SS400とS45Cの違いを徹底解説【専門家が語る】製品によってどちらを使用すればいいかも!

素材 | 2020年09月23日

 鋼材と言えば、SS400かS45Cは最もポピュラーな2つです。しかし、この両者の違いが分からないというのも、同じくらいポピュラーな悩みかと思われます。

 

本記事では、SS400とS45C、それぞれの特徴と違いについて解説します。そして、SS400とS45Cを使った製品事例も紹介します。


SS400とS45Cの選び方について!

材質として、SS400とS45Cをどういう基準で選べばいいのかを簡単に動画で解説しています!3分程度でサクッと見れるので、お時間が無い方はぜひ!

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SS400の特徴

 

引用元:Pixabay

 

SS400は、最も広く一般的に使われている鉄鋼材料(鋼材)です。

 SS400は、SS(Steel Structure)材の代表的な鋼材でもあります。また、SS材は正式には「一般構造用圧延鋼材(いっぱんこうぞうようあつえんこうざい)」というJIS規格(日本工業規格)です。

 

「SS○○」の「○○」に入る数字は、引っ張り強さの下限を示しています。つまり、最低限保証された引っ張り強さという意味で、N/mm2(MPa)単位が用いられます。

SS400の場合は、およそ400~510N/mm2ということです。


 

「一般構造用圧延鋼材」や「Steel Structure(構造)」という名前からも分かりますように、SS400は主に構造用に用いられます。

 

引用元:Pixabay

そして、SS400は鋼材の中では比較的安価で汎用性が高く、流通量も多いため入手し易いというメリットがあります。

 

「鋼材」を思い浮かべた時に、まず最初に思いつくほどポピュラーな鋼材がSS400です。使用される分野も幅広く、建築、自動車、橋などの土木建築、船舶と、多岐に渡ります。

 

SS400は、切断加工、曲げ加工、後処理、溶接といった加工ができます。しかし、溶接には少々不向きです。それは、SS400などのSS材には、成分規格がないためです。成分規格がないことで、溶接時に溶接材やシールドガスと反応しないように、適切に選択することが難しい面があります。また、板材が厚くなれば、それだけ溶接性も悪くなります。

 

加えて、SS400は一般的な鋼材の中では標準的な耐熱性を備えているものの、特別耐熱性が高い方ではありません。ですから、溶接に用いる場合は、SM材などの溶接により適した鋼材が選択されます。

S45Cの特徴

 

引用元:Pixabay

 

S45CはSS400と並び、最も多く使われている鋼材の一種です。

 

S45Cは、炭素鋼鋼材S-C系(SC材)に分類されます。SC材とは、「Steel Carbon(炭素)」の頭文字です。正式には、「機械構造用炭素鋼鋼材(きかいこうぞうようたんそこうこうざい)」というJIS規格です。

 

「S○○C」の「○○」に入る数字は、炭素含有量が何%であるかを表しています。例えばS45Cの場合は、炭素含有量は0.42%~0.48%と0.45%前後です。

 

S45Cを代表とするSC材は、炭素含有量によって規定されているため、成分規格が明確です。具体的には、炭素(C)の他に、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)の含有量が規定されています。

 

鉄や鋼といった鋼材には、炭素含有量が多いほど硬く強くなるという特徴があります。S45Cは炭素含有量が0.45%と、炭素含有量が0.2%ほどの軟鋼に比べて硬く高い強度を持っています。

 

S45Cは、鋼材の中ではSS400ほどではありませんが、比較的安価で品質が高いです。そして、成分規格が明確なので、熱処理による加工性と溶接性も良く、SS400と並び最もポピュラーな鋼材として幅広く使われています。

 

主な用途としては、機械の部品や部材が挙げられます。硬度や強度に加え、熱処理が必要とされる場面でS45Cが選択されています。

 

強度が必要とされる軸やピンといった部品に、焼き入れや焼きならしを施した上で用いられます。切削加工、研削加工にも良く、特別な性質が求められない限りは、s45cは熱処理のし易い高い汎用性があります。


 

SS400とS45Cの違いについて

 

引用元:Pixabay

 

ポピュラーな鋼材として用いられるSS400とS45Cですが、具体的な違いや用途の向き不向きがよく分からないとお困りの方も多いようです。

 

SS400とS45Cは同じ鉄ではありますが、まず規格が大きく異なります。この「規格」というのは、何を基準に規定したり分類したりするかということです。身近な例で言えば、体重別や身長別といったような分類です。

 

  • ・SS400(SS材):引っ張り強さ
  • ・S45C(SC材):炭素含有量

 

一般的に用いられる「鉄」は、厳密には「鉄」に「炭素」を混ぜた「鋼」という合金のことです。

 

この鋼は、炭素量が増えるほどに硬く強くなるという特徴があります。同時に、硬く強くなるのと反比例して、引っ張りに強い「靭性(じんせい)」と呼ばれるしなやかさは失われます。

 

