溶接記号を知って、溶接指示を理解する!【5分でわかる】

知識 | 2019年10月24日

引用元:株式会社鳥谷溶接研究所

図面の溶接記号を確認、または溶接を指示したい場合、記号の読み方や書き方が分からないという人は多くいるでしょう。

溶接記号は、読み間違えてしまうと、必要なぶんの強度が得られなかったり、溶接部に応力が集中してしまったりと非常に危険です。溶接記号の見方は、製図者の指示通りに溶接するためにも非常に重要なスキルと言えます。

この記事では、溶接記号の基本的な見方だけでなく、代表的な溶接記号・補助記号についても解説します。

cta


溶接記号とは。溶接記号の基本形

引用元:pixabay

溶接記号とは、図面内で溶接の仕方を指示するための記号となります。溶接記号はJIS規格で定められており、記号を見るだけで開先の形状や各寸法、溶接の向きを知ることが可能です。溶接の仕方によって、接合したものの強度や部材同士の取り合いに影響が出るため、製品によっては細かく数値が指示されています。


引用元:産業用機械・装置カバー.com

溶接記号は上図のように【説明線】と【基本記号】で成り立っています。説明線は更に細かく分けると【矢】と【基線】で構成されており、矢は溶接の位置を示し、基線はそこから基本記号や寸法を書き加えることで詳細に指示することが可能です。さらに補足が必要な場合は、基線の末端に【尾】を付ける場合もあります。

基本記号は基線の下側に位置していると、矢の先の箇所を溶接しますが、記号が基線の上側に位置した場合は矢の示す反対側を溶接するということを覚えておきましょう。

参考記事

溶接記号だけでなく、溶接の基本的な種類の知識も抑えたい人は以下の記事を参照してみてください。

溶接の種類はこの記事だけでOK!3分でわかる金属加工で代表的溶接方法!



代表的な溶接記号一覧

引用元:日鉄ハードフェイシング株式会社

ここでは代表的な基本記号の一覧を紹介します。

基本記号とは、溶接部の開先の形状や、溶接の方法を指示する記号のことです。開先についても簡単に説明すると、開先は別名【グルーブ】とも呼ばれており、部材をつなぎ合わせる溝のことを指します。開先は母材同士をつなぎ合わせる溶接部の強度を確保するためにも重要な箇所です。

今回紹介する基本記号は、代表的な開先とすみ肉溶接の記号です。基本記号の見た目は、母材同士の合わせ目の開先形状と同じような形になっており、名称も断面形状に似たアルファベットやカタカナを用いているので比較的イメージは付きやすいと言えるでしょう。


引用元:機械製図

上図は突合わせ溶接の断面を表しており、左は実際の溶接の状態、右はその溶接を記号を使って指示した図になります。

開先を表す基本記号には、上図右のように数字が記載されているものがあります。基本記号の前に書いてある数字は開先の深さ、基本記号の上下に記載されている数字は、ルート間隔と開先の角度を示しています。これらは開先の形状が異なっていても、意味合いは同じです。

これから紹介する開先の基本記号は種類が豊富です。開先形状は適切なものを選ぶことで、溶接作業を楽にする、溶接の欠陥が起きにくくなる、溶着量が少なくて済むといったメリットがあります。ただし開先をとるには母材の加工が必要なので、溶接指示はそれらのメリットと加工の手間を考慮したうえで、開先形状を選定する必要があるでしょう。


I型開先

引用元:5Mhzで1Skip

平坦な断面同士の開先を【I型開先】と呼びます。形状、記号は上図の通り。


V型開先

引用元:5Mhzで1Skip

V字型の開先を【V型開先】と呼びます。形状、記号は上図の通り。


レ型開先

引用元:5Mhzで1Skip

カタカナの「レ」のような断面の開先を【レ型開先】と呼びます。形状、記号は上図の通り。


J型開先

引用元:5Mhzで1Skip

J型の断面形状をした開先を【J型開先】と呼びます。形状、記号は上図の通り。

レ型開先と形状は似ていますが、母材の片側はアールが付いていることから、開先の加工が難しいことが特徴です。


U型開先

引用元:5Mhzで1Skip

U字型の断面形状の開先を【U型開先】と呼びます。形状、記号は上図の通り。

こちらの断面は両側にアールが付いていることから、J型と同様に開先加工は難しいです。


すみ肉溶接

引用元:大商鋼材株式会社

上図のように鋼板同士をT字、もしくは平行に重ねたものをつなぎ合わせる溶接方法を【すみ肉溶接】と呼びます。

溶接記号は下図左のように三角の記号で表します。基線よりも下に基本記号がある場合は矢の示している箇所をすみ肉溶接し、逆に基線よりも上に基本記号がある場合は、矢の反対側をすみ肉溶接します。基本記号の前にある数値は、右下の図で分かるように溶接の脚の長さを示しています。


