ガス溶接・ガス切断の特徴や加工手順、用途をご紹介!

ガス切断 | 2021年01月25日

「ガス溶接・ガス切断の仕組みが知りたい」「ガス溶接・ガス切断の特徴は?」「作業するのに資格は必要?」……このような疑問を持つ方は必見です。本記事では、ガス溶接・ガス切断の特徴や加工手順、作業に必要な資格などについて解説します。

ガス溶接・ガス切断は、その名前の通りガスを利用した加工方法です。ボンベに充填されたアセチレンなどのガスと酸素を混合し、燃焼させた炎を被加工材に当てて接合および溶断を行います。電気を使わずに加工できる点はメリットですが、その原理や仕組みの関係上、不向きな材料も存在します。

ガス溶接・ガス切断についての基礎知識を得たい方は、ぜひ参考にしてみてください。


参考:溶接とは?【専門家が解説】素人でも3分でわかります!

cta

ガス溶接は可燃性ガスによって起こした火を用いた加工

ガス溶接は、アセチレン・水素・LPGなどの可燃性ガスが燃焼する熱を利用して溶接する方法。一般的にアセチレンを採用している加工業者が多いです。

可燃性ガスは爆発や火災の危険性があります。そのため、ガス溶接は特定の国家資格がないと作業できません。

ガス溶接は、薄い板材に対しては、母材同士を溶かして接合する「なめ付け」が可能ですが、厚みのある板材に対しては溶加材を用いる「ろう付け」を行い接合します。

参考:ろう付けとは?代表的な種類や特徴、メリット・デメリットを解説

ガス溶接の特徴とメリット・デメリット

代表的な溶接方法に電気を使ったアーク溶接がありますが、ガス溶接はアーク溶接と比較すると火花が発生しないため接合箇所が見やすく、溶接のミスが抑えられる点はメリットです。

ガス溶接は電気を使用しないため、電気のない現場での溶接にも対応も可能。ガスの供給量の調節もしやすく、加熱し過ぎによる被加工材の割れの防止や、薄肉の板材や溶融点の低い金属の溶接に適しています。

ただし、ガス溶接は加熱に時間がかかるほか、溶接温度が低いため、作業時間が比較的長くなる傾向に。このことから厚みのある板材のなめ付け溶接は不向きです。また、熱を1点に集中して与えられず、不要な箇所まで加熱をしてしまうため、ひずみが発生しやすい点もデメリットとなります。

ガス溶接の原理や手順

引用元:日本キャタピラー

ガス溶接は、酸素とガスを燃焼させた炎で金属を熱し、溶融させて接合する仕組み。ガスや火を使った危険な作業のため、上図のようにヘルメット・溶接用保護面・革手袋・革前掛けなどを着用しましょう。そのほかに準備するものとしては、可燃性ガスボンベ・酸素ボンベ・圧力調整器・ホース・ガス溶接トーチ・専用ライターが必要です。

まずは、可燃性ガスボンベ・酸素ボンベおよびこれらに取り付けた圧力調整器・ホース・ガス溶接トーチに問題がないかを確認します。

問題がなければ、可燃性ガスボンベと酸素ボンベを開栓します。このとき、ガスの漏れが無いかも注意して見ておきましょう。

引用元:minsaku

次にガス溶接トーチのバルブを開き、炎の大きさを調節します。トーチにもガスと酸素のバルブの2種類がありますが、まず始めにガスのバルブを開きます。

引用元:モノタロウ

ガスのバルブを開いたあと、専用ライターを用いて着火。すると上図左のように赤色の炎が出てきます。ここから、「白心」と呼ばれる火口に形成される白色の炎が、米粒ほどの大きさになるまで酸素バルブを開きます。

ここから金属のガス溶接にかかります。溶接したい材料をセットし、接合部分の両端を溶接仮止めを行います。溶接は白心と材料が1~2mm程度離れた位置で炎を当てるようにしましょう。仮止めが終えたら、全体を溶接します。

