板金部品の展開図の重要性と求め方を徹底解説!

図面 | 2021年01月19日

板金加工の図面には、特有の注意点があります。

本記事では板金加工に必要な展開図の基礎と寸法の求め方が学べます。機械設計部署に初めて所属された方、板金図面について再確認したい方に向けた記事です。

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板金加工における展開図の重要性

板金図面作成時には、一般的な三面図に加えて展開図、つまり加工前の平らな状態を示しておくことが良い加工に繋がります。その理由は以下の2つです。

展開図が必要な2つの理由

(1) 材料の板厚を含んだ寸法で表現するため

(2) 塑性加工による伸び・歪みを考慮するため


(1) 材料の板厚を含んだ寸法で表現するため

寸法を示す際、下図のように部品の最大外形で記載するのが一般的です。

加工前の材料寸法は、単純にa:35mm+b:35mm=70mmではありません。a・b寸法ともに板厚を含んだ値であるため、板厚の2mmを考慮する必要があります。

引用元:MONOist

(2) 塑性加工による伸び・歪みを考慮するため

板金加工による曲げ加工は、材料の塑性という特性を利用して加工しています。塑性とは、変形させた後でも変形が残る性質のことです。

塑性は延性と展性という2種類の性質に分けられますが、どちらも材料の伸びを伴います。この材料の伸びを考慮する必要があります。

参考:板金加工における【曲げ加工】の基礎やV曲げ/L曲げ加工について徹底解説!!  


展開図を示しておくことで、加工時のトラブルを防止することが出来ます。材料の無駄や確認連絡のための工数削減など、コスト削減にも繋がります。

参考:【板金加工 図面】図面の基礎を徹底解説!必要性から書き方・読み方まで  



展開寸法の求め方・展開図の書き方

展開図を書く為には、展開寸法が必要です。

展開寸法は、加工前の材料寸法を指します。展開寸法の求め方にはいくつか種類がありますが、今回は「外側寸法加算法」と「中心線による計算方法」の2種類を学習します。

(1) 外側寸法加算法

あらかじめ加工したい部材と同じ板厚の材料を用いて曲げ加工を行い、加工前の寸法と加工後の寸法を控えておきます。加工後寸法は、材料の伸びによって加工前寸法より大きくなるので、

「加工後の寸法-加工前の寸法=伸び量」

上記で計算した伸び量を考慮して展開寸法を決める方法が、外側寸法加算法です。以下の図を用いて、具体的に計算してみます。

図1:展開寸法の求め方

加工後に必要な寸法は、A寸法(30㎜)とB寸法(50㎜)です。あらかじめ調べておいた伸び量αは、2㎜です。必要な展開寸法Lは、

30mm+50mm-2mm=78mm

※ 曲げ回数が複数回必要な部品では、回数分を伸び量αに乗じた計算が必要です。

(2) 中心線による計算方法

中心線による計算方法では、曲げ加工時の曲げ局部に注目します。材料は曲げ局部に近い内側では圧縮され(展性)、外側では引っ張られます(延性)が、中立の線(板厚中立軸)は圧縮も引っ張りもされません。

