ステンレス板には、多種多様な種類があります。使用用途によって適切なステンレス板の種類を選ぶ必要があり、仕上がりもそれぞれの種類で大きく違いますので、事前に確認しておくべき事項が多くあります。
ステンレス板の仕上がりは千差万別で、鏡のようにぴかぴかとした美しい加工がなされたステンレス板から、水場でも滑らないように滑り止め加工が施されたステンレス板など、様々な用途にステンレス板は対応できます。
この記事ではステンレス板の種類の概要から特徴まで解説しています。ステンレス板の理解を深める参考にしていただけるとうれしいです。
板金加工で使われるステンレス板の種類と板厚
板金加工で使われるステンレス板の種類は主に以下の5つです。鏡のようなぴかぴかとした美しい仕上がりのステンレス板からなめらかな光沢を持ったステンレス板など種類は様々です。
ステンレス板の主な種類
・SUS304 2B
・SUS304 HL
・SUS304 #400
・SUS430
・SUS304 縞板
それぞれのステンレス板は、用途も違えば成分も違います。それぞれのステンレス板の特徴を解説していきますので、調達を考えているステンレス板の詳細をチェックし、適切な種類と板厚であるかどうか確認しておきましょう。
ステンレス板の種類と主な板厚一覧表
以下は、板金加工で使われるステンレス板の種類と主な板厚を一覧にまとめた表です。
ステンレス板 | 主な板厚(mm) |
SUS304 2B | 0.3/0.4/0.5/0.6/0.8/1.0/1.2/1.5/2.0/2.5/3.0/4.0/5.0/6.0 |
SUSU304 HL | 0.5/0.6/0.8/1.0/1.2/1.5/2.0 |
SUS304 #400 | 0.8/1.0/1.2/1.5/2.0 |
SUS430 | 0.3/0.5/0.8/1.0/1.2/1.5/2.0/2.5/3.0 |
SUS340 縞板 | 2.5/3.0/3.5/4.5/6.0 |
SUS304 2B
「SUS304 2B」はオーステナイト系ステンレス鋼の一種で、板金加工の材料としてよく使われる種類です。ステンレスの原料(鉄やクロム、ニッケルなど)となる液体を鋳型に流し込んで固め、冷ましてから延ばす冷間圧延加工でできあがります。仕上がりが光沢のある状態となるため「2B」とあらわされます。
なめらかで光沢のある仕上がりとなり、そのまま加工せずに使うこともできます。帯鋼(冷間圧延を行った板状に加工された鉄鋼)全般にいえることですが、巻き癖がついていますので、加工前に巻き癖をとる必要があります。
SUS304 2Bの板厚
主な板厚は、以下16種類の厚さ(単位:mm)が一般的です。
主な板厚
0.3/0.4/0.5/0.6/0.8/1.0/1.2/1.5/2.0/2.5/3.0/4.0/5.0/6.0
SUS304 HL
ヘアライン仕上げ
「SUS304 HL(ヘアライン)」は、2Bの素材に研磨ベルトで一定方向に連続した研磨目を持たせた仕上げの板です。髪の毛のような連続した研磨目が特徴で建材の中でも最も一般的に使われています。
光沢をなくし、ツヤ消しを行うことで落ち着いた雰囲気を持たせていますので、美観を求める場合はSUS304 HLのステンレス板をおすすめします。SUS304 2Bよりも比較的安価に研磨可能である点も特徴です。
SUS304 HLの板厚
主な板厚は以下7種類の厚さ(単位:mm)が一般的です。
主な板厚
0.5/0.6/0.8/1.0/1.2/1.5/2.0
SUS304 #400
「SUS304 #400」は、P400番バフによって研磨仕上げしたステンレス板で渋い光沢を持ち、鏡面に近い光沢と若干のすじが見られるのが特徴です。
美しく見栄えがよいため、装飾品や建材、厨房用品や医療用ワゴンなど広く使われています。SUS304 HL同様、美観を求められる際におすすめです。
SUS304 #400の板厚
主な板厚は以下5種類の厚さ(単位:mm)が一般的です。
主な板厚
0.8/1.0/1.2/1.5/2.0
SUS430
