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IE手法【稼働分析】稼働率・労働時間削減へ

現場改善 | 2021年06月08日

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この記事では、IE(Industrial Engineering)の作業測定にあたる手法の、稼働分析について解説します。

作業測定は代表的な手法に、「時間研究」と「稼働分析」があります。時間研究は作業にかかる時間を測定するものであるのに対し、稼働分析は作業者・機械の稼働率や時間の構成比率を求める際に活用する手法です。

これらから算出したデータは、方法研究と組み合わせて活用することで、作業の改善が期待できます。

参考:IE活動・IE手法まとめ!概要や代表的手法

参考:IE手法【時間研究】タイムスタディを徹底解説

参考:IE手法【動作分析・作業分析編】製造業の現場改善

参考:IE手法【工程分析編】製造業の現場改善

稼働分析とは?

稼働分析とは、IEの作業測定に属する手法で、一定期間のなかで人や機械がどの要素にどれだけの時間をかけているかの比率を分析します。

稼働分析により得たデータは、グラフなどを使って問題点を明らかにしたあと、方法研究を用いて改善を行います。そして、改善した現場環境を再び稼働分析により再評価する、という流れで生産現場を改善していきます。

稼働分析の目的

稼働分析の目的は下記の通りです。

・作業改善のポイントを見つける

・ムダやロスの時間を定量化する

・稼働状況の時系列を把握する

生産効率を上げるには、人の価値作業をいかに多くし、付随作業とムダをどれだけ減らせるかが重要です。また、機械においても価値稼働時間の割合を多くし、ロスの時間を削減する必要があります。

稼働分析では、人の作業を【価値作業・付随作業・ムダ】の3つに分類して、分析を行います。

作業の種類

詳細

価値作業

付加価値(生む)を生む作業

・材料の加工

・部品の組み立て

付随作業

直接の付加価値を生まないが

必要不可欠な作業

・梱包を解く

・部品を取り出す

ムダ

付加価値を生まない

必要のないもの

・手待ち時間

・繰り返し材料や部品を取りに行く

価値作業は利益を有む作業のことで、なるべく増やしたいものです。

付随作業は付加価値を生まないものの、価値作業をするために必要な作業を意味します。しかし、可能であれば削減すべき作業です。

ムダは付加価値に結びつかない作業を意味しており、早急に削減が必要です。

次に機械の仕事の分類について見てみましょう。

操業時間

負荷時間

計画停止

稼働時間

停止ロス

正味稼働時間

性能ロス

価値稼働時間

不良ロス

機械の稼働には【停止ロス時間・性能ロス時間・不良ロス時間】の3つのロス時間があります。

機械を稼働できる時間は、工場の操業時間内に限られます。機械は操業時間のなかで電源を入れて負荷をかけている状態のことを「負荷時間」と言います。操業時間内に機械の電源を入れていない時間は「計画停止」に分類されます。

負荷時間は、実際に機械が稼働している「稼働時間」と、機械が停止している「停止ロス時間」に分かれています。

稼働時間は、機械の性能を十分に発揮している時間の「正味稼働時間」と、性能を発揮できていない時間の「性能ロス時間」に分けられます。

正味稼働時間は、規格や仕様通りに製品を作った「価値稼働時間」と、不良品を作った「不良ロス時間」に分けられます。

これらの負荷時間のなかにある3つのロスが大きいほど、機械の作業効率が低下していることを表します。

稼働分析は、人の作業の分類で解説した付随作業やムダ、機械の仕事の分類で解説した各種ロス時間を削減するための手法です。生産効率を向上するには、価値作業と価値稼働時間の割合をどれだけ増やせるかがポイントとなります。

稼働分析の種類

稼働分析は、代表的な手法として以下の2種類があります。

・連続観測法

・ワークサンプリング法

連続観測法は、連続的に対象を観測して時間比率を算出します。一方、ワークサンプリング法は、瞬間的な観測を複数回行ってデータを取り、統計的に評価します。

連続観測法

連続観測法とは、人や機械の稼働状態を、観測者が連続的に観測する手法で、「連続稼働分析」とも呼ばれています。

連続観測法は、ストップウォッチを使って記録することもあれば、動画撮影を活用する場合もあります。

連続観測法のメリットとデメリットについては下記の通りです。

  • ●連続稼働分析のメリット

・正確な稼働時間を把握できる

・作業手順の把握ができる

  • ●連続稼働分析のデメリット

・1人の観測者につき1つの対象しか観測ができない

・観測中は作業者と観測者がずっと一緒になるので、お互いの精神的負担が大きい

ワークサンプリング法

ワークサンプリング法は、人や機械の稼働状態を、あらかじめ決めたポイントに絞って観測し、統計的に分析する手法です。一般的には連続観測法よりも、比較的コストが少なく結果が得られるので、ワークサンプリング法を採用するケースが多い傾向にあります。

