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ステンレスのヘアライン加工の種類や特徴について専門家が解説!

表面処理 | 2021年04月22日

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ステンレスは、強度があり錆びにくいので、表面を加工処理し様々な分野で利用されています。例えば、表面をピカピカに磨くステンレスの鏡面仕上げは、熟練の技術を要する上、表面加工の段階で小キズがつくと修復が困難です。

数あるステンレス表面加工の中でも、加工時の小キズが目立ちにくく、汎用性が高いのが、ヘアライン(H L)です。今回はステンレスのH L仕上げ、すなわちヘアライン加工について解説します。

ステンレスのヘアライン加工とは

ヘアライン加工は、ステンレスの表面加工の一種で、研磨ベルトで表面を一定方向に磨いたものを指します。ヘアライン加工として一般的な研磨ベルトの番手は150~240番の範囲で、番手の番号が若くなるほど研ぎ目は粗くなります。

建材、インテリア、キッチン、家電、鉄道、精密機械など、幅広い用途に使われます。

ステンレスのヘアライン加工のメリット

ステンレスは、ヘアライン加工する事で、製品や建造物の美観を整える効果があります。ステンレスの表面に、髪の毛状の細やかな縦線が入る様に加工するので、つや消しと、さらに滑り止め防止効果が生まれます。商品を加工する際に出る微細な傷や歪み(ヒケ)を目立たなくさせるのも、ヘアライン加工のメリットです。

では、ヘアライン加工に向いているステンレス鋼には、どの様なものがあるのでしょうか。

ヘアライン加工に使用するステンレス材料は決まっている?

ステンレスは、鉄にニッケルやクロムなどの金属を混ぜた合金とすることで耐食性を強めています。ヘアライン加工に向いているのは、SUS300番台のステンレスで、別名オーステナイト系ステンレスと呼ばれています。オーステナイト系ステンレスは、耐食性が高く摩耗に強いクロムと、低温の衝撃に強く靭性のあるニッケルを、それぞれ1割以上鉄に混ぜ込んだものです。


ステンレスの詳しい種類については以下の記事で詳しく説明していますので、御覧ください。

SUSの種類を徹底解説【専門家が語る!】用途に合ったSUSを選べるように 


オーステナイト系ステンレスでもヘアライン加工に向いているのは、SUS304と、SU316、316Lです。316は、304に、モリブデンを加え耐食性を強化したものなので、錆びやすい環境の建造物に使用します。316Lは、316の炭素含有率を低減させさらに耐食性を強化。溶接部の腐食を防ぐ効果があるので、建造物に向きます。

他にヘアライン加工が出来るステンレスとして挙げられるのは、フェライト系ステンレスのSUS430です。430は304に比べ安価ですが、耐食性や強度で劣ります。


SUS304をはじめとしたオーステナイト系ステンレスと、430に代表されるフェライト系ステンレスの違いは、以下の記事で詳しく説明していますので比べてみて下さい。

SUS304とSUS430の意味とは? 使い分けや特徴も分かりやすく解説


では、ステンレスのヘアライン加工の種類や、似たような意匠加工は他にどの様なものがあるのでしょうか。

ステンレスヘアライン加工の種類

ヘアライン加工は、ピカピカに磨き上げる鏡面仕上げや、表面に細かい凹凸を付けるシボ加工と違い、表面を細やかに砥ぐことで、独特のツヤ消し加工が生まれ、意匠効果が期待できます。

ヘアライン(HL)

ここ10年来で、ヘアライン加工技術は変化を遂げ、デザイン性に富むものが現れました。様々な分野に意匠効果を持たせる意味で取り入れられています。


【ハードHL・スクラッチHL】

細かい目で刻む様に模様を付ける画像の様なHLをスクラッチHLと呼びます。ハードHLは、砥粒研磨ベルトの番手が荒いものを使い表面を削るヘアラインです。汚れの目立たない方が良い外装パネルや建材に使います。


【クロスHL】

縦に研磨してから、同じ板を横に研磨するのが、クロスHLです。麻の布目の様な仕上がりになります。二倍の手間をかけて表面加工をするため、加工に使うステンレス板は、二倍の厚さを選ぶこともあります。建材やインテリアの傷を目立たなくする目的です。


【デザインHL】

ヘアラインの研磨マシンを交互に動かしたり、加工パターンの組み合わせに変化をつけることで実現したデザイン性の高いHL。建造物の看板の意匠や、複合ビルの案内看板に使われています。


バイブレーション

ステンレスの表面仕上げで、バイブレーションというものがあります。

波状の細かい模様をステンレスに付けるのですが、表面はヘアライン仕上げのステンレスの様なザラつきはなく、細かい模様がみえない程度についている仕上がりになります。バイブレーション仕上げ最大のメリットは、不規則な模様であるため、傷が目立たないことです。エンボス加工共々、キッチンなどステンレスを使用した水回りの表面加工に用いられるのがバイブレーションです。

目に見えないランダムな模様が波状についているので、金属の眩しさが目立たなくなります。汚れが付着しにくくお掃除が楽になるという点で、水回りに使用されるのも頷けます。


