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クランプとは?金属加工で使う種類と選び方|切削・溶接・治具向けを解説

公開:2023-10-03更新:2026-07-30読了目安:約7分
工作機械でワークを固定するステップクランプ

クランプとは、加工中にワークが動かないよう、挟む・押さえるなどの方法で固定する工具です。

金属加工では、切削、穴あけ、溶接、板金、組立、検査など、さまざまな工程で使用されます。

クランプが緩んだり、取り付け位置が不適切だったりすると、加工精度の低下やワークの飛び出しにつながるため、作業内容に合った種類を選ぶことが重要です。

クランプとは

金属加工で使われるクランプには、手作業で部品を仮固定するものと、工作機械や専用治具に取り付けてワークを固定するものがあります。

切削加工用のクランプは、ワークを工作機械のテーブルや治具へ確実に固定し、切削抵抗による移動や浮き上がりを防ぎます。加工治具には、汎用的なものから特定のワーク専用に設計されたものまであります。

溶接では、部材の位置や角度を保ちながら仮付けするために使われます。用途によって、必要な締付力、口開き、操作性、耐久性が異なります。

金属加工で使うクランプの種類

C型クランプ

ロブテックスのC型シャコ万力 強力タイプ C75
引用元:株式会社ロブテックス C型シャコ万力 強力タイプ C

C型クランプは、アルファベットのCに似た形状のクランプです。シャコ万力やG型クランプとも呼ばれます。

ねじを締め込むことで強く固定でき、溶接時の仮止め、部品の組立、穴あけ、手仕上げなどに使われます。

構造が簡単で強い締付力を得やすい一方、口開きの調整に時間がかかり、奥行きのあるワークには届かない場合があります。

F型クランプ

TRUSCOのF型クランプ深型 D22T20J
引用元:オレンジブック.Com TRUSCO F型クランプ深型シリーズ

F型クランプは、長いバーに可動式の口金を備えたクランプです。

可動口金をワークの厚みに合わせてスライドできるため、C型クランプより口開きを素早く調整できます。

溶接構造物や比較的大きな部品の仮固定に便利ですが、製品によって締付力が異なるため、強い力が必要な作業では仕様を確認しましょう。

ロッキングプライヤー

ロッキングプライヤーは、ハンドルを握ると口金が固定される工具です。バイスグリップとも呼ばれます。

片手で素早く着脱でき、板金部品の仮止め、溶接、部品の保持などに適しています。

通常の口金に加えて、板材用、パイプ用、溶接用など、対象物に合わせた形状があります。

締付位置が狭い場合に便利ですが、接触面積が小さい製品では、ワークに傷やへこみが生じることがあります。

トグルクランプ

横型トグルクランプ
引用元:イマオコーポレーション 横型トグルクランプ

トグルクランプは、リンク機構を利用し、ハンドル操作でワークを素早く固定するクランプです。

治具に取り付けて使用することが多く、溶接、組立、検査、穴あけなどの繰り返し作業に向いています。

毎回ねじを回す必要がなく、同じ位置で固定しやすいため、作業時間の短縮と品質の安定につながります。溶接治具や計測治具などにも使用されています。

押さえる方向やハンドルの向きによって、立型、横型、押引型などがあります。

ステップクランプ

株式会社ナベヤのステップクランプ
引用元:株式会社ナベヤ ステップクランプ

ステップクランプは、フライス盤やマシニングセンタのテーブルにワークを固定するためのクランプです。

クランプ本体、ステップブロック、スタッドボルト、Tスロットナットなどを組み合わせて使用します。高さを段階的に調整でき、さまざまな大きさのワークに対応できます。

汎用性が高く、大型部品やバイスで挟みにくい形状の固定に適しています。

一方、クランプ本体が工具の動線に入りやすいため、加工範囲との干渉を確認する必要があります。

ストラップクランプ

ストラップクランプの構成とワーク着脱時のスライド方法
引用元:イマオコーポレーション ストラップ

ストラップクランプは、板状のクランプ部品でワークを上から押さえるタイプです。

切削加工用治具の基本的なクランプで、穴加工や側面加工などに使われます。クランプする位置や高さに合わせて、ボルトや支持部品と組み合わせます。

押さえる位置がワークの端に近すぎると、変形や浮き上がりが発生する場合があります。

