「線材加工とは、具体的にどういったことをするのか?」
「線材加工の試作をお願いしたい・・・」
「低コストで依頼できる線材加工メーカーが知りたい・・・」
線材加工で上記のようなお悩みのある方は必見です。
線材は、私たちが日常でよく見かける、金網やバネなどに使われています。しかし、それらがどのような加工を経て製品化されているのか、知らない方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、線材加工についての基礎知識を解説。おすすめの線材加工メーカーも3社ピックアップしています。線材加工の詳細や、線材加工メーカーをお探しの方はぜひ参考にしてみてください。
線材とは、線のように細長い鋼材のこと。線径は細いもので0.08mm、太いものだと20mmの線材があります。一般的に、線材の束をねじることでワイヤーにしたり、加工したりすることで、金網・針金・釘・ねじ・バネなどが製造されます。
線材は、炭素の含有量により「普通線材」と「特殊線材」の2つに分けられます。
普通線材は、炭素含有量が0.09%~0.25%で、金網・針金・釘・ねじなどの素材に。特殊線材は、低炭素の0.09%以下、もしくは高炭素の0.25%以上のものに分類し、強靭性や耐久性が求められるワイヤー・線バネ・溶接棒などに使われます。
線材を成形をするには、曲げ加工が必要となります。曲げ加工は、被加工材に力を加えることで塑性変形させる加工方法です。
線材から作られる製品を量産する場合は、基本的にコンピューター制御によるNC機械が用いられます。しかし、機械での加工が難しい場合や小ロットの場合は、手作業で加工することもあります。
引用元:丸昭機械株式会社
引用元:【バネ】フォーミングマシン φ1.6線バネ加工 工場見学 (有)岸本スプリング
線材を曲げ加工するのに代表的な機械は、上記のようなフォーミングマシンがあります。
フォーミングマシンは、線径に対して曲げRが非常に小さいと製作は困難ですが、金型を作ることなく生産が可能。また、複雑な形状でも連続して曲げ加工を行えるため、作業の工程数を抑えられるのもポイントです。
引用元:線バネ加工設備/量産用NCスプリングフォーミングマシン|葵スプリング株式会社
バネを製作するのであれば、さまざまな形状を一度で加工できるスプリングフォーミングマシンや、単純な形状を素早く成形できるコイリングマシンを使います。スプリングフォーミングマシンの加工の様子は上記の動画を、コイリングマシンは下記の動画を参照ください。
引用元:線バネ加工設備/量産用コイリングマシン | 葵スプリング株式会社
曲げ加工はこれらの機械だけでなく、条件によってはプレス加工機を用いて線材を曲げることもあります。
参考:板金加工における【曲げ加工】の基礎や種類ついて徹底解説!!
線材の溶接では、主にスポット溶接を行います。スポット溶接とは、母材同士を上下から電極で挟み、電流を流して溶接する方式。電流を流した母材は、電気抵抗により熱が発生し、溶融することで接合されます。
線材の端部同士を接合する場合は、バット溶接を行います。バット溶接も、接合する母材に電流を流して、発熱・溶融させる方式です。
綺麗な外観や精密さが求められる場合など、用途によってはTIG(ティグ)溶接も採用されています。TIG(ティグ)溶接は、溶接部をアルゴンやヘリウムガスやなどでシールドしながら、母材とタングステン電極の間にアークを発生させて溶接する方式です。
参考:溶接加工とは?代表的な種類とメリット・デメリットを解説
線材のプレス加工は、掴み代がなく、フォーミングマシンでの曲げ加工が難しい場合や、金型を製作して生産効率を上げたい場合などに利用されます。また、線材を切断する際にプレス加工機を利用することもあります。
プレス加工とは、被加工材に圧力を加えることで加工する方式。せん断・曲げ・絞りといった種類がありますが、いずれも金型を必要とします。金型は、単純な加工であれば単発型、複数の工程を必要とする製品には順送型を用いて加工します。
引用元:株式会社佐々木製作所
所在地:大阪府豊中市服部寿町4-5-15
TEL:06-6864-0112
FAX:06-6864-0119
設立:1983年
加工:曲げ、溶接、切削、塗装、メッキなど
素材:鉄、ステンレス、アルミ、チタン、カーボン、真鍮など
株式会社佐々木製作所は、大阪府豊中市に位置する線材加工メーカーです。自動車・電車・建築土木・電気関係など、幅広い分野の線材加工品を製造。ヒューマンエラーを極力ゼロにするため、工程漏れや不良品のない生産ライン作りを行っています。事前に予約をすれば工場の見学も可能です。
