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S55Cの硬度・機械的性質、成分、加工性

鉄鋼 | 2021年04月22日

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S55Cは、JIS規格で規定されている【JIS G 4051:機械構造用炭素鋼鋼材】の高炭素鋼です。

S45CやS55Cなどの炭素鋼は「SC材」とも呼ばれる材料で、SS材の強度を基準としたものとは違い、成分を基準に規定されています。S〇〇Cのなかに入る数字は、炭素の含有量を示しており、例えばS55Cでは、0.55%前後の炭素を含むという意味を持ちます。

炭素の含有量が多いほど、鋼材の硬度は高くなりますが、一方で靭性は損なわれる傾向にあります。S55Cは炭素の含有量が多い鋼材であるため、硬度が必要なときに採用されています。

S55Cの比重はおよそ7.9です。

S55Cの特徴、用途

S55Cは高炭素鋼の鋼材であるため硬度が高く、優れた耐摩耗性を有しています。基本的にS55Cは、軸材や工具材などのほとんどの用途で熱処理(焼入れ・焼き戻し・調質)をして使用されています。強度を必要とする部品などに適していますが、その一方で靭性は低い材料です。

参考:焼き入れとは?焼き入れの種類ごとの特徴に分けて解説!

用途としては、回転式機械の回転軸・ボルト・自動車部品・ニッパーやペンチといった工具類などに使われています。

S55Cの化学成分

  • <S55Cの化学成分(単位:%)>

種類の記号

C

Si

Mn

P

S

Ni

Cr

Cu

Ni+Cr

S55C

0.52~0.58

0.15~0.35

0.60~0.90

0.030

以下

0.035

以下

0.20以下

0.20以下

0.30以下

0.35以下

*1)Crは受渡当事者間の協定によって0.30%未満としてもよい。

*2)Ni+Crは受渡当事者間の協定によって0.45%未満としてもよい。

引用元:JIS G 4051:2016

S55Cに含まれる炭素(C)・ケイ素(Si)・マンガン(Mn)の化学成分については、含有量の範囲が定められており、その他の化学成分については上限値が設定されています。


S55CとS45Cの違いと使い分け

S55CはS45Cよりも炭素量(C)が多く、優れた耐摩耗性を必要とする場合に採用されます。一方でS45Cは炭素量がS55Cよりも少ないため、耐摩耗性にやや劣りますが、加工性は良好です。

硬さを重視したい場合はS55Cを、加工性と耐摩耗性を両立したい場合はS45Cを選ぶなど、硬さと加工性のバランスを見て材料を選定する必要があります。

参考:SS400とS45Cの違いを徹底解説【専門家が語る】製品による使い分け

S55Cの機械的性質

  • <S55Cの機械的性質(降伏点・引張強さ・伸び・絞り・衝撃値・硬さ)>

種類の記号

熱処理

降伏点

MPa

(N/mm2)

引張強さ

MPa

(N/mm2)

伸び

絞り

衝撃値

J/cm2

硬さ

HBW

S55C

焼ならし

390以上

650以上

15以上

-

-

183~255

焼なまし

-

-

-

-

-

149~192

焼入れ焼戻し

590以上

780以上

14以上

35以上

59以上

229~285

引用元:旧規格JIS G 4051:2009より抜粋

2021年2月現在の最新規格【JIS G 4051:2016 機械構造用炭素鋼鋼材】には、機械的性質は記述されておりません。よって、旧規格にて記述されていた内容を抜粋しております。

S55Cの熱処理

  • <S55Cの熱処理温度(焼ならし・焼なまし・焼入れ・焼戻し)>

種類の記号

変態温度(℃)

熱処理温度(℃)

S55C

Ac

Ar

焼ならし

焼なまし

焼入れ

焼戻し

720~765

740~680

800~850

空冷

約790

炉冷

800~850

水冷

550~650

急冷

引用元:大阪フォーミング株式会社

S55Cの加工性

S55Cは硬さのある鋼材ですが、切削・研削ともに加工はできます。しかし炭素量が多いので、溶接には不向きです。S55Cのような高炭素鋼は、焼入れ性が高い分、熱影響部が著しく硬化するため、溶接割れが発生しやすい傾向にあります。

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この記事を書いた人
<a href="https://catallaxy.me/" class="u-link-theme">株式会社Catallaxy</a>

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