2025-01-13
更新
この記事では、バルブの種類や構造、使われている材質の種類などについて解説します。
バルブは、水道の蛇口やガス栓、工場のラインや産業機器などの幅広いシーンで使われている製品です。一口にバルブと言っても、グローブバルブやボールバルブといった豊富な種類がラインナップしています。
主に、配管を通って流れてきた水・ガス・薬品などの流体をせき止めたり、量を制御したりする目的で使用します。
バルブとは、主に配管に流れる流体を通したり、止めたり、制御したりするもので、流路を開閉することができる可動機構をもつ機器の総称のことです。
水道に関するバルブや、流体の量を制御するバルブは「栓(Plug)」と呼ばれるほか、流体を遮断する目的のバルブは「コック(cock)」と呼ばれることもあります。
バルブは英語で「valve」と表記し、日本語では「弁」とも呼びます。バルブと弁の呼び方については、【JIS B 0100:2013 バルブ用語】の規格にて、以下のように記述されています。
用途、種類、形式などを表す修飾語が付くものには“バルブ”という用語に代えて、通常、“弁(べん)”という用語を用いる。
上記によれば、ゲートバルブやグローブバルブではなく、ゲート弁(仕切弁)・グローブ弁(玉形弁)が正しい呼び方になります。しかし、一般的にはゲートバルブ・グローブバルブのように、カタカナ表記のあとは、バルブの呼び方を採用しているケースも多いです。
まずはバルブの基本構造について解説します。
JIS B 0100:2013 バルブ用語によると、バルブは「流路を開閉することができる可動機構をもつ機器の総称」とのことです。この可動機構は「弁体」と呼ばれるもので、弁の基本構成の一種にあたります。このほかにも、バルブはさまざまな部品から構成されています。
以下はバルブを構成している基本的な部品の一覧です。
・弁箱(本体・ボディ):配管との接続部分で、バルブの部品を構成するための本体部品
・弁体(ディスク・プラグ・ゲート):流体を制御するための可動機構
・弁座(シート):バルブが閉状態のとき、バルブ内の流路に流体が侵入するのを防止するための部品
・弁棒(ステム):ハンドルと弁体を繋ぐ軸となる部品
・パッキン:流体の侵入を防止するのに用いるシール材
・ハンドル:バルブを手動で操作するための取っ手
次にさまざまなバルブの種類を見てみましょう。
グローブバルブ(玉型弁)は、入口と出口が一直線上にあるものの、流体の流れがS字状に形成されるのが特徴です。機構としては、ハンドルを操作して弁体を上下させることで流体を制御します。
グローブバルブは、流路の向きがバルブ内で大きく変わることから、流体の圧力損失が大きくなる傾向にありますが、閉止時の密閉性と流量調節のしやすさに優れています。
一方で、閉止時は流体の圧力全体を弁体で受けているため、開閉のトルクが大きい点に注意が必要です。これにより、圧力が大きくかかる大口径の配管には適していません。
対応する流体:水・油・空気・蒸気等
ボールバルブは、穴の開いたボール状の弁体を搭載しているタイプを指します。管路とボールの穴の向きを合わせることで、流体が通り抜ける仕組みです。
穴は配管の内径と同じくらいの大きさで開いているものが多く、全開時の圧力損失が極めて小さいのが特徴です。また、ハンドルを90度回転させるだけで、流体を通す・止めるの操作ができるため、操作時間が少なく済むのもメリットです。
しかし、中間の開度で制御しにくく、基本的には全開か全閉の用途で使用します。
ゲートバルブ(仕切弁)は、ハンドルを回転し、仕切りの役割をもつ弁体を上下させることで流体を制御するタイプです。
ゲートバルブは、全開時の圧力損失が極めて小さく、開閉トルクも他のバルブに比べて小さい特徴があります。
しかし、中間の開度で使用すると、弁体が細かく振動し、破損などのトラブルにつながってしまうため、基本的に全開と全閉のみで使用します。弁体の開閉は基本的にハンドルを回して行うことから、操作性にも乏しい特徴があります。また、弁体の移動距離を確保するために、取り付けのスペースを大きくとる点に注意が必要です。
ゲートバルブは、弁箱・弁体の形状の違いよるラインナップが豊富で、弁体がくさび状のウェッジ仕切弁、2つの弁体を組み合わせたパラレルスライド弁やダブルディスク仕切弁、流路の中心部分を狭く設計しているベンチュリポート仕切弁などもあります。
バタフライバルブ(バタ弁)は、円板状の弁体が弁棒を軸に回転することで流量を調節できるタイプです。