クランプの先端をワーク側に向かってわずかに下げ、ワークを治具の基準面へ押し付けるように設置することが重要です。

スイングクランプ

イマオコーポレーションのスイングクランプと使用方法
引用元:イマオコーポレーション スイングクランプ

スイングクランプは、クランプアームが旋回しながらワークの上へ移動し、下方向へ押さえるタイプです。

アンクランプ時にはアームが加工範囲から退避するため、ワークの着脱がしやすく、工具との干渉も抑えられます。

マシニング加工のワーク固定に使用でき、繰り返し作業や自動化治具にも向いています。

手動式のほか、油圧式や空圧式もあります。

クサビクランプ

クサビクランプは、クサビの作用を利用し、横方向からワークを固定するクランプです。

本体が低くコンパクトなため、ワーク上面を広く加工でき、工具との干渉を減らしやすい点が特徴です。

マシニング加工のワーク固定に使用され、複数個のワークを並べる多数個取り治具にも適しています。

製品によっては、横から押す力と同時に、ワークを基準面へ引き下げる機能があります。

参考:株式会社ナベヤ クサビクランプセット

溶接作業で使うクランプ

溶接では、部材の位置や角度を保ち、仮付け中のずれを防ぐためにクランプを使います。

平板や形鋼の固定にはC型・F型クランプ、素早い仮止めにはロッキングプライヤー、繰り返し作業にはトグルクランプが便利です。

ただし、締め付ければ必ず溶接変形を防げるわけではありません。

溶接順序、入熱、仮付け位置も考慮し、必要に応じて拘束用の治具や補強材を使用します。

クランプを溶接部の近くに設置する場合は、スパッタや熱による損傷にも注意しましょう。

切削加工で使うクランプ

フライス盤やマシニングセンタでは、切削抵抗を受けてもワークが動かないよう、十分な保持力が必要です。

大型部品や不定形のワークにはステップクランプ、小型部品の多数個取りにはクサビクランプ、着脱性を重視する場合はスイングクランプなどが使われます。

クランプは、単に強く締め付けるだけでは不十分です。

切削力を受ける方向にストッパーを設け、ワークを基準面へ確実に押し付けることで、クランプへ過度な負担が集中するのを防げます。

クランプの選び方

クランプを選ぶ際は、ワークの大きさと形状、作業内容、必要な締付力を確認します。

溶接や組立の仮固定では、着脱のしやすさが重要です。切削加工では、締付力に加えて、剛性、繰り返し精度、工具との干渉を確認します。

繰り返し作業が多い場合は、トグルクランプやスイングクランプなど、短時間で着脱できるタイプが有効です。

薄板、アルミ、仕上げ面のある部品では、締め付けによる変形や傷にも注意しましょう。必要に応じて、保護口金や当て板を使用します。

クランプとバイスの違い

クランプは、ワークと作業台、または複数の部材を一時的に固定する工具の総称です。

バイスは、固定口金と可動口金の間にワークを挟む固定工具で、通常は作業台や工作機械のテーブルに本体を取り付けて使用します。

クランプは取り付け位置の自由度が高く、不定形ワークや大型部品にも対応しやすい点が特徴です。

バイスについては、関連記事「バイス(万力)とは?種類と選び方|マシンバイス・5軸用センタリングバイスも解説」もあわせてご覧ください。

クランプを使用するときの注意点

使用前には、クランプ本体、ねじ、口金に変形や摩耗がないか確認します。

ワークとクランプの接触面に切粉や異物があると、傾きや傷の原因になります。取り付け前に清掃し、ワークが基準面へ正しく当たっているか確認しましょう。

締付力が不足するとワークが動きますが、締めすぎると薄物や軟らかい材料が変形します。

また、加工中に工具や主軸がクランプへ接触しないよう、工具経路と高さを事前に確認することも重要です。

まとめ

クランプは、切削、溶接、板金、組立などでワークを固定するための工具です。

手作業ではC型・F型クランプやロッキングプライヤー、繰り返し作業ではトグルクランプが使われます。

フライス盤やマシニングセンタでは、ステップクランプ、ストラップクランプ、スイングクランプ、クサビクランプなどを、ワーク形状や加工範囲に合わせて使い分けます。

選定時は、締付力だけでなく、ワークの変形、工具との干渉、着脱性、繰り返し精度を確認し、安全かつ確実に固定できるクランプを選びましょう。

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