染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
製造作業工程は製造業においてコアな業務で、このクオリティが低いと生産活動全体に悪影響を与えます。
ただ、類語である生産管理・品質管理との違いが、よくわからない方もいらっしゃるのかもしれません。また、近年では製造管理システムで製造管理を行うことが増えてきました。製造管理システムを活用するメリットも、併せて整理しておきたいところです。
そこで本記事では、製造管理の意味とその必要性などを解説した後、製造管理システムのメリットについて解説していきます。
製造管理は、後述する生産管理の一部で、製造現場における作業工程を管理することを意味します。製品生産には、製造以外にも納期や品質も考慮しなければなりませんが、あくまでも製造管理では「製造」に着目するのです。
ここからは、製造管理の類語について、以下2つを解説します。
それでは、一つずつ見ていきましょう。
類語の1つ目は、生産管理です。
生産管理は、以下に示すQCDを最適化することで、生産計画に基づき製品生産を管理することです。
生産管理では、「品質高く、コストを抑え、納期に間に合うよう生産」することが求められます。また、業務内容は幅広く、具体的には以下の業務を生産管理で行います。
なお、前述のとおり製造管理は生産管理の一部と言えます。生産管理は製造管理だけでなく、生産計画や納期管理など生産活動全体を、総合的に管理するものなのです。
類語の2つ目は、品質管理です。
品質管理は、コストや納期も満たしつつ、ユーザーが満足できる製品の品質を確保する役割の業務のことです。適切な品質を確保することで、不良品を減らしてコストや納期の確保にもよい影響を与えます。
また、品質管理は製造段階で製品の品質を管理することなので、製造管理の一部と言えます。
ここからは、製造管理の仕事が必要とされる理由について、以下3つ解説します。
それでは、一つずつ見ていきましょう。
参考:国内製造業におけるDX導入とは?4つの課題と成功事例も紹介
理由の1つ目は、製造現場は製造業のコアであることです。
製造業において、製造現場はコアとなる部分です。そのため、生産管理は製造現場全体を管理するのに対し、製造管理は製造ラインという製造業のコアに特化して管理することになります。そのため、生産管理と製造管理の片方ができる人物は、残りもできるとは限りません。特に、大企業では細分化が進んでいるので、生産管理と製造管理が別々の部署になり、部門間の専属性が強まります。その点でも、製造現場を熟知して製造管理を行うことが重要なのです。
理由の2つ目は、製造工程の効率化です。
製造業は、常に効率化や自動化を追い求めてきました。産業革命や内燃機関の開発はもちろん、近年ではICT技術の活用も見逃せません。これらの技術は、現状を上回る生産性向上をもたらしてきました。しかし、そもそもの製造管理が十分機能していないと、いくら優れた技術があっても、それが製造工程(生産工程)の効率化に結びつかないのです。
理由の3つ目は、環境変化への対応です。
DXなどに伴う製造技術の発展に加えて、ニーズの多様化も無視できません。
IT技術の普及で、各消費者のニーズが多様化した上に、それをより正確に把握できるようになりました。その分、製造現場では多様なニーズに応える重要性が増大し、製造プロセスが複雑化しているのです。
また、少子高齢化と人口減少で、労働力確保も課題になってきました。海外からの労働者を受け入れる企業も、今や珍しくなくなってきました。
これらの環境の変化にスムーズに対応し、確実に製造を行っていく体制を作ることも、製造管理のポイントなのです。
製造管理はエクセルなどでも可能ですが、 ERPなどのシステムを活用する方法がおすすめです。ここからは、製造管理にシステムを活用するメリットについて、以下3つ解説します。
それでは、一つずつ見ていきましょう。
参考:製造業がIoT導入で得られるメリット・導入の課題・事例をまとめて解説
メリットの1つ目は、人手不足への対応です。
少子高齢化や人口減少に伴い、多くの産業で人手不足が課題になっています。製造業もその例外ではありません。経済産業省が公表した資料「令和3年度 ものづくり基盤技術の振興施策」では、2021年には「社会情勢の変化のうち、事業に影響があるもの」として、49.7%もの回答者が「人手不足」と回答していました。
しかし、製造管理システムを用いれば、作業実績を自動収取・分析し、習熟度に関係なく一定以上の作業品質確保を後押ししてくれます。また、熟練技術者のスキルを数量化・可視化することで、優れた技を形式知化して従業員の技能向上にも活用できるだけでなく、作業時間短縮にもつながります。
これらにより、人手不足に伴う悩みを解決してくれると期待されているのです。
メリットの2つ目は、大量のデータの活用です。
センサー技術や工作機械の発展により、製造現場ではこれまで以上に膨大なデータを得られるようになりました。しかし、情報の膨大化が進み、人間の手だけでは全てのデータを確認・収集して、実際に活用することが困難になってきました。そこで、製造管理システムを用いて、リアルタイムで大量のデータ処理を行い、製造プロセスを精度よく自動化することが求められているのです。
また、データを一元管理できるので、必要なデータを他部署やサプライチェーンと連携して相互に提供できることも、システム化のメリットと言えます。
メリットの3つ目は、多品種生産への対応です。
顧客のニーズが多様化し、少品種大量生産よりも多品種少量生産が必要な場面が増えつつあります。また、会社によっては自社オリジナル商品ではなく受注生産を強みにしているところもあります。しかしそれには、製造現場で緻密なオペレーションが必要です。それを実現するためには、製造管理システムで製造管理システムを自動制御し、マスカスタマイゼーションで生産性と多品種への対応を同時に行うことが有効なのです。
本記事では、製造管理の意味とその必要性などを解説した後、製造管理システムのメリットについて解説しました。
製造管理は、製造作業工程に特化して管理するもので、生産管理の一部に位置付けられます。反対に、品質管理は製造管理の一部に当たります。製造作業工程は、製造業のコアと呼べる部分で、製造工程効率化や環境変化への対応の面でも重要です。
また、近年は製造管理システムを用いることが増えてきました。人手不足やデータ活用、さらにはニーズの多様化の観点から、その重要性はますます増大するでしょう。
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