流量調節だけでなく、全開と全閉にも対応しており、汎用性が高いのが特徴です。そのほかのメリットとしては、全開時の圧力損失が比較的小さい、面間寸法が短い、小口径や大口径とサイズのラインナップが幅広いなどが挙げられます。
一方で、弁体が板状のためウォーターハンマーや不平衡トルクが生じやすく、操作には注意が必要です。
チャッキバルブ(逆止弁・チェックバルブ)は、流体の逆流を防ぐことができるタイプです。基本的な構造は、流体の流れる圧力で弁体が開き、流体の流れが停止すると、逆流しようとする流体の圧力により弁体が閉まる仕組みになっています。
上図は、チャッキバルブの代表的なタイプであるスイング式を表しています。 スイング式以外にも、垂直方向にスライドする弁体をもつリフト式や、半円板状の2枚の弁体をピンで弁箱に取りつけたデュアルプレート式、弁体に内蔵するボールを圧力で押し上げることにより流路を開放するボール式などがあります。
ねじ込み形は、バルブと配管の端部がそれぞれねじ切りされていて、配管をバルブにねじ込んで接続するタイプです。
ねじ込み形のバルブは、テーパねじと平行ねじのタイプに分かれていますが、基本的にバルブはテーパめねじが切れていて、おねじを切った管の先端と接続します。
ねじ込み形の特徴は、ねじ加工のみで、ほかの部品を必要としないことから経済的です。ただし、ねじ込みによる接続のため、シール性に乏しい点は注意が必要です。
ねじ込み形は主に小口径・低圧・常温の配管系のバルブに採用されています。
フランジ形は、フランジ形状にした互いの接続箇所をボルトナットで固定するタイプです。フランジとは、ほかの部品などに固定するための「つば」の形状のことを指しており、ボルト穴を設けています。
フランジ形は、小口径から大口径、低圧から高圧まで、幅広く使われています。
差込み溶接形(ソケットウェルド)は、雌型のソケット状に成形されたバルブの接続箇所に対して、管を差込み溶接します。
差込み溶接形は、バルブの寸法が2インチ以下の小サイズに適用されます。
突合せ溶接形(バットウェルド)は、上図のようにバルブと管を突合せたあと、溶接して固定するタイプです。
突合せ溶接形は、しっかりと溶接ができるようにバルブと管の両方に開先を設けます。
バルブの寸法は差込み溶接形と異なり、小サイズから大サイズまで適用されます。
溶接形のバルブは共通して、高温高圧用やパイプラインなど、漏れを完全に防止したい場合に採用されています。
ここでは、バルブで主に採用されている材料・材質について解説します。
鋳鉄は炭素量2.1~6.67%を含む鉄のことを指します。鋳型に溶かした金属を流し込み、冷やして凝固したものと製品として使う「鋳造」に適した材料です。鋳鉄は、主に低圧・常温用のバルブに採用されています。
ダクタイル鋳鉄は、別名「球状黒鉛鋳鉄」とも呼ばれる素材で、黒鉛を球状にすることで、鋳鉄よりも強度や靭性が向上します。ダクタイル鋳鉄は、蒸気・水・ガス・油などの幅広い用途で使える材料です。
ステンレス鋼は、鉄にクロムなどを加えた合金です。錆びに強く、耐久性・耐熱性・加工性などにも優れています。さまざまな特性をもちますが、ほかの材料に比べて高価な傾向にあります。
青銅は、別名「ブロンズ」とも呼ばれる素材で、主成分の銅に加えて、錫・亜鉛・鉛などを加えた合金です。耐摩耗性・耐食性・切削性に優れており、鋳物の材料としても使いやすい特徴があります。主に低圧・中圧のバルブに使われています。
黄銅は、別名「真鍮」とも呼ばれる素材で、主成分の銅に亜鉛を加えた合金です。鍛造性と切削性に優れており、青銅と比べると経済性にも優れています。また、機械的強度も良好で、ゲートバルブやボールバルブに多く採用されています。
バルブサイズの「呼び」は、ミリメートルで表しているA呼称と、インチで表しているB呼称があります。「呼び」とは、製品のサイズの分類のことを表します。
A呼称の場合、6A(ろくエー)、8A(はちエー)などといった、見た目の通りの呼び方になります。一方でB呼称の場合は、1インチ未満を分数で表しますが、このとき1インチを基準に1/8単位で区切り、「○○分(ブ)」と呼びます。例を挙げると、1/8B(いちブ)、1/2B(4/8Bとなり「よんブ」)といった呼び方をします。これは日本の分厘毛で置き換えた表現になります。
参考として、以下にA呼称とB呼称の呼び方の一部を記載します。
※上表の隣り合うA呼称とB呼称は、同じサイズを表しています。
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