染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
「ステンレス板の価格設定がわからない・・・」
「ステンレス板加工の見積りを依頼するために、目安の価格を知っておきたい」
このように、ステンレス板の価格に関してお悩みではありませんか?
ステンレス板は、耐食性が高くさびにくい性質があり、今では日常生活の幅広い場所で活用されている金属素材のひとつです。ステンレス板の加工を依頼する際、具体的な価格の目安を知っていると、よりスムーズに加工業者とやり取りができるでしょう。
この記事では、ステンレス板について、価格を決めるポイントや価格相場を含めて紹介していきます。ステンレス板の価格を知りたい方や、ステンレス板の加工を依頼しようと考えている場合にはぜひ最後までご覧ください。
ステンレス板の価格を決める代表的なポイントとして、次の5点が挙げられます。
ステンレス板の価格を決める5つのポイント
ステンレス板の中でも主流な材質は、次の2種類です。
●SUS304:オーステナイト系ステンレスで、ニッケルとクロムを含む「18クロム−8ニッケル」と呼ばれる素材。温度変化の激しい環境に強く、耐食性が他の種類に比べても特に高いため、薄板などに採用される。●SUS430:フェライト系ステンレスに分類される鋼種で、フェライト相を形成していることが特徴。熱処理により硬化しにくく軽量、安価で加工性も良く耐食性も良いので、とても幅広い用途に使用されている。建築内装用やキッチン用品、自動車部品などで使用される。
高価なニッケルを含むSUS304は比較的高価ですが、複雑な加工にも適しています。
一方、SUS430はニッケルを含まない分安価なので、幅広い場面で用いられています。
各ステンレス板はクロムやニッケルなどの配合成分や特徴が異なるため、用途に併せて適切な材質を選ぶ必要があります。
一般的に流通のあるステンレス板の板厚は、下記のとおりです。
●SUS304(2B仕上げ):0.3/0.4/0.5/0.6/0.8/1.0/1.2/1.5/2.0/2.5/3.0/4.0/5.0/6.0mm●SUS304(HL仕上げ):0.5/0.6/0.8/1.0/1.2/1.5/2.0mm●SUS304(#400仕上げ):0.8/1.0/1.2/1.5/2.0mm●SUS430:0.3/0.5/0.8/1.0/1.2/1.5/2.0/2.5/3.0mm
※仕上げについては後ほど説明しています。
基本的に板厚は薄いほど薄くするための工数が掛かっているため、価格は高くなる傾向があります。しかし、加工する範囲や、ステンレス板のサイズなどによって流通量が異なることもあって価格はその時々で変わります。いま入手性が良い板厚はどれなのかという点も確認しておくべきポイントです。
参考:ステンレス板の種類と板厚一覧!必要なステンレス板がすぐ見つかります!
ステンレス板の形状によっても価格は異なります。平らな平板から、L字型やコの字型、Z型などがあり、曲げ加工によって形成されます。
ただ、ステンレス板に曲げ加工を施す場合は、素材に圧をかけてプレス加工し曲げた後に、若干元に戻ってしまうスプリングバックという現象が発生しやすいため、配慮が必要です。通常はスプリングバックを見込んで目標より大きく曲げる対応をすることで目標角度に曲げることができますが、形状が複雑になると寸法精度が出しにくくなる場合もあります。多少のスプリングバックであればその後の組立工程で解消できる設計にしておくこと等の対応も価格低減のポイントになります。
参考サイトオンライン上で条件を入力すると自動計算できる下記サイトでは、加工したい形状、ステンレス材の材質、穴あけが必要な場合の個数、制作個数によって見積りが算出されます。おおよその価格を算出するために活用すると良いでしょう。⇒株式会社遠松製作所:カンタン見積りツール
ステンレス板は、用途によって表面処理して使用されます。代表的な表面処理の種類は次のとおりです。
●No.1:熱間圧延後、熱処理または酸洗で仕上げた、銀白色で光沢がないタイプ●No.2D:冷間圧延後、熱処理、酸洗をした灰色よりのつや消し仕上がり●No.2B:2Dの後につや消しロールで軽く処理をしたもので、2D仕上げよりなめらかでやや光沢のある仕上がり●BA:冷間圧延後、光輝焼鈍(無酸化焼鈍)を行った、光沢のある表面仕上げ●#400:2B仕上げの工作物を、400番手のバフで研磨し仕上げた、鏡面に近い光沢と若干のすじがあるもの●HL(ヘアーライン):150〜240番の粒度の研磨ベルトで、髪の毛のように長く連続した研磨目を持たせたシンプルなラインが美しい仕上がり●No.8(鏡面):800番の鏡面用バフで仕上げた研磨目のない鏡に近い仕上がり
基本的に、工賃は処理の工数や難易度が上がるほど高額になります。例えば、表面を鏡のように磨かれた仕上がりにする鏡面仕上げは、加工の段階で傷がついてしまうだけで修復が困難になるため、熟練した技術が必要で、価格も比較的高くなります。
参考:ステンレスのヘアライン加工の種類や特徴について専門家が解説!
製品を製造する際は、その材料自体の価格に加えて様々な経費が発生します。加工ひとつひとつに対してそれぞれ使用する機械の加工単価が決まっており、1工程いくらをまずは計算します。他にも機械を一度動かすごとに必要な段取りに掛かる費用、機械の稼働時間当たりの燃料費、それに係る人件費等、多岐にわたる経費を計上しなければなりません。ただし、見積り算定基準はその業者・工場によって異なるので、全く同じ加工をする場合でも依頼先によっては見積り結果が全く異なってしまう場合もよくあります。いくつかの依頼先に対して複数の見積りを出してもらう事はもちろん、一度の見積り結果を鵜呑みにしないことも重要です。設計改良だけでなく、上述したような工場側の経費となる項目をよく調べ、それらを改善することで更なる価格低減が実現できるかもしれません。
ステンレス板の価格相場として、ステンレスの種類や大きさを限定した場合の価格を紹介します。あくまでも金額の一例となりますが予算の目安としてご参照ください。
引用元:きりいた.com
引用元:きりいた.com
ステンレス板の価格について紹介してきました。ステンレス板で加工精度の高い仕上がりを出すためには、設備を揃えている業者に依頼するのが無難です。ステンレス板の価格は、ステンレスの種類や加工方法などによっても異なる上、メーカーごとに違います。また、量を発注することで割引が受けられる場合もあるため、詳しい条件を提示して見積りを依頼しましょう。
ステンレス板加工を依頼できるメーカーをお探しなら、ぜひ一度Mitsuriにご相談ください。日本全国250社以上の提携企業の中から、お客様の要望に合った最適なメーカーを紹介します。Mitsuriでは複数の企業のお見積りを一度に取り寄せることができます。まずはお気軽にお問い合わせください。
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