中立軸は加工前後での寸法が変わらないため、中立軸の距離がそのまま展開寸法になります。

Q.【練習問題】中心線による計算を実際に練習してみましょう。

図2:中心線による計算方法。曲げRは2mm(事前に測定済)、図の縮尺は不正確。

中立軸を①・②・③の3つに分けて考えます。板厚は6.0mmなので、材料表面から3mmの位置に中心軸が存在します。曲げRを2mmとすると、

=30mm-6.0mm(板厚)-2.0mm(R)=22mm

={(6.0mm×1/2(材料表面から中立軸までの距離)+2.0mm(R))×2}×3.14×1/4=7.85mm
※{中カッコ}は円の直径を求めています。

=24mm-6.0mm-2.0mm=16mm

よって展開寸法は、
=①+②+③

=22mm+7.85mm+16mm=45.85mm



板金加工の展開図の書き方!板金展開ソフトを使って書く

簡単な形状の板金部品であれば容易に展開が出来ますが、特殊形状の円筒のように複雑な板金部品の場合、展開の難易度が高くなります。

最近では3DCADが一般的になり、板金部品も3DCADで設計することが増えたため、CADソフト内蔵の簡易プログラムで展開図も作成されることがあります。

しかし、複雑な形状の部品展開や、より正確な展開寸法が必要な場合は、板金専用の展開ソフトが使用されることが多いです。特に人気があるのは、CAD TOOLとVectorです。

① CAD TOOL

CAD TOOLは、キャデナス・ウェブ・ツー・キャド株式会社製のソフトウエアです。数値入力後、展開図とリアルタイムで連動するプレビューや、座標値、補助寸法線付きなどの出力オプション、CADソフト(AutoCADなど)へのダイレクト表示、曲げシミュレーション・圧力容器コマンドが装備されている点が特徴的です。  

② Vector

Vectorは、安田和俊さん(個人)によって開発された板金展開プログラムです。Ver.2.0以前はフリーですが、それより上位Ver.はユーザー登録を行わないとデータ出力機能が使用出来ないのでご注意ください。

58種類の展開が可能で、展開面積の計算ができる点やdxf出力(Ver.2.0以前はフリー)、dxf出力時に切断補助線を作図できる点が特徴です。  



ソフトで展開図を書くメリット

板金加工の展開図を書くにあたって、展開ソフトを使用するメリットはたくさんあります。

展開図をソフトで書くメリット

(1) 豊富な展開パターンをコマンド化できる

(2) 設計後の完成形を直感的にイメージしながら作図ができる

(3) 後工程で使える機能的な展開図を出力できる

※CADTOOLの場合

(1) 豊富な展開パターンをコマンド化できる

ダクトやシュート、パイプ、分岐管等、一般的な製缶業務で使用される展開パターンはもちろん、その他これまで特にニーズのあったパターンなど、全64種類もの展開コマンドが用意されています。さらに、一つのコマンドに対して複数の寸法入力の方法が用意されているものもあり、一つのコマンドから数種類の展開図を作成することが可能です。

他にも、「任意形状と丸コマンド(寸法入力のみならず、入り口の形状を作図することが可能なコマンド)」や、「厚肉対応展開コマンド(入力する径が外径か内径かを選択でき、板厚を考慮した展開図の作成が可能なコマンド)」なども一部コマンドには含まれます。

CADTOOLの場合、すべてのパターンを合わせると286パターンにもなり、製缶業務の効率を大幅に改善できます。

(2) 設計後の完成形を直感的にイメージしながら作図ができる

CADによる作図に比べ、展開ソフトで作図すると、寸法の一部の数値を変更すると展開図がどのように変化するか分かりづらかったり、数値を入力した後の完成形のイメージがしにくいなど、操作による図の変化が直感的にわかりにくいデメリットがあります。

しかし、寸法を入力すると同時にリアルタイムで展開図の変化が確認できるリアルタイムプレビュー機能や、表示を切り替えて展開図・正面図・上面図・アイソメ図を確認することで完成形がよりイメージしやすくなる形状表示機能のある展開ソフトを使用すれば、CADに劣らないほどの自由な作図ができます。

(3) 後工程で使える機能的な展開図を出力できる

後工程で使用することを想定した出力オプションもあります。例えば、けがきをする際に役に立つ補助線・寸法線付きの展開図の出力や、他のシステムへ利用できるよう展開図の座標値出力等です。

紙やデータでの出力に対応し、紙の場合には実寸で印刷することもできます。データ出力形式は、xls, csv, bmpだけでなく、CADで利用できるDXF形式にも対応しています。さらに、AutoCADなど一部のCADでは「CAD通信機能」を使用して、CAD上に直接データを出力できます。



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