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塑性加工とは?種類や加工製品例、メリット・デメリット、切削加工との違い

塑性加工 | 2021年10月14日

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金属加工と聞いて、最初にどんなものを思い浮かべますか?

モノづくりにおける金属加工には、熱して熱くなった金属をハンマーで叩く刀の鍛造や、機械を使った加工、ドリルでの穴あけなど、さまざまな種類があります。塑性加工はその中で最も古い歴史を持つと言われており、古くは紀元前の古代文明から用いられていた手法と言われています。その技術は脈々と受け継がれ、現在でも鋳造に並んで多く用いられる金属加工の手法となっています。

今回は、塑性加工の種類やメリット・デメリットなどを詳しくご紹介します。

塑性加工とは

塑性とは、物質に力を加えたとき、破壊されることなく変形され、力を取り除いてもその状態を永久に保持し続けることを言います。例えば、粘土に指で力を加えると穴が開きます。上から手のひらで潰すと平べったくなります。手を取り除いても、粘度はそのままの状態を保ち、元の状態に戻ろうとはしません。このような変形のことを塑性変形と呼び、物体の性質を「塑性」と呼んでいます。

塑性は物質によって発生条件が異なります。中でも温度の影響を受けやすい傾向にあり、金属では高温なほど変形しやすく、常温では容易に変形しません。この特徴を生かしてプラスチックや金属などで加工品を作り出す方法を塑性加工と呼んでいます。

塑性加工の種類と加工製品例

塑性加工の種類と実際の加工品例についてご紹介します。

鍛造加工

引用元:いすゞ自動車公式チャンネル [official](YouTube)

鍛造加工とは、金属を叩いて圧力を加えることで強度を高める技術のこと。ハンマーやプレス機で金属を圧縮することで中の空隙を潰し、より強固な素材へと鍛えていきます。そのため、自動車のエンジン部分をはじめ、高い強度を要求される製品に多く用いられます。

●加工品例

ペンチ、スパナなどの家庭用の工具、包丁、ナイフ、フォーク、ハサミなどの生活用品、自動車や航空機のエンジン部品、電車の歯車、指輪、ゴルフクラブなど

参考:【鍛造加工とは?】加工方法や種類、歴史について1から解説します!

圧延加工

引用元:株式会社光栄(YouTube)

圧延加工とは、2本のロールの間に金属を通し、ロールで圧力をかけながら薄く引き伸ばしていく加工方法です。ロールの間隔を変更することで、比較的厚みのある板材から紙のように薄い素材まで幅広く加工することが可能です。

●加工品例

アルミニウム箔、工場で使用される板材、棒材、管材

参考:【圧延】とは?工法、種類、製品例、圧延の発展の歴史についてご紹介!

プレス加工

引用元:MIDAS MOVIE / エミダスムービーチャンネル(YouTube)

プレス加工とは、加工物を金型に押し当て、圧力をかけて整形する加工方法のこと。一般的には曲げ加工に用いられることが多いですが、決まった形状にくり抜くことも可能です。

●加工品例

スチール製の家具やケース、自動車の部品やボディ、テレビやエアコンなどの内蔵部品、硬貨

参考:プレス加工の基礎知識や種類について専門家が徹底解説!

押出し加工

引用元:ynaoxcojp(YouTube)

押出加工とは、金属を小さな部屋に閉じ込め、圧力をかけることで押し出しながら形状を整えていく加工方法のこと。ダイスと呼ばれる穴から金属が一定の形状を保ったまま押し出されていくため、長い部品を製造する際に活用されます。

●加工品例

飛行機の部品、アルミサッシのフレーム

参考:【押し出し加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例について徹底解説!

引抜き加工

引用元:SCIENCE CHANNEL(JST)(YouTube)

引抜き加工とは「ダイ」と呼ばれる専用の金型から素材を引き抜く加工方法のこと。押出加工同様、一定の形状を保った長い素材を製造するのに用いられ、引き抜き加工の方がより細く長いものの製造に適しています。

寸法精度が高くロスが少ない上、引張り強度の高い素材を製造できますが、加工の形状が限られるデメリットもあります。

●加工品例

電線、ピアノ線、ワイヤー、パイプ、角材、注射針

参考:【引抜加工】とは?仕組みや特徴、種類、製品例についてご紹介!

転造加工

引用元:三和鉄工(YouTube)

転造加工とは、転造ダイスと呼ばれる回転する工具に材料を押し当てて金属を整形する加工方法のこと。削るのではなく、押し当てて盛り上げることで整形する塑性加工で、切削加工に比べて廃材を出さず、材料を無駄なく活用できるメリットがあります。

●加工品例

ネジ、歯車、スプライン、セレーション、ウォーム

参考:転造加工とは?種類とデメリット、加工可能な金属を解説!

塑性加工のメリット・デメリット

●塑性加工のメリット…強度が上がる・加工時間が短い・廃材やロスが少ない

●塑性加工のデメリット…コストがかかる・精度が低い

メリット

材料が元の素材から大きく変形されるため、その過程において金属の強度アップが期待できます。鍛造加工は特に、強度のアップを見込んだ加工方法で、エンジンをはじめとする強度を要求される部品として活用されています。

加工時間の短かさや切削と比べた時のロス・廃材の少なさもメリットのひとつで、大量生産することでコストパフォーマンスの向上も期待できます。

デメリット

塑性加工は、製品ひとつに対して専用の装置を必要とされることが多くあります。さらに、金属の塑性は高温での作業となるため加熱を必要とされることが多く、製造費用やメンテナンスなどにコストがかかることが多いです。また、ミリやそれ以下の単位までを求められる精密機器をはじめ、緻密さを要求される部品の製造には適していません。

切削加工との違い

ネジや歯車を製造する際、よく比較される塑性加工と切削加工。

削ることによって廃材が出る切削加工は、金属加工の中では「除去加工」に含まれます。一方、圧力をかけて変形させることでカタチを整える塑性加工は「非除去加工」に含まれ、切削加工とは全く異なる加工方法に分類されます。

切削加工は小ロットからの製造も可能ですが、塑性加工でネジ山を製造する場合専用の装置が必要となるため少量の生産には向いていません。

このように、切削加工と塑性加工では、出来上がった製品の見た目は同じでも過程や製造方法はまったく異なります。

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この記事を書いた人
株式会社Catallaxy

株式会社Catallaxyは "未来の製造業をつくる" をミッションに掲げ、製造業における従来のサプライチェーン/バリューチェーンの刷新を目指しています。記事内容に関するお問い合わせはこちらへ。

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