ガス溶接が終えたら消火作業を行います。点火の手順とは逆で、溶接ガストーチは酸素→ガスの順にバルブを閉めます。次に、可燃性ガスボンベと酸素ボンベの栓を閉め、トーチの酸素を抜きます。

これらの作業手順については以下の動画も参考にしてみてください。

引用元:OPEN EV 沖縄県教育委員会 教育支援ビデオ


引用元:OPEN EV 沖縄県教育委員会 教育支援ビデオ

ガス溶接に必要な資格

ガス溶接の資格は、ガス溶接を行うすべての人に必要な「ガス溶接技能者」、ガス溶接作業者を指揮・管理をするために必要な「ガス溶接作業主任者」の2種類の国家資格があります。

●ガス溶接技能者

引用元:コベルコ教習所

ガス溶接技能者の資格を得るには、上の参考動画のように、職業訓練施設や建機メーカー教習所などで開催されている講習を受けなければなりません。講習は1日目は学科、2日目は実技と2日間にわたり行われます。

学科は大きく分けて3つの科目を受講。1つ目は、ガス溶接等の業務のために使用する設備の構造や取扱方法に関する知識を学びます。2つ目は、ガス溶接で用いる可燃性ガスと酸素に関する知識。3つ目は、関係法令(法律や規則など)の講習を受けます。

これらの講習は合計8時間ほどの時間を要し、そののちに講習で学んだ内容から出題される学科試験を受けなければなりません。

実技では学科のように試験はないものの、実際のガス溶接を想定した作業を行うため、危険が伴います。ここでは、機器の点検およびガスの調整方法などを、5時間ほどかけて学びます。

●ガス溶接作業主任者

ガス溶接作業主任者の資格を得るには、各地の安全衛生技術センターで行われる試験に合格する必要があります。こちらの試験には受験資格は設けられていませんが、試験合格後に免許を申請するのに、18歳以上かつガス溶接技能講習修了者で実務経験3年以上などを証明する書類が必要です。免許取得を検討される方は、必要な書類をきちんと確認した上で試験に望むようにしてください。

なお、試験科目については下記の通りです。

  • ・ガス溶接等の業務に関する知識

  • ・関係法令

  • ・アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置に関する知識

  • ・アセチレンその他可燃性ガス、カーバイド及び酸素に関する知識

条件によっては、一部の試験科目を免除される場合もあります。詳しくは安全衛生技術試験協会公式サイトをチェックしてみてください。


ガス溶接の用途

ガス溶接は、他の溶接方法と比べて溶接時の温度が低いため、溶融点の低い金属や薄肉のものに適した接合方法です。また、小型の手作業用ガス用トーチが普及しているため、狭い箇所の溶接にも適しています。



ガス切断はガスを用いて切断する加工

ガス切断とは、ガスを使った炎で加熱し、被加工材を切断する加工方法のことです。別名「酸素切断」とも呼ばれています。

使用する機材は、可燃性ガスボンベ・酸素ボンベ・圧力調整器・ホース・トーチ・専用ライターとガス溶接とほぼ同じですが、トーチに関してはガス切断専用のものを扱います。

ガス切断の特徴とメリット・デメリット

ガス切断は、数mmの薄板から数百mmの肉厚な鋼材の切断に対応しています。また、小さい規模の設備で加工を行えるため、導入費用が安く抑えられるのが特徴です。

しかし、ステンレスやアルミニウムなどはガス切断には不向きです。これは、ガス切断が、母材より融点の低い酸化物を形成する鋼材のみ対応可能なため。ステンレスやアルミニウムは、高い融点の酸化物を生じるので、ガス切断ではなく、プラズマ切断やレーザー切断が採用されています。


参考:プラズマ切断について専門家が解説!特徴やレーザー切断との比較もしています!


