バスバー(ブスバー)について種類や製作方法を詳しく解説!

2023-11-07

あまり聞き慣れない「バスバー(ブスバー)」ですが、高圧大電流が流れる部分に使用される導体のことを言います。バスバーは、配電盤や制御盤、蓄電池など、化学工業の分野においてさまざまな用途に利用されています。私たちの身近なところでは、電車用の制御回路配線や電気自動車など、広く利用されています。

今回は、このバスバー(ブスバー)をテーマに、バスバーとは何かという説明から始め、バスバーの材質や製作方法について解説します。さらに、バスバーの製作を依頼する際に注意する点などについても詳しくご紹介していきます。バスバーについて知識を深めたい方や、これからバスバー製作の依頼を検討されている方は、ぜひご覧ください。

バスバーとは

バスバーは、配電盤(キュービクル)や制御盤、電池などにおいて使用され、大容量の電流を導電する導体を指します。英語では、「bus bar」と表記されるため、日本ではバスバーやブスバーなどと呼ばれています。

バスバーは、電気抵抗が小さいため、大容量の電流を効率的に各部分へ供給することができるという特徴を持ちます。その他にも、バスバーをビスで固定させるだけで配線作業が完了することから、サイズが大きな配電盤や制御盤においても、盤全体に比較的簡単に大容量の電源を分岐することが可能となります。このような特徴を活かして、バスバーはケーブルや導線の代わりに広く利用されています。

バスバーの材質

次にバスバーに使用される材質について解説していきます。

バスバーには、主に銅が使用されることから「銅バー」とも呼ばれています。バスバーには高い導電性、また高い機械的強度(引っ張り、伸び)が必要となります。銅は、金属の中でも特に導電性に優れており、比較的高い機械的強度を有することから、バスバーに広く用いられています。

参考記事

こちらの記事では、銅について、その特徴や用途について詳しく解説しています。銅について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。

【銅】の基礎知識|身近な銅の特徴や用途・真鍮について解説!

タフピッチ銅

タフピッチ銅は、銅純度が99.90%以上の材質で、銅バスバーの中で最も多く流通している材質です。導電性に優れるのはもちろん、展延性や絞り加工性にも優れており、配電盤などの電気部品や化学工業用などに広く利用されています。

無酸素銅

無酸素銅は、銅純度が99.96%以上の材質で、酸素の含有量を10ppm以下に抑えた材料です。前述したタフピッチ銅は、酸素含有量が80ppmと、無酸素銅と比較して高いため、高温で使用すると、酸素と水素が反応し、水素脆化〔材質中に吸収された水素によって材質の強度(延性や靭性)が低下する現象〕が発生しやすくなります。

そのため、溶接やロウ付けが必要な場合など、加工の際または使用中に高熱が加わる場合には、主にこの無酸素銅が利用されます。しかし、無酸素銅は、タフピッチ銅と比べて流通性が悪く、また価格も高くなるので注意が必要です。

銅以外の金属

前述した通りバスバーには、一般に銅が利用されますが、その次にアルミがよく用いられます。アルミは、銅と比較すると、導電性や引っ張り強度などは劣るものの、比重が軽く、価格も低いため、アルミ製のバスバーを使用することで軽量化、コストダウンなどが可能となります。ただし、アルミは導電性が低い分、銅のバスバーと比べて導体の体積を大きくする必要があります。

参考記事

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【アルミの基礎】アルミの加工上の特性やメリット/デメリットまで徹底解説!

バスバーの製作方法

次に、バスバーの製作方法について見ていきましょう。バスバーの製作には、以下のような工程が含まれます。

穴あけ

必要なサイズの金属の板材を用いて、必要な箇所に穴あけ加工を施します。また、必要であればタップ加工を行い、ねじ山を作ります。加工機器としてボール盤が利用されます。

曲げ加工

穴あけ加工の後は、ベンダーやプレス機を用いて、図面に従って曲げ加工を施します。なお、バスバーの曲げ加工には、以下のような曲げ加工法が用いられます。

<フラットワイズ曲げ・エッジワイズ曲げ>

エッジワイズ曲げは、幅方向に曲げる加工方法で、非常に高い技術力を要します。

また、フラットワイズ曲げは、厚さ方向に曲げる加工方法で、一般的な曲げ加工法となります。

ニーズに応じて、必要な曲げ加工を施しますが、一般にフラットワイズ曲げ加工の方が、エッジワイズ曲げ加工と比べて、低コストで加工を行えます。

参考記事

こちらの記事では、曲げ加工について、その基本的な知識や種類などについて詳しく解説しています。曲げ加工について、詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。

板金加工における【曲げ加工】の基礎や種類ついて徹底解説!!

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バスバーの製作依頼時の注意点

最後に、バスバーの製作を依頼する際に注意すべき点について見ていきましょう。

1.断面積は電流に合わせて算出

バスバーに流れる電気容量は、一般にバスバーの断面積によって決まっており、以下に示した式で表され、電流容量を断面積から導く場合、断面積から電流容量を出す場合に利用されます。

バスバー簡易選定計算式

電気容量(単位:A)=電流密度(単位:A/mm²)× バスバー断面積(単位:mm²)

また、一般に銅帯における電流容量、電流密度、バスバー断面積は下表のような関係になっており、用途に応じてバスバーの断面積を決定する必要があります。

<銅帯の電流容量・電流密度・参考断面積の相互表>

引用元:株式会社成光工業

2.加工工数は少なく

バスバーを製作する上で、加工工数を少なくすることで、生産性の向上や歩留りの改善が可能となります。

最近では、バスバーの製作にフォーミングマシンと呼ばれる、プレス部と曲げ部との両方の機能を備えた機械を用いることで、丸棒の材料を送りながら、下図のように複数の工程を行い、成形することが可能です。特に比較的高価である銅を材質として使用するバスバーにとって、歩留りを改善することはコスト面で非常に重要な点となります。

引用元:株式会社成光工業

バスバーの製作についてまとめ

今回は、バスバー(ブスバー)をテーマに、バスバーとは何かという説明から始め、バスバーの材質や製作方法、さらにバスバーの製作を依頼する際に注意する点など、詳しくご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。バスバーは、用いられる材質によってコストや性質など大きく変化し、さらに加工によっては非常に高い技術力を要します。そのため、バスバーの製作を依頼する際には、信頼できるメーカーの選定が重要となります。

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