2024-09-18
更新
染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
SUS329J4Lは、【ステンレス鋼棒 JIS G 4303】などに規定されている、オーステナイトとフェライトの組織を併せ持つ「二相系ステンレス鋼」の一種です。
SUS329J4Lは、25Cr-6Ni-3Mo-N-低C型の組成を持ち、耐局部腐食性に優れた材料で、サビやすい塩化物を含む環境下に適しています。
二相系ステンレス鋼は、共通して高強度かつ高耐食性を有しています。特にSUS329J4Lは、二相系ステンレス鋼のなかでもクロムの含有量が豊富です。モリブデンや窒素も含んでおり、より高い強度と耐食性を備えています。
SUS329J4Lは、耐孔食性・耐すき間腐食性・耐応力腐食割れ性に優れており、製塩設備・海水淡水化装置・貯水槽などに採用されている二相系ステンレス鋼です。耐食性に強い材料であるSUS316よりも、優れた耐孔食性と耐すき間腐食性を持ちます。また、磁性を持つのも特徴です。
孔食とは、金属が局部的に孔が開いたかのように、深く腐食した状態です。また、すき間腐食とは、金属と金属のすき間に生じる腐食を指します。孔食とすき間腐食は、塩素イオンなどのハロゲン系イオンを含む環境で発生しやすくなります。
以下は、SUS304が孔食したものと、すき間腐食を起こしたものの参考画像です。
応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)とは、塩素イオン等の腐食因子と引張応力の作用下で起こる腐食割れです。オーステナイト系ステンレス鋼の使用時に発生しやすい傾向にあります。
孔食・すき間腐食の対策のひとつに、クロムやモリブデンなどの元素を多く含んだ、耐食性に優れる材料を使うといった方法があります。応力腐食割れについては、炭素の含有量を減らした極低炭素鋼を使うのが有効です。
SUS329J4Lは、これらの対策の条件を満たしていることから、耐食用材料として採用されています。
<オーステナイト・フェライト系の化学成分(単位:%)>
※SUS329J4Lは、この表に規定されていないCu、Wのうち一つ又は複数の元素を必要によって添加した場合、その含有率を報告しなければならない。
※SUS329J1は、この表に規定されていないCu、W及びNのうち一つ又は複数の元素を必要によって添加した場合、その含有率を報告しなければならない。
引用元:JIS G 4303:2012
上表は、JIS規格の【ステンレス鋼棒 JIS G 4303】から抜粋したものです。比較用として同じ二相系ステンレス鋼である、SUS329J1も記述しています。
SUS329J4Lは炭素(C)を少なく、クロム(Cr)とモリブデン(Mo)を多く添加することで、耐食性をさらに高めています。また、窒素(N)を添加しており、耐食性に加えて強度も向上しています。
参考:SUS329J1(ステンレス鋼)化学成分、磁性、機械的性質
<SUS329J4Lの物理的性質>
引用元:山陽特殊製鋼株式会社
SUS329J4Lは、オーステナイト系ステンレス鋼と比べて熱膨張係数の値が小さいため、溶接などで発生する歪を軽減します。
<オーステナイト・フェライト系の固溶化熱処理状態の機械的性質>
引用元:JIS G 4303:2012
SUS329J4Lは、二相系ステンレス鋼のなかでも、さらに耐力・引張強さの数値が高い材料です。また、オーステナイト系やフェライト系ステンレス鋼は、およそ200~300MPaに近い耐力がありますが、そちらと比べても数値は2倍近くあり、引張強さもより高い数値を示します。
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