「SUS430」は、フェライト系ステンレスに分類される鋼種で、フェライト相を形成していることが特徴です。安価で幅広い用途に使われ、耐食性が強く加工もしやすくなっています。
用途は様々で、建築内装用や家庭用器具、厨房器具などに使用され、基本的に軟質状態で使用されます。SUS430は18%はクロム(Cr)、残りが鉄(Fe)で構成されているため、一般的に18クロムステンレスと呼ばれています。
SUS430の板厚
主な板厚は以下9種類の厚さ(単位:mm)が一般的です。
主な板厚
0.3/0.5/0.8/1.0/1.2/1.5/2.0/2.5/3.0
SUS304 縞板
縞板
「SUS304 縞板」は、圧延によって表面に連続した滑り止め用の突起をつけた仕上げが施され、別名チェッカープレートとも呼ばれています。
耐食性・耐熱性・耐低温性に優れており、塗料も不要なのでメンテナンスも手間がかかりません。デザイン性には乏しいですがメンテナンス性や安全性はステンレス板の中でも群を抜いて高いものとなっています。
水切れが良いので屋外スロープの床板や階段のステップなどの滑り止めが必要な環境に使われるほか、化学プラントなどの厳しい環境下でも十二分に性能の高さを発揮することができます。
SUS304 縞板の板厚
主な板厚は以下5種類の厚さ(単位:mm)が一般的です。
主な板厚
2.5/3.0/3.5/4.5/6.0
SUS304とSUS430の違いについて
SUS304はオーステナイト系、SUS430はフェライト系のステンレスです。
オーステナイト系ステンレスは延性および靭性に富み、溶接性に優れています。低温・高温どちらの耐性も優秀です。製品形状は薄板が最も多く、全ステンレス生産量の60%を超えるほどです。
フェライト系ステンレスは熱処理により硬化することがほとんどなく、軟質状態で使用されます。主に薄板や線の形で使用されるのが一般的です。
SUS304とSUS430の違いを、以下の表にまとめました。
ステンレス板の種類 | メリット | デメリット | 主な用途 |
SUS304 | 耐熱性・保温性・強度が高い・加工しやすい | 高価 | 工業設備や建築設備 複雑な加工製品 |
SUS430 | 錆びにくい・安価 | SUS304と比べると、全体的に性能面で劣る | 台所製品、厨房製品、建物の屋根、電化製品 |
SUS304は、SUS430と比べて高価ではあるものの、加工のしやすさや耐熱性・保温効果・強度どれをとってもSUS430に勝ります。SUS430と比べて高機能なので、エレベーターや建築材、階段のステップなどさまざまなシーンで使われるほか、加工のしやすさから複雑な形状の製品にまで幅広く使用されています。
一方で、SUS430がSUS340の劣化品なのかといえば、そうではありません。SUS430は、錆びにくさの点でSUS340に勝ります。水気の多い環境での耐久性は、SUS430が秀でています。そのため台所製品や家電製品、建物の屋根などの水回りの製品にSUS430のステンレスが多く使用されています。
参考:SUS304とSUS430の意味とは? 使い分けや特徴も分かりやすく解説!
ステンレス板の調達ならMitsuri
ステンレス板の種類によって使用される用途が変わるほか、素材によっても耐久性や加工のしやすさが変わります。特に仕上げは種類によって大きく変わりますので、ステンレス板を使うシーンによって使い分ける必要があります。
事前にどのような環境下でステンレス板を使用するのか、どのような雰囲気を持たせたいのかを明確にした上でステンレス板の種類および板厚を決めると、スムーズに進めていくことができます。
適切な種類のステンレス板をお好みの板厚で製作したい場合、十分な加工の技術が必要になります。品質の高いステンレス板を得るには技術力のあるメーカーに依頼すると良いでしょう。
メーカーを選ぶ際にはぜひMitsuriにご相談ください。日本全国で250社以上のメーカーと提携しているため、ご希望に沿うメーカーが見つかります。Mitsuriでの見積もりは完全無料です。
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