溶接は代表的な金属加工の一つで、60種類以上の加工方法が存在するといわれています。また、自動車や鉄道、飛行機などの輸送機関や、スポーツ用品、建築鉄骨など私たちの身近なところでさまざまな製品に使用されている技術です。
本記事では、溶接とは何かという基本的な説明からはじめ、溶接の3つの種類「融接」「圧接」「ろう接」についてそれぞれ詳しく解説していきます。ぜひ、溶接への理解を深める参考にしてください。
溶接とは、読んで字のごとく「金属を溶かして接合すること」を指します。
金属は、加熱もしくは加圧することで融点に達し、溶けはじめます。その性質を利用し、「母材の接合部を、一部溶かした状態で冷却し固まらせることで、一つに接合する」というのが溶接の仕組みです。次の図を見ると、イメージしやすいかもしれません。
引用元:株式会社WELDTOOL
では、溶接にはどのような特徴があるのでしょうか。メリット・デメリットをまとめました。
溶接には、一般的に次のようなメリットがあるといわれています。
溶接のメリット①気密性に優れる②材料及び工数の削減ができ、コストダウンにつながる③短時間で簡単に接合ができる④作業時の騒音が少ない
このように優れた特徴を持つ反面、次のようなデメリットもあります。
溶接のデメリット①母材を高温で加熱する必要があるため、母材が変形収縮してひずみや残留応力が発生し、寸法精度の維持が難しい②材料によっては溶接した箇所がもろく、割れやすくなることがある
特に自動化されていない場合は、作業者の技量によって溶接部の強度に差が出やすく、また技量や施工管理を怠ると溶接欠陥が生じるリスクもあるため、信頼できる溶接メーカーを選定することも重要となります。
次に、溶接の種類について見ていきましょう。溶接は、「融接」、「圧接」、「ろう接」の3つに分類され、またそのそれぞれに細かく分けられた多くの溶接方法が存在します。次の表には、代表的な溶接方法について一部まとめたものをご紹介しております。
引用元:株式会社キーエンス
正しい溶接を行うためには、使用する母材の材質、製品に求められる品質や機能によって最も適切な溶接方法を選択することが重要となります。
それでは、3つに大別される溶接方法について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
融接とは、母材の接合部を加熱し溶かし冷却とともに凝固させ、上図のように接合する方法です。溶接の中では、最もポピュラーな方法といわれています。一般的に、板厚が厚く接合強度が必要な場合によく用いられます。今回は融接の中でも代表的なアーク溶接、ガス溶接、レーザ溶接についてご紹介していきます。
アークとは、放電現象の一種であり、高温で強い光を発するのが特徴で、電弧とも呼ばれます。アーク溶接では、溶接機を利用してアークを発生させ、その時に生じる超高温の熱(アーク熱)を利用して母材を溶融して接合させます。
また、アーク溶接には、溶融金属の酸化を防ぐためにガス(シールドガス)を用いる方法があります。中でも、シールドガスに二酸化炭素を使う溶接法を炭酸ガスアーク溶接といい、アーク溶接の中でも最も一般的な溶接法です。
炭酸ガスアーク溶接は、溶接スピードが速く作業効率が良いという長所を持ちます。また、日本では二酸化炭素が不活性ガスよりも比較的安く入手できることから、よく使用される溶接方法となっています。
ガス溶接とは、アセチレン、水素、LPGなどの可燃性ガスの燃焼熱を用いて金属を加熱し、溶接する方法です。ガス溶接は、容易にガスの制御ができるため、割れが発生しやすい薄板などの材質や、融点の低い金属の溶接に適している方法です。一方、アーク溶接と比較すると、局所的に熱を加えることが難しく、加熱の範囲や時間が大きくなってしまうため、溶接後の強度が低下することがあります。
レーザ溶接とは金属材料にレーザ光を照射し、局部的に金属を溶融させ、凝固させることによって接合する方法です。レーザ光を用いることで、接触していなくても溶接ができるため、狭小部分の溶接も可能です。
圧接とは接合部に対して熱を加えた後、さらに機械的な圧力を加えて接合する方法です。通常、薄板の溶接によく使用され、強度が必要な厚板の溶接には不向きです。圧接の中にも様々な溶接方法がありますが、中でも電気抵抗による発熱を利用して接合する、抵抗溶接が一般的といえます。
引用元:株式会社キーエンス
抵抗溶接は、上図に示したように金属の溶接材料に電極を押し当て、加圧しながら大電流(数十〜数万アンペア)を数ミリ〜数百ミリ秒間流すことで発生する、金属の抵抗発熱を用いて、溶融させ接合する方法です。なお、大きい電流を使用しますが、電圧は低いため感電するリスクなどはありません。この方法では、プロセスを自動化しやすく、スイッチを押すだけで溶接が可能となります。さらに短時間での溶接が可能なため、安価でかつ大量生産するのに適した溶接方法です。
ろう接とは、母材を溶融することなく、母材よりも融点の低いろう材(金属の溶加材)を溶融させ、接合面のすきまに充填させることによって接合する方法です。母材を溶かさないため、異なる材質を溶接することができます。一方、厚い材質の接合では強度が確保できないという欠点もあります。
ろう材には様々な金属が用いられますが、アルミ、銀、リン銅、黄銅など融点が450℃以上の硬ろうを用いる方法を、ろう付けといいます。一方、亜鉛、鉛、スズや、スズ鉛合金などの融点が450℃以下の軟ろうを用いる方法を、はんだ付けといいます。はんだは、広く知られており、また導電性が高いため主に電子回路に用いられていて、家電製品や、航空機、化学製品など幅広い分野で活用されています。
溶接はさまざまな加工法があるため、用途や材料にあった方法で行わなければなりません。
溶接についてお悩みの時には、ぜひMitsuriにご登録ください。
Mitsuriでどんな取引が行われている?
新しい機能を使ってどう新規取引につなげる
そんな疑問に毎月メールでお届けします