島尻 亮汰
Mitsuri PdM
製造業向け商取引プラットフォーム「Mitsuri」のプロダクトマネージャーとして、プロダクトの開発からマーケティングの戦略立案・実行に至るまでを包括的にマネジメントを行う。著書「SaaSで考えるPLG戦略」
金属加工や製品製造に欠かせない技術である「切削加工」と、その基盤となる「工作機械」。これらは高精度な製造を支える柱ですが、ただ機械を導入するだけでは十分な成果は得られません。
この記事では、切削加工の基礎と工作機械の特性を詳しく解説し、加工精度を最大化するためのポイントを探ります。
切削加工とは、切削工具を用いて金属や材料を削り取ることで形状を整える加工技術です。以下では、切削加工の代表的な種類と特徴を見ていきましょう。
旋盤加工は、加工物を回転させながらバイトと呼ばれる切削工具で削り取る技術です。丸い形状の部品作成を得意としており、シャフトや円筒形の製品に広く使用されています。
フライス加工では、回転する切削工具を用いて、平面や角状の加工を行います。特に「隅アール」と呼ばれる角部分の丸みが特徴で、鋭い角を作るには型彫り放電加工など他の加工法との組み合わせが必要です。
ボール盤を用いた穴あけ加工は、加工物に正確な穴を作るために欠かせない技術です。リーマ加工による滑らかな仕上げやねじ切り加工も可能で、多用途に活用されています。
工作機械は切削加工を実現するための土台であり、「マザーマシン」とも呼ばれます。以下では、工作機械の種類と、その特性について解説します。
マシニングセンタは、自動工具交換機能を備えたNC工作機械で、フライス加工や穴あけ加工など、複数の加工を1台でこなします。自動化により、効率的かつ高精度な加工を実現します。
通常の3軸加工(X・Y・Z)に加え、回転軸と傾斜軸を備えた5軸加工機は、複雑な形状の加工を可能にします。航空宇宙産業や医療機器の製造で欠かせない技術です。
高精度な加工を実現するためには、以下のような要因に配慮する必要があります。
工作機械の剛性が低い場合、加工中に振動や変形が生じ、精度が低下します。剛性には「静剛性」と「動剛性」があり、両方を理解し適切な設定を行うことが重要です。
切削加工時には摩擦により熱が発生し、加工物や機械部品が膨張することで精度が損なわれる場合があります。温度管理や冷却手法(例: 切削油の使用)で対策を行いましょう。
速度を上げすぎると摩擦抵抗や熱の発生が増加し、工具の寿命が短くなるリスクがあります。適切な速度と工具の選択が、高精度と効率のバランスを保つ鍵となります。
切削加工の精度を向上させるには、機械だけでなく現場の技術者の工夫も重要です。例えば、加工時の条件に応じた工具の選定や、工作機械の特性に合わせた微調整が不可欠です。
さらに、手仕上げ技術を学ぶことで、機械加工では難しい細部の仕上げを補完することができます。こうした人と機械の連携が、日本のものづくりを支えてきた秘訣と言えるでしょう。
高性能な工作機械を導入しても、それだけで高精度な加工は保証されません。
機械の特性を熟知し、加工条件や工具選定を最適化することが成功の鍵です。また、振動や熱、摩耗といった問題を設計段階から考慮することで、さらなる品質向上が期待できます。
切削加工の基本と工作機械の特性を理解し、現場での実践に役立ててください。技術の進化とともに、ものづくりの可能性はさらに広がっていくことでしょう。
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