シルキーブラスト

ステンレスの表面仕上げには、シルキーブラストと呼ばれる絹のような光沢を示すものもあります。

シルキーブラストは、ブラスト加工という様々な材質の粒体を加工物に衝突させることでバリ取りや表面研削、模様付けなどを行う表面仕上げ加工です。この衝突させる粒体は、ブラスト(投射)材と呼ばれ、シルキーブラストではビーズやジルコン、サンド、アルミナが用いられます。

特長としては、ブラスト材の種類や大きさなどにより仕上げの調整が可能で、ステンレス特有の高級感も失うことなく仕上げることができます。ただし注意点として、ブラスト加工により、ステンレスに自然発生する不動態皮膜が剥がれてしまうことがあります。

上にシルキーブラストの6つの例を挙げましたが、「B-R◯◯」と「B-AR◯◯」はそれぞれ、ビーズとアルミナをブラスト材に使用したもので、番号が大きいほど目が粗くなっています。また、「M-R◯◯」はベース材の仕上げの工夫により光沢を増加させたもので、「2-Z+R◯◯」は逆に光沢を落としたものです。

用途としては、建築物の内装や外装、またインテリアなどに使われており、シルキーブラストで仕上げたパネルや建具、見切り、飾り金物などは金属的でありながら絹のような滑らかなマット感を醸し出します。


【シルキーブラスト仕上げの階段の壁面】

引用元:菊川工業株式会社


鏡面(#800)

ステンレスの鏡面仕上げは、上述したように、表面を鏡のようにピカピカに磨き上げる仕上げ法です。

鏡面仕上げは、バフ研磨という、綿やフェルト製のバフを表面に回転させながら当てる方法で実現されます。ただし、バフの種類は多数あり、その目の粗さにより、#を先頭に大きくなるほどバフの目が細かいことを表す数字が続き、#〇〇〇と記されます。特に、鏡面仕上げは、AISI規格により#800で研磨したものとされています。

鏡面仕上げについて、そのメリットはもちろん、その輝く光沢や高級感、重厚感などです。しかし、極めて傷が目立つため、使いどころに注意が必要です。そのため、用途としては、以下の写真のような傷が付きにくい天井パネルなどに多く利用されています。


【鏡面パネル天井】

引用元:菊川工業株式会社

ステンレスヘアライン加工についてわかったところで、

・具体的に費用はどれくらい掛かるのか

・納品までどれくらい期間が掛かるのか

などについて気になると思われます。

そんな時はMitsuriにお任せ下さい!


ステンレスヘアラインの製品事例

それでは、ステンレスにヘアライン加工を施した製品事例を見ていきましょう。

【ヘアライン仕上げのステンレス(SUS304)板】

引用元:鉄板市場

【ヘアライン仕上げのエスカレーター側板】

引用元:太華工業株式会社

【ヘアライン仕上げのホームドア】

引用元:太華工業株式会社

【ヘアライン仕上げのキッチンワークトップ】

引用元:Kitchen Navi

ヘアライン加工の傷の修復方法

ステンレスはヘアラインに限らず、補修は最低限に留めないと、表面加工が剥がれ、修復した箇所が浮いてしまうという悪循環が起こります。こちらは実験用にわざとヘアラインに傷をつけ補修するものですが、どの様にして元通りにするのか、経過を御覧ください。

引用元:サトーステンレス

まず傷のついた所に、粗めのバフをかけます。#120~#150番ぐらいで軽く傷を削ります。その後、ヘアラインに沿う様に、ナイロンミックスホイールで削った箇所をなじませます。ナイロンミックスホイールは、ナイロン繊維がクッションの役割を果たし、被研磨剤を削りすぎる事がないようにするものです。

引用元:サトーステンレス

表面にヘアライン加工をするために、スコッチブライトを2種類用意します。最初は目が粗めの#180で砥ぎ、次に#320で仕上げます。

引用元:コバックス株式会社

建造物のヘアライン仕上げのキズ補修では、コバックスに代表される、研磨専門の会社の研磨剤を使用します。DIYと比べ物にならないほど、仕上がりは美しくなります。

ステンレスのヘアライン加工に関するまとめ

ステンレスの小キズが目立ちにくいという点で重宝されたのが、ヘアライン加工でした。現在では、ヘアライン加工も技術が発達し、ステンレス表面に一方向に細かい筋が付けられているだけでなく、クロスした筋のつけられているものや、デザイン性に富んだものが出ています。これにより、建材、精密機械だけでなく、インテリア、エクステリアなど様々な分野に利用されるようになりました。

その一方で、ステンレスのヘアライン加工を少数ロットから頼みたい、建材加工や試作品を頼みたいが、どこに頼めば良いのか判らないという方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

そんな方は、ぜひMitsuriにお任せください。




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この記事を書いた人
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株式会社Catallaxyは "未来の製造業をつくる" をミッションに掲げ、製造業における従来のサプライチェーン/バリューチェーンの刷新を目指しています。記事内容に関するお問い合わせはこちらへ。

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