2024-10-16
更新
染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
IE(Industrial Engineering)手法は、1900年初めに、アメリカの技術者兼経営学者“フレデリック・テーラー”によって提唱された改善手法です。人やモノの動きを可視化し、分析することで、現場のムリ・ムダ・ムラを改善します。
この記事では、IE手法の代表的なものである【工程分析・作業分析・動作分析】のうち、作業分析と動作分析について解説します。
IE手法のなかでも代表的な手法に、【工程分析・作業分析・動作分析】があります。これらの違いは、ワークユニット(作業の構成)のレベルの違いによるものです。
参考として【工程・作業・動作】の分類表を以下に示します。
<工程・作業・動作の分類表>
上表のように、工程は単位作業による構成、単位作業は要素作業による構成、要素作業は動作の組合せにより構成されています。
工程分析・作業分析・動作分析は、これらのどのワークユニットで分析するかによって名前が異なります。
IE手法の代表的な手法に【工程分析・作業分析・動作分析】があると述べましたが、今回は【作業分析・動作分析】に焦点を当てて解説します。
作業分析の代表的な種類として【ライン作業分析・連合作業分析】の2種類があります。
加工系および組立系のような、ライン編成がメインの場合は「ライン作業分析」を、作業者と作業者、もしくは設備と作業者の連携がメインの場合は「連合作業分析」を活用します。
●ライン作業分析
ライン作業分析とは、「ピッチダイアグラム」と呼ばれる、各工程の作業時間を棒グラフに表した図を用いて、各工程の作業時間と標準サイクルタイムを比較し、改善を行う手法です。
ピッチダイアグラムにて、ラインバランスを視覚化することで、問題点が判明しやすくなります。
ピッチダイアグラムの参考図は下記の通りです。
<ピッチダイアグラム参考図>
ライン作業分析では、ピッチダイアグラムを作成し、ラインバランス効率がどのようになっているか分析することができます。
例えば上図では、工程3が標準サイクルタイムを超え、ボトルネックとなってしまっていますが、一方で工程2・工程4は作業時間が少ないことが分かります。
そのため、ラインバランスを改善するには、行程3に人員を割り振ったり、工程2と工程4に作業時間を分配したりといった方法が考えられます。
一般的にライン作業において、ラインバランス効率が85%以上あると、効率良く作業ができているとされています。ラインバランス効率の計算式は下記の通りです。
ラインバランス効率の計算式
ラインバランス効率(%)=各作業者の所要時間の合計/ボトルネック工程の時間×工程数
ラインバランス効率が85%を下回るようなら、改善を検討しましょう。
●連合作業分析
連合作業分析とは、複数の作業者間、または設備と作業者間の組合せ作業に対して、【単独作業・連合作業・不稼働】の各性質に区分してチャート化し、作業ロスを浮き彫りにする手法です。
【単独作業・連合作業・不稼働】の詳細については下記の通りです。
1.単独作業:設備や他の作業者と関係ない作業
2.連合作業:設備や他の作業者と協同する作業
3.不稼働:設備や他の作業者を待っている状態
連合作業分析では、サイクルタイムの短縮と、配置人員の削減を目的とします。
例として連合作業分析でチャートにしたものを下に表します。
<改善前のチャート(サイクルタイム:180秒)>
チャートでは背景がグレーの箇所を「連合作業」、黒の箇所を「単独作業」、白の箇所を「不稼働」で表しています。
この図から分かるように、旋盤が切削している間は、作業者が不稼働の状態になっています。一方で作業者が測定をしている間は、旋盤が不稼働の状態です。
次に改善後のチャートを以下に表します。
<改善後のチャート(サイクルタイム:150秒)>
改善後は切削の間に、ひとつ前のサイクルにて加工したワークを測定することで、サイクルタイムを180秒から150秒まで短縮しています。
このように連合作業分析では、組合せ作業に対してのムダを視覚化することが可能です。
動作分析は、作業員の手や目の動き、移動、思考時間などを、細かく分析することによって、ムダな動きをなくしていきます。
今回は動作分析の代表的な種類である【サーブリッグ分析・フィルム分析】について解説します。
●サーブリッグ分析
サーブリッグ分析とは、人間が作業を行うときの基本動作を18種類の動素に分類し、それぞれを記号化したものを使って、作業の流れの全体像を可視化し、問題点を浮き彫りにする手法です。
サーブリッグ分析は、アメリカの“フランク・ギルブレス”が1915年に考案した手法で、各動素は以下の表のように記号化されています。
<サーブリック分析記号の一覧表>
引用元:OTRS (参考データは【よくわかる「IE七つ道具」の本(日刊工業新聞社)】によるもの)
サーブリッグ分析では、上表の記号を用いて、下に記載しているような分析表に記入し、データを収集します。これにより、作業に含まれる人間の動作を分析して、ムダのない動きになるように改善します。
<サーブリッグ作業分析表の例>
●フィルム分析
フィルム分析とは、撮影機器を用いて作業動作を撮影し、各コマを分析することで、動作と動作時間を明確にする手法です。
フィルム分析は、「メモモーション分析」と「マイクロモーション分析」の2種類に分けられます。
メモモーション分析は、低速度撮影によりチェックする手法で、作業内容が理解できる最も遅い速度で撮影して分析します。メモモーション分析は、「作業改善」が目的で、「連合作業」や「長時間作業」の分析に使用します。
一方マイクロモーション分析は、高速度撮影を行い、通常の速度で見て分析を行います。マイクロモーション分析は、「単純反復作業」などの分析に使用します。
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