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SUS312L(ステンレス鋼)成分、機械的性質

2024-09-18

更新

この記事を監修した人

染谷 ひとみ

Mitsuri Media管理人

精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。

市場に多く出回っているステンレス鋼にSUS304がありますが、SUS312LはSUS304と比較すると、優れた耐久性を有しています。その耐久性の高さから、橋脚や各種プラントなどに採用されており、私たちの生活を影ながら支えてくれています。

本記事では、SUS312Lについて知らない方向けに、特徴や用途を解説。また、化学成分と機械的性質についても併せて記述しています。SUS312Lについて知識を深めたい方は、ぜひチェックしてみてください。

参考:SUS304とSUS430の意味とは? 使い分けや特徴も分かりやすく解説!

SUS312Lの特徴・用途

ステンレス材は、マルテンサイト系・フェライト系・オーステナイト系などの種類に分けられます。そのなかでもSUS312Lは、オーステナイト系のステンレス鋼に該当します。

オーステナイト系のステンレス鋼は、全般的に耐食性に優れているほか、溶接もTIG溶接やプラズマ溶接などが適用可能。また、高温環境でも強度低下が少なく、磁性がないのも特徴です。

参考:【SUS(ステンレス)種類と見分け方】用途・特徴を専門家が徹底解説!

SUS312Lそのものの特徴としては、一般的に錆びやすいとされる海洋環境下において、優れた耐食性を有します。また、代表的なステンレス鋼であるSUS304と比べて、常温での耐力は約1.5倍ほどもある材料です。しかし、その分価格も高めに設定されています。

SUS312Lは、耐食性に優れた高機能なステンレス鋼であることから、「スーパーステンレス鋼」と呼ばれることもあります。

SUS312Lの用途としては、各種プラント・海水熱交換器・煙道・食品タンクなどに使われています。

また、海洋構造物のライフサイクルコスト削減のために、ステンレスライニングとして使用することも。ステンレスライニングは、構造物の耐久性を高めるために、部材にステンレス鋼を巻き付けて防食する方法のことです。

SUS312Lの化学成分

<SUS312Lの化学成分(単位:%)>

種類の記号 C Si Mn P S Ni Cr Mo Cu N その他
SUS312L 0.020以下 0.80以下 1.00以下 0.030以下 0.015以下 17.50~19.50 19.00~21.00 6.00~7.00 0.50~1.00 0.16~0.25 -

引用元:JIS G 4303:2012

SUS312Lの化学成分は上表の通りです。

オーステナイト系の代表的な材質に、SUS304とSUS316Lがありますが、SUS304のクロム量は18.00~20.00%、SUS316Lは16.00~18.00%なのに対して、SUS312Lはクロム量が19.00~21.00%と多く含有されており、特に耐食性に優れています。

ステンレス鋼が錆びに強いとされる理由は、含有するクロムが酸素と結合し、不働態皮膜と呼ばれる薄い膜を形成するためです。不働態皮膜は、クロムの含有量が多いほど安定して形成され、錆びの進行を防止。また、不働態皮膜にキズが付いても、瞬時に修復するという優れた性質も持ちます。

SUS312Lの機械的性質

<SUS312Lの機械的性質>

種類の記号 耐力
MPa
(N/mm²)
引張強さ
Mpa
(N/mm²)
伸び
絞り
硬さ
HBW HRBS又はHRBW HV
SUS312L 300以上 650以上 35以上 40以上 223以下 96以下 230以下

引用元:JIS G 4303:2012

SUS312Lの機械的性質は上表の通りです。一般的に多く使用されているSUS304の耐力は205Mpa以上。これと比較すると、SUS312Lの耐力は約1.5倍の、300Mpa以上の数値になります。

 

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