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タップ、バーリング、ナットの選定方法
2024-04-26
タップ、バーリング、ナットはどれも板金加工でネジに関わるものです。
設計する際に、適切なものを選べていますか?
タップ、バーリング、ナットにはそれぞれ特徴があり、主に加工範囲によって左右されます。
加工範囲を満たしているか確認し、その上で用途に添っているか確認しましょう。
タップ
ネジ穴といえば基本的にタップのことを指します。
板金加工では厚さ1.5mm以上で、M3のタップ加工が可能です。ネジには規格があり、ネジ山のピッチが決まっています。このネジ山が3山以上回せることが理想です。
<ネジの呼びと最低板厚>
ただ、どうしても上記の条件より薄い板にタップを加工したい場合が出てきます。
例えば、厚さ1mmの板にM4のネジを通したい時です。このような時にバーリングとナットが役立ちます。
バーリング+タップ
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正しくはバーリングは薄板に開けた穴の周囲に立ち上がりをつける加工のみです。さらにタップを加工することでネジが立つようになります。
板厚は0.8mm~2.3mmで、タップの径によって左右されます。バーリングの高さも、加工する板厚と径によって決まるので、高さを指定することは難しいです。高さを指定してしまうと、かえって工場から加工できないと断られてしまう原因になります。括弧寸法で記載するか、高さの指定はしないようにしましょう。
![](https://cdn.prod.website-files.com/64e84d2331cc23753bda3664/662a3dabcaf4630a5a397eed_burring.png)
バーリングのメリット・デメリット
メリット
- 汚れが溜まりにくい
- 低コストで強固なネジ穴が作れる
ナットを使用時に比べ、追加部品のコストや溶接代が不要なため、全体的なコストが削減されます。
デメリット
- ネジの付け外しが多い箇所には向いていない
- アルミは適していない
- 曲げ部分に近い場所では変形の恐れがあるため、加工が難しい
- 対応できる工場が限られている
バーリングは硬い素材に適しているので、鉄やステンレスは向いていますが、柔らかいアルミは不向きです。曲げ加工に近い場所でのバーリングは困難な場合もあります。
そのような場合はナットの使用を検討しましょう。
参考記事:バーリング加工とは?メリット・デメリット、タップ加工に関しても解説!
ナット
タップとバーリングが適さない場合は、ナットの使用を検討しましょう。ナットには圧入ナット(カレイナット)や溶接ナット(ウェルドナット)などの種類があります。
圧入ナットのメリット・デメリット
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メリット
- 最小板厚が0.6mmから加工可能
- 溶接に不向きなアルミ薄板にも対応できる
- 仕上がりがきれい
- ナットが脱落しにくい
デメリット
- 対応できる工場が限られている
- 圧入と逆方向に力を加えすぎるとナットが外れてしまう場合がある
- 強く締め付けすぎるとナットが空転する場合がある
カバーなどの負荷があまりかからない部品に使用しましょう。
溶接ナットのメリット・デメリット
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メリット
- 圧入ナットよりコストが低い
- 大抵の工場で対応が可能
- ナットが取れにくい
デメリット
- 溶接のスパッタがつく可能性がある
- 溶接する人の技量によって美観が変わる
- 薄板には向いていなく、溶接による歪みが出る可能性がある
- アルミへの加工実績が少なく一般的ではない
圧入ナットを圧入した後に点付溶接をすることで、より脱落しにくくする方法もあります。
ナット溶接についてさらに詳しく知りたい方はこちら
参考記事:ナット溶接とは|ウェルドナット(溶接ナット)の種類もご紹介!
もし、アルミに強固なタップをお考えの場合は、ヘリサート、エンザート、イリサートなどのインサートを検討しましょう。その際、薄板ではなく厚板への加工になります。
参考記事:ヘリサート(スプリュー)規格・種類・形状・用途まとめ
特殊ナットについてさらに詳しく知りたい方はこちら
参考記事:特殊ナットの種類一覧と特徴を紹介