引用元:株式会社イプロス


また、すみ肉溶接には連続的に溶接するのではなく、下図上のような、【並列断続すみ肉溶接】と下図下の【千鳥断続すみ肉溶接】があります。(図の青色部分が溶接箇所として見てください)

上下の基本記号の表し方が横に互い違いになっていると千鳥状にすみ肉溶接しなければなりません。

また、基本記号の後ろの数値については下図上を例で説明すると、40が溶接の幅、(5)が溶接の数、100が溶接のピッチを表しています。矢の位置の反対側も同じ設定であるなら、数値の記述は省略しても構いません。

引用元:株式会社イプロス



補助記号

引用元:不二工業株式会社

補助記号は、基本記号にプラスして表示することで、溶接に必要な情報を追加したり、表面またはビードの仕上げ方について指示する記号です。

本記事では溶接記号と同様に、一部の補助記号についても紹介していきます。


裏波溶接

引用元:DIY的ライフ

裏波溶接の記号は、上図左の基線の上に記載されている黒の半円がそれにあたります。

裏波溶接は、突合わせ溶接のルート側がある面のスキマを完全に覆うようにビード(溶接時にできる帯状の盛り上がり)を出したい場合に用いられます。

使用例は上図の通りで、矢を示している側とは反対の面の指示になるので、裏波溶接の補助記号も基本記号の反対側に配置します。(上図はV型開先の裏波溶接を指示)

基本記号と同様に、裏波溶接記号の前に記載されている数字は、ビードの高さがどれだけ必要かを示しています。

裏波溶接をすることで、母材同士のスキマのない、完全溶込みが確実となった状態となり、強度的にも高い効果が期待できるほか、異物が混入することも防いでくれます。


裏当て

引用元:機械設計エンジニアの基礎知識

裏当ての表示は上図の通りです。

裏当てとは、裏当て金と呼ばれる材料を溶接する側とは反対の面に配置する溶接のこと。裏波溶接と同様に、裏当て金は、溶接する面とは反対の面に配置するので、裏当ての補助記号は基本記号の位置とは反対側に記入しましょう。

裏当て金は一方の面から溶接する際に、反対側へ溶け落ちを防ぐために使用し、母材と一緒に溶接します。


表面形状(平ら、凸、へこみ、止端仕上げ)

引用元:株式会社イプロス

表面形状の補助記号は上図を参照下さい。(上図の点線は基線を示しています)

これらの補助記号はビード(溶接時にできる帯状の盛り上がり)の表面をどのようにして仕上げるのかを指示するものになります。

「へこみ」、「凸」、「平ら」は、それぞれの名前の通りの形状に仕上げる意味を表しています。「止端仕上げ」については、母材の面とビードが交わるラインを仕上げるよう指示するものになります。



まとめ

今回の記事では、溶接記号の基本の見方や、代表的な溶接記号・補助記号について解説しましたがいかがでしょうか。

溶接記号は基本記号の意味だけでなく、基本記号と併せて記載されている数値も、開先深さや角度・ルートの間隔の寸法を指示するものになるので意味はしっかりと把握しておきましょう。矢の位置や基本記号の向きについても、溶接する箇所を示しているので読み間違えないように注意してください。

基本記号の名称は、アルファベットやカタカナの形がそのまま開先の断面形状を模したものになっているため、比較的覚えやすいでしょう。補助記号については、基本記号と組み合わせて使うことで、必要な情報を加えたり表面形状の仕上げ方を指示する記号になります。

この記事を参考にして溶接記号の基本を抑え、正しく溶接指示を理解できるようにしておきましょう。

もし、溶接の依頼を検討している場合は是非Mitsuriにご相談ください。日本全国で140社以上の協力企業があるため、お客様の要望にお応えできる企業が見つかるでしょう。お見積りは完全無料ですので気軽にご利用ください。

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この記事を書いた人
Mitsuri編集部
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Mitsuriは、お客様に寄り添い、製造プロセスに関わる課題をトータルに解決する「お客様の最適な生産活動を達成するコーディネーター」です。

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