2025-02-28
更新
志民 直人
技術営業、カスタマーサクセス
切削加工歴29年の1級機械加工技能士(精密器具製作/フライス盤/数値制御フライス盤)。金型・部品加工経験を持ち、CAD・CAMや各種工作機械に精通。設計からカスタマーサービスまで幅広く対応。製造現場改善や治具設計も得意。趣味は日曜大工、ゲーム。
金属を切断する方法は多種多様にありますが、中でも幅広い厚みや大きさ、材質に対応できる方法として「プラズマ切断」が有名です。ガス切断など他の切断方法では切れない金属素材も加工でき、個人から中小企業までさまざまな場所で採用されています。
プラズマ切断が可能な機械によって加工できる素材や大きさが異なりますし、機械を操作する職人の技術によって仕上がりが左右されるため、プラズマ切断を業者に依頼する際には得意分野も含めて事前に確認する必要があるでしょう。
今回は、プラズマ切断の特徴や原理からメリット・デメリット、レーザー切断との違い、実際の加工事例までを網羅してご説明いたします。プラズマ切断について知識を深めたい方や、金属切断をプロに依頼したいと検討している方は最後まで読んでみてください。
プラズマ切断は、加工対象の金属と電極の間にプラズマアークを発生させ、そこに起こるプラズマ気流によって金属を切断する加工方法です。
電極から発せられるプラズマアーク周辺は2万℃前後と非常に高温となるため、冷却ノズルやジェット水流などを用いて冷却水をかけていきます。このとき、アークプラズマ自体は外部への熱損失を抑えるように緊縮するため、アークプラズマの温度と電流密度が上昇し、エネルギー密度が高くなります。その高エネルギー密度を利用して加工対象物を融解し、プラズマ気流によって融解部分を排除しながら切断していくのが、プラズマ切断の仕組みです。
プラズマアークが切断対象物まで伸びて作用する移行式と、アーク放電が電極内で完結し、プラズマ気流のみが加工対象物に届く非移行式とがあり、導電性が低い金属切断する場合には非移行式が用いられます。
プラズマ切断の特徴として、「通電する素材であればほぼ全て加工できる」という点が挙げられます。切断部を高温にし酸化させることで切断を可能にさせるガス切断などの方法では、めったに酸化しないステンレスなどの素材を加工することができません。しかし、プラズマ切断はプラズマ気流を利用して切断するため、ステンレスやアルミ、鉄などの加工に使えます。
また、高温プラズマを熱源として利用するため、切断が高速で行え、同時に切断面の変形や、融解による影響が少なく済むといった点も特徴です。
プラズマ切断とレーザー切断の比較
プラズマ切断とレーザー切断の2つを比較してみましょう。
プラズマ切断は、プラズマアークによるプラズマ気流を利用して切断する方法で、通電する金属であれば大半が加工できます。一方、レーザー切断は、レーザー発振器からのレーザー光をレンズで集光し、金属に照射して溶解させ、アシストガスによって吹き飛ばしながら切断します。
厚みのある金属を切断する場合はプラズマ切断、より精密な切断をするのであればレーザー切断といった基準で検討すると良いでしょう。
プラズマ切断は、レーザー切断では対応できないような厚みのある板や、大きなサイズの金属を切断するのにも適しています。金属切断の方法として古い歴史を持つガス切断に比べて容易かつ安全に切断できるため、安定した仕上がりが再現できます。
ガスが不要で消耗品が安く手に入るため、メンテナンスにもお金がかからず、ランニングコストを抑えられるメリットもあります。
プラズマ切断機は電源があればどこでも使用可能ですが、電源が近くに無い屋外では大型の発電機を利用するなどして、電源を安定供給しなければ使えないため、屋外での使用には適していない点がデメリットです。切断加工後の処理として、溶解部分から出るスラグを処理する必要がある点にも注意が必要です。
プラズマ切断の事例をご紹介します。以下は、プラズマ切断を使用した加工事例です。
プラズマ切断は、レーザー切断よりも高速かつ安全に加工が施せる切断方法で、ガス切断が行えないアルミやステンレスなどの素材に対する加工も可能です。
プラズマ切断用の機械の操作も比較的簡単なので、仕上がりが安定しやすいというメリットがありますが、業者ごとに得意とする金属の材質や大きさ、金属板の厚みなどの条件が異なるため、事前に問い合わせて確認すると良いでしょう。
プラズマ切断をご検討される場合は、Mitsuriまでご相談ください!
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