は、口金幅、口開き、締付力、精度、工作機械との干渉を確認し、加工内容に合ったバイスを選びましょう。
Mitsuriでは、製造業・金属加工に関する依頼や相談を、
初心者でもかんたんに、進めることができます。
図面が未確定な段階からでも分かっている条件を整理したうえで、
複数の工場に相談できます。
業界最大級の金属加工マッチングプラットフォーム「Mitsuri」が運営する総合情報メディアです。