大石 裕明
製造業DX推進担当
プログラマー。スタートアップから大企業までDXの相談に乗り続けて早10年。好きなものは「日々哲学してそうな人」。苦手なものは「それっぽいことを言うだけで何もしないコンサルタント」。株式会社Catallaxy代表取締役。
日本の製造業は、かつて世界を席巻する技術力と品質で知られていました。高度経済成長期からバブル期にかけて、日本製品は「信頼」の代名詞とされ、多くの国々で愛用されてきました。しかし近年、その輝きが薄れつつああります。その背景には、巷で言われている新興国のキャッチアップの他にも、後継者不足と人材不足という深刻な問題が横たわっています。
中小企業庁が発表した「2022年版中小企業白書」によれば、製造業の中小企業経営者の平均年齢は約59.1歳に達しています。これは全産業の中小企業経営者の平均年齢(約58.0歳)を上回り、製造業における経営者の高齢化が顕著であることを示しています。
さらに深刻なのは、後継者が未定の企業が多数存在することです。製造業の中小企業のうち、約66.4%が後継者未定というデータがあります。これは全産業平均の約60%を大きく上回っています。事業が黒字であっても、後継者がいないために廃業を余儀なくされるケースが増加しています。
後継者不足の背景には、家族内承継の減少があります。かつては親から子へと事業を引き継ぐのが一般的でしたが、現在では子供が他の職業に就くケースが増えています。また、事業承継には多大な資金と労力が必要であり、そのハードルの高さも一因となっています。税負担や経営ノウハウの継承、人間関係の引き継ぎなど、課題は山積しています。
事業承継に限らず、製造業全体で人材不足が叫ばれています。総務省の「労働力調査」(2021年)によると、この10年で製造業の就業者数は約1,050万人から約920万人へと約130万人減少しています。労働者の平均年齢も約44歳と上昇傾向にあり、若年層の参入が減少しているのが現状です。
特に地方の製造業では、若者の都市部への流出が深刻です。地方では人口減少と高齢化が進み、労働力の確保が困難になっています。その結果、生産性の低下や品質管理の問題、新製品開発の停滞など、企業経営に直接的な影響が出ています。
技術者不足も見逃せない問題です。この30年、ホワイトカラーに優秀な人材が集中する一方、ブルーカラーは人気のない就職先となっています。熟練した技術者が定年退職を迎えるなか、その技術を継承する若手が育っていない状況です。これは日本のものづくりの根幹を揺るがす問題であり、今後の国際競争力にも影響を及ぼします。
これらの問題の背景には、複合的な要因が存在します。まず、製造業に対するネガティブなイメージが若者の参入を妨げています。「きつい・汚い・危険」という3Kの固定観念が根強く、実際には労働環境が改善されており、クリエイティブな職場が増加しているにもかかわらず、従来のイメージはまだまだ払拭されていません。
また、デジタル化や自動化の遅れも深刻です。デジタル前提の仕事のやり方ができておらず、生産性の向上や新しい働き方の導入が進んでいません。これは若者にとって魅力的な職場環境とは言えず、人材確保を困難にしています。
さらに、少子高齢化と人口減少が全産業に影響を及ぼしていますが、特に製造業はその打撃が大きいと言えます。製造業といえば土地にゆとりがある地方で行なわれていますが、地方の過疎化と東京一極集中により、地元で働く若者が減少し、結果として地域経済全体が衰退する悪循環が生まれています。
製造業の衰退は、日本経済全体に深刻な影響を及ぼす問題です。後継者不足と人材不足という課題は、一朝一夕で解決できるものではありません。
しかし、私たちがたびたび工場に訪問してて思うのは、やはり日本の技術力がまだまだ世界に誇れる財産だということです。工作機械の出荷台数や金型数など、まだまだ世界でも3本指以内のレベルを誇っています。
このまま人材とともに技術も失われないよう、私たちMitsuriスタッフは、そういった現状を直視し、具体的なデータと事例をもとに問題点を洗い出し、解決に向けて日々運営しています。
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