また、ガス切断は手作業になるので、作業者の技術力が問われます。被加工材の厚みによって火力や切断のスピードの調節が必要なほか、切断面にブレがないように加工するには、経験を要します。

ガス切断の原理と手順

ガスの炎で加熱された鋼材は、火口の中心から高速で酸素を供給し、酸化鉄となります。この酸化鉄は鋼より融点が低く、酸素の噴流で吹き飛ばすことで切断する仕組みです。

危険な作業のため、ガス切断を行う前の準備として、保護マスク・革手袋・革前掛け・安全靴などを着用しておきましょう。

安全な服装が準備できたら、可燃性ガスボンベと酸素ボンベに圧力調整器を取り付けたのち、ホースとガス切断用トーチも繋ぎます。繋ぎ終えたら可燃性ガスボンベと酸素ボンベを開栓します。このとき、ガス漏れがないかも点検しておきましょう。

引用元:一般社団法人日本溶接協会

ガス切断に使うトーチは、燃料ガスバルブ・予熱酸素バルブ・切断酸素バルブの計3つのバルブがあります。まずは燃料ガスバルブを開き、専用ライターを用いて点火します。次に予熱酸素バルブを開き、青い炎が1cmほどの大きさになるように調節します。

ここから被加工材に炎を当てて切断します。炎を当てている箇所が赤くなってきた段階で、トーチの切断酸素弁を開くと鋼材の切断が可能です。ここから、切断したい方向に火口を移動させましょう。切断が終わるたびに、切断酸素バルブは閉じるようにしてください。

消火から片付けに関しては、準備とはほぼ逆の手順で行います。可燃性ガスボンベ・酸素ボンベの栓を閉めるまで進めたら、圧力調整器のバルブとトーチの3つのバルブも開いて、ホース内にあるガスと酸素を完全に抜く作業も行う必要があります。

これらの作業手順は以下の動画も参考にしてみてください。

引用元:OPEN EV 沖縄県教育委員会 教育支援ビデオ


引用元:OPEN EV 沖縄県教育委員会 教育支援ビデオ

ガス切断は、切断する鋼材の厚みによって火力や切断のスピードを適宜調節しながら行うのが大切です。また、薄肉の鋼材を切断する際は、火力を弱くして素早く切断すると、上手く加工できます。

ガス切断のトーチは、加工する鋼材の厚みによって、1・2・3の火口番号の種類を使い分けます。厚みのある鋼材であるほど、火口番号が大きいものを使用します。小さい火口を使って無理に厚みのある板を切断しようとすると、切断面が荒れやすくなるので注意してください。

ガス切断に必要な資格

ガス切断をするのに必要な資格は、「ガス溶接技能者」です。また、ガス溶接・ガス切断の作業者を指揮や管理をするには「ガス溶接作業主任者」の資格が必要になります。これらは、ガス溶接と同じで、ガス切断との区別はありません。

詳しくは、前述の「ガス切断に必要な資格」の項で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

ガス切断の用途

ガス切断は、ステンレスやアルミニウムの加工には不向きですが、グラインダーなどでは手間のかかるような、厚みのある鋼材を切断する際に、多く利用されています。



まとめ

今回は、ガス溶接・ガス切断の特徴や加工手順について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

ガス溶接・ガス切断はともに、アセチレンなどの可燃性ガスを使った加工方法。火力の調節がしやすく、被加工材の厚みなどに合わせて、適切な溶接・加工ができる点が特徴です。また、電気を使わない加工方法のため、電気の供給ができない現場でも使えます。

しかし、ガス溶接・ガス切断を行うには「ガス溶接技能者」の資格が必要です。ガス溶接・ガス切断の作業を指揮・管理をする場合は「ガス溶接作業主任者」の資格も得なければなりません。

溶接についてお悩みの方は、ぜひMitsuriまでご相談ください。日本全国で250社以上の協力企業と提携しているので、お客様のご希望に沿う加工業者が見つかります。見積りは完全無料かつ、複数社から取得可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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Mitsuri編集部
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