染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
板金加工は、車の部品や建物を建設する際の材料など多岐にわたって使用されている技術です。私達が生活をしていく中で、当たり前に見かける板金加工ですが、その溶接方法について知っている人はそれはど多くないと思います。
今回はそんな「板金溶接ってなんだろう?」という方のために板金溶接についてご紹介いたします。これから業者に板金溶接を依頼しようとする方にも、是非ご一読いただければと思います。
板金溶接とは、2つ以上の板金を熱により接着する方法です。車の部品だけでなく、飛行機や船といった物から家庭用品まで、様々な物に使われています。
溶接の方法は、主に3種類あります。
融接法は、溶接の中でも一番使用されている方法です。母材(溶接される材料)と溶加材(母材を接合するために使用する溶接棒やワイヤーなど)を溶かし合わせた後に、その溶かした金属(溶融金属)を冷却・凝固させて接合させます。また、母材と溶加材のどちらかだけを溶かして溶接する方法もあります。
圧接法は、同じ金属または別種の金属の両方に機械的圧力を加えることで接合させる方法です。この圧接法にも「摩擦圧接法」「ガス圧接法」「スポット溶接」という三種類があります。
ろう接法は、母材よりも溶ける温度が低いろう材を使用して、接合する方法です。この溶接では母材を溶かさず接合が可能です。また、母材との接合を良くするために、フラックスを配合しているろう材を使用します。
以上が溶接の主な3つ方法です。しかし、溶接には、さらに細分化された数多くの溶接法が存在します。これは、加工後の製品に求められる性質によって、溶接方法を替えていかなくてはならないからです。
今回は、その細分化された溶接法の中から最もメジャーなものを5つ紹介します。
アーク溶接は、融接法の一つで、アーク放電を利用した溶接です。アークとは、気体の放電現象のことで、非常に高温かつ強い光を発生させることが特徴です。アーク溶接をする際の温度は5,000℃から20,000℃程といわれています。鉄の融解温度(1500℃~2800℃)をはるかに超えているため、溶接をするには十分な温度です。
また、アーク溶接では、大気中の酸素・水素・窒素が溶接個所に触れると金属が酸化してしまい溶接不良を引き起こします。そのため、溶接中をする際はシールドガスという大気を遮断するガスが使用されます。このシールドガスで周りを覆うことによって、溶接不良を防ぐことができます。
アーク溶接のメリットは、安価で比較的高品質な加工が可能な点です。しかし、その半面、溶接する技術者の技量によって出来栄えに差が生まれるため、依頼する際は腕のいい工場に依頼する必要があります。
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参考記事:【アーク溶接とは!?】代表的な種類や特徴と「メリット・デメリット」を解説
レーザー溶接は、レーザ光を照射し、金属を融解・凝固させることで接合する方法です。メリットは、レーザー光により一瞬で素材を融解することができるため、短時間で接合することが可能な点です。またパワー密度も高い為、異なる素材も同時に融解することができます。その為、他の溶接以上に異種材料同士の溶接が可能です。
しかし、レーザー光は、パワー密度が非常に高く、一つ間違えると大怪我に繋がってしまうため、特別な設備を使用して加工します。
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参考記事:【レーザー溶接】仕組み(原理)やメリット・デメリットなどの特徴をご紹介!!
スポット溶接は、圧接法の一つで、接合する2枚の母材を重ねて通電することで、その発熱を利用して接合する方法です。抵抗溶接のなかでは最も多様されている方法で、車の部品やその他の多くの分野で用いられています。
メリットは、他の溶接と比較すると加工するコストが低い点と、技量による差が出にくい点です。またスポット溶接では、さまざまな被溶接材の形状や性質に合わせることで、凡庸性を持ちます。
しかし、点での接合となるスポット溶接では、他の溶接方法のような線での接合ではないため、強度が不十分になる可能性があります。
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参考記事:スポット溶接とは【専門家が解説】 他の溶接との違いをわかりやすく お伝えします!
スタッド溶接は、スタッド材と母材を使用し溶接する方法です。スタッドとは、ねじやピン、ボルトのことです。このスタッド材と母材の間でアーク放電を行い、その電流により、溶融・接合させます。
メリットは、他の溶接と比較しても 溶接時間が短く、生産性が高いという点です。接合部分の強度も非常に高い為、建設工事などでも使われています。しかし、金属部品の中にはスタッド溶接が不可能な位置が存在するものもあるため、溶接する際は注意が必要です。また、スタッド溶接部品には、明確な検査方法が無いため、破壊検査などをしなくてはいけません。
ロウ付は、ろう接法の一つです。接合する部品間をガスバーナーやトーチ等で加熱した後、部分間に溶かしたロウ材を流し込み、冷却・接合する方法です。
ロウ付けは、溶接する母材の上を溶けたロウ材が伝っていく「ぬれ」という現象を利用し行います。
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参考記事:ろう付けとは?代表的な種類や特徴、メリット・デメリットを解説
また、ろう接法には、はんだ付という種類もあります。
はんだ付は、母材の間に液体化した金属を流入させるという点では、ロウ付と同じですが、はんだ付は流入させる金属の融点が450℃以下なのに対して、ろう付けは450℃以上の液体金属を流入させる点で異なります。その為、はんだ付よりもロウ付のほうが、高温時の作業に適しています。
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参考記事:はんだ付けの基礎やコツを専門家が大紹介!はんだ付けに関する資格も
アーク溶接加工
引用元:株式会社佐藤工業
レーザー溶接加工
引用元:株式会社平出精密
スポット溶接加工
引用元:有限会社 こだま製作所
スタッド溶接加工
引用元:有限会社 こだま製作所
ロウ付加工
引用元:有限会社 こだま製作所
今回は板金の溶接についてご紹介させて頂きました。
溶接と一口に言っても、上記でご紹介した通り、多数の種類があります。どの溶接も特性や用途が異なるため、依頼する際には注意しましょう。
また、金属加工メーカーの中には、溶接加工を取り扱っていない会社もあるので加工内容を調べてから依頼することをおすすめします。
また、板金溶接やその他の加工についてお悩みの時は、ぜひMitsuriにご相談下さい。
Mitsuriは、日本全国に協力企業が100社ございます。そのため、お客様にとって最適な加工の選択に加えて、溶接が得意な工場のご紹介も可能です。
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