炭素含有量が増えれば硬く強くなりますが、靭性が失われるので、強度の限界を超えれば折れてしまいます。ですから、用途や必要とされる場面に従い、鉄(鋼)または鋼材は硬さ強さと靭性とのバランスをとって作られています。

 

SS400の場合は、「引っ張りに強い靭性」に焦点が当てられ、成分については分かりません。ですが、炭素含有量が硬さ強さを決めるので、引っ張りに強さが分かればおおよその炭素含有量も推測できます。

 

引用元:Pixabay


一方S45Cは、炭素含有量によって規定されているので、「硬さ強さ」に焦点が当てられています。成分規格が明らかなので、熱処理に躊躇することなく用いることができるのがS45CやSC材のメリットです。

 

また、SS400は炭素含有量が0.2%なので、軟鋼(なんこう)や低炭素鋼(ていたんそこう)に分類されます。S45Cは、炭素含有量が0.45%前後なので、SS400よりも硬く強いです。

 

しかし、S45Cは品質も高く、SS400よりも高価になります。「とりあえず鉄」と選択される場合は、SS400を選ぶ方がコストパフォーマンスの面では優れているでしょう。

 

コストパフォーマンスと汎用性の高いSS400は「構造用」に適しているので、ビル、橋や自動車などの多方面で使われています。ですが、硬さ強さに弱点があるため、主要な

部材には用いられず、引っ張り強さやしなやかさが求められる二次部材に多く用いられます。

 

S45Cはというと、機械の部品や部材、特に軸やピンなど硬さと強度が求められる場面で多く用いられます。

 

SS400とS45Cは最もポピュラーな鋼材ですが、違いを分けるのは、「硬さ強さ」、「熱処理加工が可能か」、「コスト」の3点です。

 

硬さ強さと熱処理が必要な場面ではS45Cを、それ以外の場面ではよりコストパフォーマンスと汎用性に優れたSS400と、適材適所に使い分けられています。

SS400の製品事例

SS400の製品事例から3例を挙げました。

 

①伊藤精密工具製作所:「SS400ギア 外径振れ制度測定用ギアゲージ」

引用元:伊藤精密工具製作所

 

自動車のギア用の測定ゲージです。トランスミッションで使用されるこの測定ゲージには、4つのダイヤルゲージが取り付けられ、素材にSS400が使用されています。

 

②株式会社伊藤彰産業:「SS400のMC加工品」

引用元:株式会社伊藤彰産業

 

SS400を、複雑な形状にMC加工(マシニングセンタ)した製品です。

 

MC加工とは、異種加工を1台で行うことができる工作機械を用いた加工法です。この数値制御工作機械は、目的に合わせてフライス削り、曲げ、穴あけ、ねじ立てなどの加工を行うことが可能です。

 

③竹藤開発工業株式会社:「排水タンク」

  

引用元:竹藤開発工業株式会社

 

外部コイル付の大型排水タンクです。Φ3600×H7300と、自動車部品などの加工品だけではなく、こうした大きな製品にも数多くSS400は用いられています。

S45Cの製品事例

S45Cの製品事例から3例を挙げました。

 

①株式会社加藤研磨製作所:「S45C シャフト 円筒度0.002 硬質クロムメッキ仕上げ」

 

引用元:株式会社加藤研磨製作所

 

自動車の試作に用いられる治具(ジグ)です。素材にS45Cを用い、熱処理によって硬度と強度が増されています。さらに、クロムメッキを施すことで、耐食性、耐摩耗性、潤滑性を高めています。

 

②株式会社エージェンシーアシスト:「流体計測用フランジ」

引用元:株式会社エージェンシーアシスト

 

高精度のNC旋盤加工が施された、流体計測装置部品です。流体計測装置部品には傷や打痕は認められず、さらに高精度の真円度や同芯度が求められます。

 

③株式会社エージェンシーアシスト:「生産設備用機械加工部品」

 

引用元:株式会社エージェンシーアシスト

 

やや大きめの生産設備用機械加工部品です。S45Cに、MC加工と無電解Niメッキを施して製作されています。

 

SS400と異なり、S45Cは高精度と強度が求められ、細かく複雑な加工が必要とされる部品に用いられていることが分かります。

まとめ

最もポピュラーな鋼材である、SS400とS45Cのそれぞれの特徴と違いを解説し、製品事例も挙げました。

 

SS400とS45Cには、「硬さ強さ」、「熱処理が可能か」、「コスト」といった違いがあります。強度や熱処理が必要な場面にはS45Cを、それ以外にはコストパフォーマンスと汎用性に優れたSS400と、両者は使い分けられています。

 

しかし、製作したい製品や部品にどちらを使えばいいのか、どのくらいの強度や加工が必要なのかが判断できず、お困りかと思われます。

 

そのような時には、ぜひMitsuriにご相談下さい。

Mitsuriは、日本全国に協力企業が100社ございます。お客様のご要望に合わせて、SS400とS45Cの最適な選択と工場のご紹介ができます。

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Mitsuri編集部
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