ワークサンプリング法は、各作業に対してどれくらいの時間と工数をかけているかをチェックし、統計的にデータを算出します。連続的ではなく瞬間的に観測を行うことから、「瞬間観測法」とも呼ばれています。

ワークサンプリング法のメリットとデメリットについては下記の通りです。

  • ●ワークサンプリング法のメリット

・観測者が作業者に張り付いてチェックする必要がなく、負担が少ない

・1人の観測者に対して複数の作業者を調査できる

・長い期間での観測が可能

  • ●ワークサンプリング法のデメリット

・観測回数により、データの正確性に乏しい場合がある

・作業の手順や頻度を把握できない

ワークサンプリング法の実施手順

稼働分析では、ワークサンプリング法を多く採用しているため、実施手順についても解説します。

  1. 1.観測目的を明確にする

まずはどの作業を観測するのかだけでなく、作業者について、または機械について分析したいのかなど、観測の目的を明確にします。目的によっては、ワークサンプリング法以外の手法が適している場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。

  1. 2.観測範囲の選定

観測する範囲を決定します。ワークサンプリング法のメリットは、1人の観測者が複数の対象を観測できる点にあります。もし1人の作業者、もしくは1つの機械といった単体の対象を測定する場合は、連続稼働分析を検討してみてください。

  1. 3.観測項目のリスト化

分析する作業をリスト化します。複数の対象を観測する場合は、各作業者ごとに分けてリスト化しましょう。

  1. 4.調査計画(観測期間・回数・時刻・巡回経路)の決定

いつまで観測を続けるのか、観測の回数はどれだけ必要か、どの時刻で観測するのかなどのルールを決定します。観測時刻は偏りがないようにランダム時刻表を用いて決めます。

  1. 5.観測の実施

観測対象や観測時刻をまとめた用紙を用意し、観測したデータを記入していきます。あらかじめ現場には観測の了解を得ておきましょう。

  1. 6.結果のまとめ

観測したデータをもとに、稼働率や余裕率などを算出します。観測結果は工程や設備の種類ごとに分けて、問題点を明確にしやすいようにグラフ化しましょう。

  1. 7.改善策の検討

観測結果のグラフをもとに、なぜムダな作業が行われているかを関係者で話し合い、改善策の検討を行います。

ワークサンプリング法の実施ポイント

ワークサンプリング法でよくある失敗例は以下の通りです。

・観測したデータから改善案が検討できず、再度観測が必要になる

・事前調査にない作業があり、記録できない

ワークサンプリング法は、事前の調査が足りないことから、観測を実施したあとにやり直さなければならない場合があります。

これらを防ぐには、以下のポイントを意識してみましょう。

  • ●予備調査のときに、あらかじめ問題点や改善策をイメージする

ワークサンプリング法は、ロスしている時間を改善するために行うものです。データを観測・分析したとしても、改善を検討できるものでなければ意味がありません。

このような事態にならないためには、予備調査の段階で、あらかじめ想定できそうな問題点や改善策をイメージしながら調査します。これにより、観測項目をリスト化して観測を行ったときに、データが不十分になることを防止できます。

  • ●調査計画をしっかりと行う

観測期間は、観測対象によって大きく異なるものです。例えば、1週間で作業内容が変動するものの場合は、観測期間も1週間は必要になります。

ワークサンプリングに必要な回数は、標準時間や余裕時間などを求めるような場合、高い精度が必要になり、その分観測回数も多く必要とします。

巡回経路についても、観測の際に混乱しないよう、あらかじめルートを決めておくことが大切です。

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この記事を書いた人
Mitsuri編集部
Mitsuri編集部

Mitsuriは、お客様に寄り添い、製造プロセスに関わる課題をトータルに解決する「お客様の最適な生産活動を達成するコーディネーター」です。記事内容に関するお問い合わせはこちらへ。

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