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応力腐食割れをわかりやすく!3要素と対策方法

応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)とは、腐食環境下において、金属材料に引張応力が作用することで、材料に割れが生じる現象を指します。部品や機器の破損を引き起こすため、さまざまな事故の原因となります。また、応力腐食割れは、主にステンレス、炭素鋼、黄銅のような合金で発生しやすく、純金属ではほとんど発生しません。

応力腐食割れのメカニズムと3要素

応力腐食割れは、材料的因子・環境因子・力学的因子の3つの要素が揃った時に、発生します。つまり、応力腐食割れが発生するのは、特定の材料と環境の組み合わせにおいて、ある水準以上の引張応力の付加が継続的に存在する場合に限られます。

応力腐食割れが発生するメカニズムとしては、何らかの環境因子によってまず金属表面に腐食が生じ、ここに引張応力が加わることで割れが生じます。環境因子、応力が継続して存在することで、材料の応力腐食割れはさらに進行します。

応力腐食割れの模式図
図:応力腐食割れのメカニズムと模式図


また、下表に応力腐食割れの原因となりやすい金属材料と環境の組み合わせについて示しました。

<応力腐食割れを生じる金属と環境>

金属 原因物質 環境の例
炭素鋼 NO3- 高温NaNO3溶液
OH- 高温高濃度NaOH溶液
高張力鋼 H2S H2S水溶液
オーステナイト系ステンレス鋼 CL- 高温海水
OH- 高温高濃度NaOH溶液
ポリチオン酸 硫化した後湿性環境にさらす
高温水 沸騰水型原子炉の配管
黄銅 NH3 NH3を含む大気
アミン アミン水溶液
高力アルミ合金 CL- 海水
高力チタン合金 CL- 海水、熱NaCL

上表のような材料を特定の腐食環境下において使用し、かつ「引張応力」が加わると応力腐食割れが発生します。この引張応力には、使用時に加わる応力の他にも、機械加工や溶接、熱処理によって生じる残留応力があります。金属材料の最大引張強さの1/10程度の小さい引張応力でも、応力腐食割れの生じる原因となります。

また、焼き入れ材料については、その焼き戻し温度によっても差があり、一般に降伏点の高い材料は応力腐食割れへの感受性が高いと言われています。

ステンレスの応力腐食割れ

ステンレス鋼の中でも、特にオーステナイト系ステンレス鋼において、応力腐食割れが発生しやすくなります。

オーステナイト系ステンレス鋼では、溶接などによって高温下にさらされると、結晶粒界付近で炭素とクロムが結合し、クロム炭化物を生成します。このため、粒界近傍では、鋭敏化(結晶粒界に沿って耐食性の低下する劣化現象)した状態となり、応力腐食割れが発生しやすくなります。これを、粒界型応力腐食割れと言います。

また、ステンレス鋼は、塩素雰囲気(塩化物水溶液や海水など)においても、応力腐食割れを起こしやすいため注意が必要です。

炭素鋼の応力腐食割れ

炭素鋼では、高温,高濃度の苛性アルカリ水溶液や硝酸塩水溶液などが存在する環境において、応力腐食割れが発生しやすくなります。

銅の応力腐食割れ

黄銅(銅-亜鉛合金)では、アンモニア雰囲気において応力腐食割れが発生しやすいとされています。

応力腐食割れの対策

応力腐食割れの対策としては、原因となる3つの要素(材料的因子・環境因子・力学的因子)の内、どれか一つの因子を取り除くことが有効となります。

(1)材料的因子

例えば、ステンレス鋼では、前述した通りオーステナイト系ステンレス鋼(SUS303、SUS304 など)では発生しやすいため、フェライト系ステンレス鋼(SUS403 など)に材料を変更することが有効です。また、オーステナイト系ステンレス鋼の中でも炭素の含有量を減らした極低炭素鋼に変更することも有効です。極低炭素鋼では、粒界付近でのクロム炭化物の析出が生じにくいため、応力腐食割れに強い特性を持ちます。極低炭素鋼には、SUS304L、SUS316L、SUS321、SUS347などが挙げられます。

参考記事:SUS303(ステンレス鋼)規格、成分、機械的性質

参考記事:SUS321(ステンレス鋼)組成、成分、機械的性質

(2)環境因子

材料をできるだけ腐食環境因子から遠ざけること、また材料に塗装などの表面処理を施すことで、環境因子との直接的な接触を遮断することも有効です。

(3)力学的因子

加工・組立て時には、最小の引張応力に抑えられるよう設計を行うこと、また残留応力を除去するために、加工成形後に応力除去熱処理を行うことが対策として挙げられます。

最後までお読みいただきありがとうございます。
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