ベンダー・フォーミング・プレスなどの豊富な加工機器を所有し、幅広い対応力があります。製造は1個からの依頼でも可能。小ロットや難しい加工条件で他社に断られたとしても、株式会社佐々木製作所であれば万能に対応してもらえるでしょう。また、豊富な加工機器や、過去に製作した治具などを掛け合わせて、低コストかつ少ない工程で製造してくれます。金型が必要な場合でも、自社にて製作し、スピーディーに対応できるのが強み。図面が無くとも、イラストから依頼することも可能です。
ただし、直径14mm以上の線材加工は、フォーミングマシンで対応できないため、量産の場合は要相談となります。
株式会社佐々木製作所の製品例はこちらです。
チタン部品(使用素材:チタン 線径:直径5mm 加工:曲げ・ショットブラスト)
ナット付リング(使用素材:普通鉄線 線径:直径2mm 加工:曲げ・ナット溶接・ナイロンコーティング)
自動車シート用 角バネ(使用素材:硬鋼線 線径:直径4mm 加工:曲げ・部分ナイロンコーティング)
自社にて曲げ加工を1工程で製造できる金型を製作し、高精度と短納期を実現。
引用元:株式会社高岡ケージ工業
所在地:富山県高岡市内島47
TEL:0766-31-1007
FAX:0766-31-3878
設立:1987年
加工:曲げ、溶接、塗装、コーディングなど
素材:鉄、ステンレス、アルミなど
株式会社高岡ケージ工業は、富山県高岡市に位置する線材加工メーカーです。製品の試作や量産だけでなく、商品開発の支援にも対応。溶接金網の専門メーカーでもあり、エクステリア製品・店舗用什器・防護柵などの、板金加工を含む完成品も製作しています。
直径2~10mmの細い線材から、太い線材まで対応できます。溶接金網のような直線的な網目だけでなく、平織・綾織・菱形・亀甲模様などの複雑な網目も製作可能。構想や設計段階からでも相談でき、より良い製品の提案を受けられます。
また、溶接金網の専用設備である「マルチスポット溶接機」を保有し、自社工場にて加工。品質に優れているほか、コストの削減にも一役買っています。大量生産だけでなく、小ロット試作に対応しているのも嬉しいポイントです。フレーム部の製作や、部品の組み立ても一貫して行っています。
ただし、設計の支援については法人限定となっており、個人での依頼には対応していません。
株式会社高岡ケージ工業の製品例はこちらです。
クリンプ金網 防護ネット(使用素材:ステンレス 加工:溶接)
直径1.9×25mmピッチのクリンプ金網とFB-3×40の枠組みを溶接。
食品フライヤー用フライバスケット(使用素材:ステンレス 製品サイズ:300×300×800mm 表面処理:電解研磨)
回転カゴ(使用素材:ステンレス 製品サイズ:直径450×500mm 開口部:直径350mm)
引用元:岩城工業株式会社
所在地:東京都足立区梅田7-6-12
TEL:03-3848-3977
FAX:03-3880-6015
設立:1964年
加工:曲げ、溶接、塗装、メッキ、コーディングなど
素材:鉄、ステンレス、真鍮、アルミなど
HP:https://www.iwaki-ko.co.jp/
岩城工業株式会社は東京都足立区に位置する線材加工メーカー。卓上カタログスタンド・パンフレット入れ・ハンガー・カゴなどの製造および開発まで携わっています。
0.5mmの細い線材から、12mmの太い丸棒まで加工できます。線材のスポット溶接は、木型を用いて製作することにより、低コストかつ高い精度を実現。その他の電気溶接やアルゴン溶接なども社内で行い、スピーディーに生産できます。
岩城工業株式会社は法人だけでなく、個人からの依頼にも対応。量産品に限らず、試作からでも相談が可能です。製品の修理についても、事前に連絡すれば即対応してもらえます。
ただし町工場のため、複数種類の製作依頼については納期がかかることがあるので注意してください。
岩城工業株式会社の製品例はこちらです。
ハンガー(使用素材:鉄 表面処理:古美色メッキ、透明塩ビ加工)
漁船用の照明器具のガード網(使用素材:ステンレス)
投光器用ガード網(使用素材:鉄 表面処理:クロメートメッキ)
本記事では、線材加工およびおすすめの工場をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。線材の曲げ加工は、機械で成形することもあれば、条件によっては職人による手作業にて加工することもあります。また、金型を製作したほうがコストが抑えられるのかなど、設計の段階から加工メーカーの技量が問われるでしょう。溶接についても、スポット溶接やバット溶接など、接合箇所によって最適な方式を選ぶ必要があります。高品質かつ低コストを求めるのであれば、線材加工を得意とするメーカーに依頼することが大切です。
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