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焼き入れとは?焼き入れの種類ごとの特徴に分けて解説!

表面熱処理 | 2021年04月22日

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自動車用の精密部品や金型用鋼材などに使用される素材は、硬度を上げて耐久性や靭性を上げて、壊れにくくする必要があります。素材の硬度を高めるためには、熱を加えて硬くする「焼き入れ」と呼ばれる熱処理方法が大切です。

実は焼き入れには、大きく分けて6種類ほど熱処理の種類があります。ただ、それぞれの熱処理方法の特徴や得られる効果など、わからない人は多いのではないでしょか。

この記事では、「焼き入れ」の6種類の熱処理方法について詳しく解説していきます。焼き入れによるメリットもご紹介するので、焼き入れ加工について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

焼き入れとは

「焼き入れ」とは、一定以上の温度に素材を加熱したあと、適切な方法で素材を冷やしていく方法です。焼き入れをすると、加熱した素材の強度を高められ、衝撃や曲げに強い素材になります。

焼き入れをしないままの素材は、耐久性がもろく、割れやヒビなどが入りやすいです。焼き入れをおこない強度をあげると、自動車の精密部品や金型用の鋼材として活用できます。焼き入れは、さまざまな部品や加工用素材を生み出すために重要な工程です。


焼き入れの種類

素材への焼き入れ作業は、大きく分けて6種類。焼き入れの方法によって、素材への影響や素材の硬度などが異なります。

では、6種類の焼き入れの方法や特徴について、それぞれ解説していきましょう。

焼き入れの種類①【ズブ焼き入れ】

「ズブ焼き入れ(別名:全体焼き入れ)」とは、内部まで熱を加えて素材全体を硬くする焼き入れ方法です。芯部まで焼き入れをすることで、素材全体が硬く、引っ張りや圧縮に強い特徴を持ちます。

ズブ焼き入れは、小さいサイズの素材なら短い時間で芯部まで熱が加わります。しかし、サイズが大きくなるほど内部までの焼き入れが難しく、時間もかかります。

大きいサイズのズブ焼き入れを依頼する場合には、高い技術力のある企業へ外注するように気をつけましょう。

焼き入れの種類②【表面焼き入れ】

「表面焼き入れ」とは、素材の表面のみを焼き入れする熱処理方法です。表面焼き入れすると、素材の表面は硬くなりますが、内部は素材本来の硬度のままになります。

また、表面焼き入れにも主に4つの焼き入れ方法があるので、注意しておきましょう。

  • 高周波焼き入れ:高周波の電磁波で素材表面を加熱して焼き入れする

  • 炎焼き入れ:バーナーなどの炎を吹き付けて焼き入れする

  • レーザー焼き入れ:レーザー光を素材に当てて焼き入れする

  • 電子ビーム焼き入れ:真空状態で電子ビームを照射して焼き入れする

焼き入れの種類③【浸炭焼き入れ】

「浸炭焼き入れ」とは、熱処理する素材の表面に炭素を浸透させてから、焼き入れする処理方法です。浸炭方法はいろいろありますが、現在一般的なのはガス浸炭と呼ばれる方法になります。ガス浸炭とは、浸炭用ガスを充満させた炉の中で、浸炭させる素材を加熱する方法です。

浸炭焼き入れの特徴は、炭素が浸透した部分だけが硬くなり強度を高められる点です。浸炭焼き入れをすると、素材の摩耗性や耐摩耗性と靭性の両立などの効果が得られます。

また、炭素を浸透させた部分だけを焼き入れできるので、焼き入れ部分の選択が比較的自由なのも特徴です。

素材の内部や炭素が浸透していない部分は、素材もともとの硬度のままになっています。浸炭焼き入れした素材は、主に自動車部品や機械部品に使用される場合が多いです。

焼き入れの種類④【高周波焼き入れ】

高周波焼き入れとは、高周波を使って起こした電磁誘導の熱をもちいて、焼き入れをする熱処理方法です。熱を加えた後には、急速冷却をおこないます。高周波焼き入れは、表面だけを硬くする「表面焼き入れ」に使用される場合が多いです。

また、高周波焼き入れは、自動化がしやすいため、製造業などでよく使用されています。複数の素材を同時に炉に入れて熱処理ができ、熱を加えてから冷やすまでの時間も比較的短いです。

高周波焼き入れを、製造ラインの一貫として組めば、全自動で焼き入れ作業ができます。そのため、自動車用部品や金型用鋼材などのいろいろな場面で、高周波焼き入れは使用されています。

 焼き入れの種類⑤【真空焼き入れ】

「真空焼き入れ」とは、簡単にいうと真空状態で熱処理をおこなう焼き入れ方法です。素材を入れた炉の内部を、真空もしくは減圧した後に、製品を加熱して窒素ガスで冷却をします。

