染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
【3ム・3M・ダラリ】は、いずれも【ムダ・ムラ・ムリ】を表します。
日本の代表的な自動車メーカーであるトヨタでは、生産現場の【ムダ・ムラ・ムリ】を徹底的になくし、良いモノだけを効率よく作る「トヨタ生産方式」を採用していることで有名です。
トヨタ生産方式を徹底することで、ユーザーの要望に合った自動車を、確かな品質で手際よく、タイムリーな生産を実現しています。
このように【ムダ・ムラ・ムリ】の排除は生産や作業効率の向上が期待できることから、製造業に限らずさまざまな業界でも採用されています。
「3ム」とは、【ムダ・ムラ・ムリ】の頭文字を取ったものです。現場によっては、ムのアルファベットであるMから取った「3M」や、【ムダ・ムラ・ムリ】から3つの後ろの文字を取って「ダラリ」とも呼ばれることがあります。
【ムダ・ムラ・ムリ】は、それぞれ以下のような状態を示します。
ムダ・ムラ・ムリとは?
●ムリ:目的が手段より大きい状態
●ムダ:目的が手段より小さい状態
●ムラ:ムリとムダが混在している状態
これらが製造業において、具体的にどのようなことを指しているのかを以下で解説します。
「ムリ」は、作業者や設備が有している能力以上の作業を行うことや、身体に負担のかかる環境での作業などを指します。
例としては、作業者の能力以上に力や注意力を要したり、身体に負担のかかる体勢や室温などで作業したりすることが挙げられます。
これらは、疲れ・ケガ・設備の故障・不良品の発生などを招く原因となります。
「ムダ」の定義と例は、トヨタの生産方式における「7つのムダ」を参考に見てみましょう。7つのムダには下記のものが挙げられます。
作りすぎのムダは、他のムダの発生原因となるものであるため、7つのムダのなかでも最も気を付けるべき事項です。製品を作りすぎることで、不必要である在庫のムダ・動作のムダ・運搬のムダが発生します。また、余分なものを作っている間は、作業者の手が取られてしまうため、手待ちのムダが隠れることにも繫がります。
手待ちのムダは、作業することがなく、手が空いている状態のことを指します。これは作業者だけでなく、生産設備についても同じことが言えます。
手待ちのムダが発生している間は、何の価値を生みません。また、作業者の業務スピードによっては、手待ちのムダが見えない場合がある点に注意が必要です。
運搬のムダは、モノの移動や仮置き、積み替えなどを必要以上に行うことを指します。例としては、道具の置き場所が確立されておらず、必要なときに使えない場合や、通路にモノが置かれていることで、作業効率が低減されてしまう場合が挙げられます。
これは、モノの流れや作業工程が正確に定まっていない場合に発生します。
加工のムダは、標準が決まっていないことによる必要以上の機械加工や溶接、検査などのことを指します。従来の方法で加工等を行っている場合でも、不要な工程がないかを検討することが大切です。
在庫のムダは、材料・部品・仕掛品・完成品など、すべての在庫に対してのムダを指します。
在庫のムダは、必要のない運搬やメンテナンスを生んだり、管理するコストがかかったりといったデメリットがあります。
なぜこれらの在庫があるのかを説明できないモノに関しては、ムダな在庫であると判断します。作りすぎのムダから発生する長期間におよぶ在庫に関しては、処分する必要があります。
動作のムダは、道具を探す・調べる・持ち替えるなどの作業者の動きのなかで、付加価値を生まないものを指します。動作のムダは、作業者の訓練不足や良好な作業環境でない場合などで発生します。
不良品と手直しのムダは、不良品を廃棄したり、手直ししたりすることで発生するムダのことを指します。不良品の処分や手直しには、材料費・設備費・人件費などの余分なコストがかかります。
不良と手直しのムダは、品質管理が徹底されていないことや、標準が守られていない、もしくは定まっていないことから発生します。
「ムラ」は、ムリとムダが混在した状態で、製造業においては仕事量や材料・完成品の品質、作業手順などが一定でないことを指します。
ムリとムダに関しては、管理者や作業者が意識をしていなくとも見える場合があるので、対策を行いやすい部類です。一方ムラは、ムリとムダが混在している分、放置していると見えにくく、最も生産効率を低下させている恐れがあります。
3ム(3M)をなくすには、現場で発生している3ムを見える化します。見える化は、稼働している設備が出力するログのデータを取得したり、従業員の作業内容や日報をタブレットなどを用いてデータ化したりすることで、3ムの発生を分析できるようになります。
また、日頃から5S活動を徹底することで、運搬のムダや在庫のムダが改善されます。
3ムを見える化できたら、パレート図などを用いて、どの3ムから改善するかの優先順位を決めましょう。優先順位は、【早急に改善しないといけないもの・緊急ではないが影響の大きいもの・改善すべきだが緊急ではないもの】などで分類します。
優先順位が決まったら、優先順位の高いものから、改善策を考えて対策の実行に移りましょう。
参考:製造業の5S活動とは?目的・目標・事例を学んで現場改善
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