SUS303(ステンレス鋼)規格、成分、機械的性質

オーステナイト系ステンレス | 2021年01月25日

「SUS303の特徴や用途が知りたい……」

「SUS303とSUS304の違いは?」

このような疑問を持つ方は必見です。本記事では、SUS303の特徴や用途、化学成分などの基本情報について解説します。

SUS303は、SUS304と同じオーステナイト系のステンレスです。とはいえSUS303とSUS304で特性に違いがあるため、目的によって使い分ける必要があります。

今回は、SUS303と一般的に多く流通しているSUS304を比較しながら解説しています。SUS303の知識を得たい方や、SUS304との違いが気になる方は、ぜひチェックしてみてください。


参考:SUS304とSUS430の意味とは? 使い分けや特徴も分かりやすく解説!

cta

SUS303の特徴・用途

SUS303はオーステナイト系のステンレス

SUS303は、オーステナイト系ステンレスに該当します。オーステナイト系ステンレス

は耐食性があり、溶接もTIG溶接やプラズマ溶接などが適用可能。また、高温環境でも強度低下が少ないのが特徴です。また、オーステナイト系ステンレスは非磁性のため、ほとんど磁石につくこともありません。


参考:【SUS(ステンレス)種類と見分け方】用途・特徴を専門家が徹底解説!

SUS303の特徴

SUS303固有の特徴としては、SS400やS45Cなどの鉄と同等の切削性を有しています。


参考:SS400とS45Cの違いを徹底解説【専門家が語る】製品によってどちらを使用すればいいかも!


例えば市場に多く流通しているSUS304は、切削時に切粉が帯状になり、刃物に絡まりやすくなるもの。一方、SUS303はリン(P)と硫黄(S)を多く含有していることから、切削時に排出される切粉が細かくなります。

切粉が細かくなると、刃物からの抜けが良くなり、掃除がしやすくなるほか、被加工材に傷が付いたり、ケガのもとになったりするなどのリスクも軽減できます。

また、SUS303はSUS304に比べて、焼き付きにくい材料です。焼き付きとは、金属同士で摩擦した際に、表面が密着して取れなくなる現象のことを表します。

続いてSUS303のデメリットを挙げると、SUS304よりも耐食性と溶接性に劣ります。

耐食性については、湿気の多い場所だと錆びる恐れがあります。リンと硫黄を多く含んでいるため、溶接性も低下しています。

また、SUS303はオーステナイト系ステンレスのため、基本的には非磁性ですが、加工の過程で結晶構造が変化した場合に、磁性を持つ特性もあります。磁性を持つステンレスは、フェライト系・マルテンサイト系が挙げられますが、ステンレスの種類を判別するのに磁性の有無で判断する場合があります。SUS303に磁性が付与されてしまうと、オーステナイト系のステンレスであるという判断が付きにくくなる点もデメリットです。

これらのデメリットから、SUS303はSUS304よりも流通量が少なく、値段も若干高い傾向にあります。それぞれの価格の違いは下記表を参考にしてみてください。

  • <SUS303とSUS304の切板価格参考表(幅20~50mm、厚み10mm)>

長さ(mm)

SUS303の価格(円)※税別

SUS304価格(円)※税別

20~50

1,390円

899円

51~100

1,990円

1,490円

101~150

2,390円

1,790円

151~200

2,790円

2,190円

201~250

2,990円

2,290円

引用元:モノタロウ(2020/12の販売価格)

SUS303の用途

SUS303の用途に関しては、切削加工の多いボルトナットやシャフト、精密部品に採用されています。

市場に多く流通しているSUS304は、耐食性に優れていますが、切削性が乏しい点はデメリットです。しかし、SUS303なら切削スピードの向上が期待できるので、SUS304よりも加工のコストを抑えることができます。

SUS303は耐食性を備えている点もメリットです。ただし、SUS304と比べると耐食性に劣るため、常時水に触れるような厳しい環境での使用は避けましょう。



SUS303の化学成分

<SUS303とSUS304の化学成分(単位:%)>

種類の記号

C

Si

Mn

P

S

Ni

Cr

Mo

Cu

N

その他

SUS303

0.15

以下

1.00

以下

2.00

以下

0.20

以下

0.15

以下

8.00~

10.00

17.00~

19.00

0.60

以下


-

-

-

SUS304

0.08

以下

1.00

以下

2.00

以下

0.045

以下

0.030

以下

8.00~

10.50

18.00~

20.00

-


-

-

-

引用元:JIS G 4303:2012

上表は、【JIS G 4303:2012】から抜粋した、SUS303とSUS304の化学成分表になります。

一般的に多く見かけるSUS304は、リン(P)が0.045%以下、硫黄(S)が0.030%以下です。一方、SUS303は上表を見て分かるように、リンが0.20%以下、硫黄が0.15%以下と多く含有しています。



SUS303の物理的性質(ヤング率など)

  • <SUS303の物理的性質>

種類の記号

状態

密度

g/cm2

ヤング率

GPa

熱伝導率

W/(m・℃)

100℃

比電気抵抗

10⁻⁸Ω・m

20℃

比熱

J/g・℃

ポアソン比

SUS303

固溶化熱処理

7.84

193

16.3

72.0

0.50

0.29

引用元:下村特殊精工株式会社(元データはステンレス鋼データブックより抜粋)

上表は、SUS303の物理的性質を表しています。上表は、SUS303のみの記載となりますが、SUS304も数値はすべて同じです。



SUS303の機械的性質

  • <SUS303の機械的性質>

種類の記号

耐力

Mpa

(N/mm2)

引張強さ

Mpa

(N/mm2)

伸び

絞り

硬さ

HBW

HRBS又はHRBW

HV

SUS303

205以上

520以上

40以上

50以上

187以下

90以下

200以下

引用元:JIS G 4303:2012

上表は、SUS303の機械的性質を表しています。機械的性質についても、絞り以外の基準値はSUS304と同じです。



SUS303の流通形状(丸棒、形鋼)

SUS303は、各種丸棒【センタレス(研磨)・引抜・ピーリング(切削)】・六角棒・四角棒が多く流通しています。また、厚板に関しても流通量は多くあります。フラットバー(平鋼)も流通はしていますが、SUS304と比べるとラインナップは少なめです。

しかし、SUS303の形鋼や薄板、パイプについては、ほとんど流通していません。これは、SUS303が切削するのを目的とした材料であることが理由として挙げられます。上記の材料は、切断することは多いものの、切削加工をするケースは少ない材料になります。

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Mitsuri編集部
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