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自由鍛造とは?特徴、製品例、メリット・デメリット

鍛造加工 | 2022年01月14日

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今回は自由鍛造の特徴や製品例、メリット・デメリットについてご紹介します。

鍛造とは、金属を叩いて鍛えることから名付けられており、日本でも刀などの製造で古くから活用されている手法です。鍛造には、大きく分けて「自由鍛造」と「型鍛造」の2種類があります。自由鍛造は、金敷の上で金属材料をハンマーなどで叩いて成形する手法で、金属内部の結晶が整い、強い金属が得られます。

参考:【鍛造加工とは?】加工方法や種類、歴史について1から解説します!

参考:【鍛造と鋳造の違いとは?】工程や製品の比較でわかりやすく解説

参考:【第3回】鍛造加工で使用する機械・道具とは?昔ながらの工具から最新機械までご紹介!

自由鍛造とは?

自由鍛造とは、専用の金型を必要とせず、ハンマーやプレスで金属材料を叩いて成形することで、別名「フリー鍛造」とも呼ばれています。

自由鍛造は、熱間加工の一種で、金敷に金属材料をのせて、据込み・鍛伸・展伸・穴あけ・穴広げ・中空・背切り・せん断などの作業を行い、目的の製品へと成形します。

鍛造は、温度で見た場合、主に冷間鍛造・温間鍛造・熱間鍛造の3つに分類されます。

冷間鍛造は、熱を加えずに圧力だけで加工する手法です。精度に優れていますが、高い圧力が必要なほか、使用する工具や金型は高い剛性を必要とします。

温間鍛造は、材料を常温以上(一般的に300~800℃程度、1000℃まで拡大することも)に加熱して鍛造を行う手法です。冷間鍛造では成形が難しい製品の加工や、熱間鍛造よりも高い精度を得たい場合に採用されています。

熱間鍛造は、金属が再結晶する温度(約1200℃程度)に加熱してから鍛造を行う手法です。金属が柔らかくなった状態で加工を施すため、より自由な成形ができるメリットがあります。ただし、温間加工は冷えるときに収縮するため、後加工が必要です。自由鍛造では、主に熱間鍛造が採用されています。

自由鍛造の特徴と製品例

引用元:同和鍛造株式会社 大型・自由鍛造

自由鍛造は、リング・パイプ・円盤などのさまざまな形状に成形できます。自由鍛造で成形した製品は、内部欠陥がなく、優れた強度が得られるので、耐久性を要する部品に採用されていることが多くあります。

以下は、自由鍛造で作られている製品の一例です。

・金槌やペンチなどの工具類

・スプロケットなどの産業機械部品

・耕運機の爪などの農機具

・クランク軸などの自動車・船舶用部品

・包丁、フォーク、ナイフなどの台所用品

・指輪などの装飾品

自由鍛造のメリット・デメリット

メリット

  • ●金型を作るコストが発生しない。

型鍛造の場合は、専用の金型を用意する必要があります。しかし自由鍛造では、既存の汎用的な金型を用いて成形するため、専用金型を作るコストがかからないメリットがあります。

  • ●型鍛造では難しい大型の製品にも対応が可能。

自由鍛造は、専用の金型を必要としないことから、製造が難しい大型の製品も加工できます。

  • ●歩留まりがよく、材料費と機械加工にかかるコストを抑えられる。

自由鍛造では、完成品に近い形状に鍛造を行うため、歩留まりがよく、材料費を節約できます。また、機械加工にかかる時間や費用を削減できるのもポイントです。

  • ●金属の内部欠陥が発生せず、強度が向上する。

鍛造は、体積移動により材料が鍛錬され、製品形状に沿った鍛流線(メタルフローライン・ファイバーフローライン)が生まれます。鍛流線とは、金属材料を鍛造した際にみられる繊維状の金属組織の流れのことです。鍛流線が得られる鍛造品は、鋳造や削り出しで製造したものに比べて、機械的性質が高められ、強度が向上します。

デメリット

  • ●加工時間が長く、大量生産に不向き。

自由鍛造は、ハンマーなどで1点ごとに成形する手法のため、加工時間がかかります。そのため、専用の金型で成形する型鍛造に比べて大量生産には不向きです。自由鍛造は、主に大きな製品の鍛造や、多種類の製品を小ロットで作る場合に適しています。

  • ●複雑な形状の加工は難しい。

自由鍛造は、ハンマーなどで叩いて成形する手法のため、複雑かつ精度が求められる製品は難しい傾向にあります。複雑かつ精度の要求される製品を鍛造する場合は、型鍛造が適しています。

  • ●仕上がりが作業者の技術に左右されやすい。

自由鍛造は、型鍛造に比べて作業者の技術に左右されやすく、製品によっては希望する精度に満たない製品にできあがる可能性があります。そのため自由鍛造を依頼する場合は、技術力と実績のある業者に依頼するようにしましょう。

自由鍛造の手法

自由鍛造では、さまざまな作業を使い分けることで、目的の形状に成形していきます。ここでは、自由鍛造で行われている代表的な作業の手法についてご紹介します。

据込み

据込みは、平行平面型を用いて上から力を加えることで、素材の高さを圧縮し、材料を横方向に広げる手法です。別名で「すえ」や「圧縮」とも呼ばれています。据込みは、「アプセット鍛造」とも呼ばれており、ボルト・釘・ピンなどの頭を成形する際に採用されます。

鍛伸

鍛伸は、棒状の素材を回転させながら上下から加圧することで、断面積を縮小させて、長さを得る手法です。別名「伸ばし」とも呼ばれており、主に軸部品の成形に採用されます。

展伸

展伸は、幅が広い工具で材料を一方向から圧力をかけて、厚みを縮小し、伸ばす手法です。別名「延べ」とも呼ばれており、包丁やブロック部品の成形に採用されます。

穴広げ

穴広げは、リング状の素材を穴の内側と外側とで挟んで加圧することで、リングの厚みを薄くし、穴を広げる手法です。主にリング状の部品の成形や、指輪のサイズ調整に採用されます。

背切り

背切りは、工具や金型を用いて材料を圧延する方法を指します。背切りを繰り返すことで、薄板状に成形できます。

型鍛造との違い

鍛造は、専用金型を使用する「型鍛造(型打ち鍛造)」と、専用金型を使用しない「自由鍛造(フリー鍛造)」に大別されます。

型鍛造と自由鍛造は、どちらも完成した形状に近い製品が得られるので、歩留まりがよいこと、そのほかにも内部欠陥のない成形、機械的性質の向上といったメリットがあります。

<型鍛造と自由鍛造の比較表>


適したロット数

金型にかかるコスト

製品精度

型鍛造

多数

高価

自由鍛造

少数

安価

型鍛造と自由鍛造の違いについては上表の通りです。

型鍛造は専用金型による成形のため、ロット数の多い製品に適しています。また、自由鍛造に比べて安定した精度が得られるのも特徴です。ただし、専用金型を製作するのにコストがかかるので、小ロットの製作には適していません。

自由鍛造の場合は、成形に時間がかかるため、大ロットには適していませんが、金型の製作費にかかるコストを抑えられるメリットがあります。

参考:型鍛造とは?特徴、メリット・デメリット、製品例

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この記事を書いた人
株式会社Catallaxy

株式会社Catallaxyは "未来の製造業をつくる" をミッションに掲げ、製造業における従来のサプライチェーン/バリューチェーンの刷新を目指しています。記事内容に関するお問い合わせはこちらへ。

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