真空焼き入れをする真空炉の中は、酸素がない状態です。酸素がないため、素材表面と酸素が反応して発生する「酸化皮膜」と呼ばれる黒ずみのようなものができません。その結果。光沢のある品質が高い素材を生み出せます。

真空焼き入れ後の素材品質が高いため、仕上げ作業や研磨作業などの後工程を削減できるメリットがあります。金型用の鋼材やプレート、部品などいろいろな分野で、真空焼き入れをした素材は使用可能です。

 焼き入れの種類⑥【窒化焼き入れ】

窒化焼き入れとは、素材の表面のみを熱処理して硬度を高める焼き入れ方法です。浸炭焼き入れと同じように、加熱炉内に「窒化用のガス」を充満させ、その中で素材を加熱させる方法が一般的になります。熱を加えると、窒素が染み込んだ部分のみ硬度が上がり硬くなります。

窒化焼き入れの特徴は、焼き入れ後の変形(ひずみ)が比較的少ないことです。そのため、精密部品をより硬く仕上げたい場合に、窒化焼き入れが使用されています。窒化焼き入れには、素材の耐摩耗性や耐熱性などの性質が向上する効果があります。


焼き入れ以外の熱処理

鋼材などの硬度を上げることを目的としているのが「焼き入れ」です。しかし、実は他にも大きく分けて3種類ほどの熱処理方法があります。

ご紹介する熱処理方法は、どれも素材に熱を加える作業は同じです。ただ、熱する温度や時間、冷却するまでの時間が異なります。

ここでは、それぞれの熱処理方法の名称と処理の目的を解説していきます。

・焼きなまし

「焼きなまし」は、機械加工による切削や、プレス加工などを簡単にするために、材料を軟らかくすることが目的の熱処理方法です。素材を適切な温度で熱した後に、長時間かけてゆっくりと冷却するのが特徴になります。

・焼きならし

「焼きならし」とは、素材を鍛造や鋳造する工程で発生した、素材の組織のムラなどを均一にするための熱処理方法です。焼きならしをすることで、素材本来の強度や靭性などの機械的性質を高められます。

また、焼きならしは、焼き入れの代替処理としても利用される場合が多いです。

・焼き戻し

「焼き戻し」とは、一度焼き入れして冷やした素材を、そこからさらに加熱する熱処理方法です。「焼き入れ」の時よりも低い温度で再度加熱をすることで、より粘りや靭性を高められます。

焼き入れと焼き戻しは基本的にセット。焼き入れした素材にもよりますが、焼き入れ後は必ずと言っていいほど焼き戻しをおこないます。焼き戻しをすることで、鋼材にヒビ割れや破損が起きる可能性を減らせるからです。


参考記事

焼き入れ以外の熱処理方法について、さらに詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。

鋼の性質を変える【熱処理】とは?仕組みや種類について徹底解説!


焼き入れのメリット

焼き入れ作業は、多くの製造業などで用いられている作業工程になります。社内で対応できない場合には、外注をして焼き入れする企業も多いです。

そんな焼き入れ作業で得られるメリットには、以下のようなものがあります。

焼き入れ作業のメリット

  • ●鋼材を硬くできる

  • ●ヒビ割れや破損を防げる

  • ●鋼材の品質を高められる

  • ●摩耗性や靭性、耐久性などを高められる

焼き入れ作業は、素材を硬くすることが目的です。ただ、硬度の変化は、素材に含まれる炭素量などによって変わります。

焼き入れを外注する場合には、素材の種類や含まれる炭素量、サイズなどのさまざまな項目をしっかりと確認してください。


焼き入れの一括見積りを依頼するなら【Mitsuri】

今回は、「焼き入れ」の熱処理方法について解説しました。焼き入れは、素材の硬度を高めて、破損やヒビ割れを起こしにくくするための大事な工程です。

焼き入れと言っても、大きく分けて6種類も熱処理方法があるので、加工する素材にあった熱処理を行うことが重要になるでしょう。

そのため、素材に合わせて焼き入れ方法を判断できる高い焼き入れ技術と、焼き入れができる設備のある企業に依頼を出すのがおすすめです。

Mitsuriは、日本全国に約250社以上の協力企業があります。ご依頼内容に合わせて、最適な焼き入れ加工ができる工場をすぐにご紹介可能です。焼き入れ加工にお悩みであれば、無料でお見積もりが取れるMitsuriへぜひご相談ください。

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この記事を書いた人
<a href="https://catallaxy.me/" class="u-link-theme">株式会社Catallaxy</a>

株式会社Catallaxyは "未来の製造業をつくる" をミッションに掲げ、製造業における従来のサプライチェーン/バリューチェーンの刷新を目指しています。記事内容に関するお問い合わせはこちらへ。

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