SUS317L(ステンレス鋼)比重、用途、成分

SUS317Lは耐粒界腐食性に優れた材料です。SUS317Lは、JIS規格である【JIS G 4303:ステンレス鋼棒】や【JIS G 4308:ステンレス鋼線材】などに規定されている、オーステナイト系ステンレス鋼の一種です。オーステナイト系ステンレス鋼は、一般的に高温になると強度が上がり、低温でも脆くなりにくい性質を持ちます。

SUS317よりも炭素(C)の含有量が少ない極低炭素鋼で、耐粒界腐食性に優れています。

参考:SUS317(ステンレス鋼)用途、成分、機械的性質

SUS317Lの用途

SUS317Lは、耐酸性が必要な化学工業設備に用いられます。

材質の末尾にLがついたステンレス鋼は、Lグレードと呼ばれています。Lグレードのステンレス鋼は、クロム(Cr)と炭素(C)が結合することにより耐食性が損なわれる「鋭敏化」が起こりにくい材料です。

鋭敏化は、ステンレス鋼を550~900℃程度まで加熱した際に発生しやすく、「粒界腐食」と呼ばれる局部的な腐食を誘発してしまいます。そのため、溶接や熱処理、高温での使用の際は注意が必要です。下の画像は、溶接熱によって生じた粒界腐食を表しています。

引用元:ステンレス協会

粒界腐食を防ぐには、炭素量が少ないステンレス鋼を使うのが効果的です。そのため、炭素量が0.03%以下であるSUS317Lは、粒界腐食を防ぐのに適しています。

またSUS317Lは、モリブデン(Mo)を含有しており、サビを防ぐ不働態皮膜が破れても、修復を助ける機能を有しています。これによりSUS317Lは、モリブデンを含有していないSUS304よりも、耐食性は良好です。

SUS317Lの化学成分、組成

<SUSの化学成分(単位:%)>

種類の記号 C Si Mn P S Ni Cr Mo Cu N その他
SUS317L 0.030以下 1.00以下 2.00以下 0.045以下 0.030以下 11.00~15.00 18.00~20.00 3.00~4.00 - - -
SUS317 0.08以下 1.00以下 2.00以下 0.045以下 0.030以下 11.00~15.00 18.00~20.00 3.00~4.00 - - -
SUS304 0.08以下 1.00以下 2.00以下 0.045以下 0.030以下 8.00~10.50 18.00~20.00 - - - -

引用元:JIS G 4303:2012

上表は、【JIS G 4303:ステンレス鋼棒】に記述されている、SUS317Lをはじめとした化学成分の値です。比較のために、似た材料であるSUS317と、市場で多く出回っているSUS304の値も抜粋しています。

SUS317Lは、SUS317・SUS304と比べて炭素(C)が少ないのが特徴です。これにより、耐粒界腐食性を向上しています。また、モリブデン(Mo)を含有しているため、不働態皮膜が破壊されやすい環境でも、耐食性を保つ特徴があります。

SUS317Lの機械的性質

<SUSの機械的性質>

記号 耐力Mpa (N/mm2) 引張強さMpa (N/mm2) 伸び 絞り 硬さ
HBW HRBS又はHRBW HV
SUS317L 175以上 480以上 40以上 60以上 187以下 90以下 200以下
SUS317 205以上 520以上 40以上 60以上 187以下 90以下 200以下
SUS304 205以上 520以上 40以上 60以上 187以下 90以下 200以下

引用元:JIS G 4303:2012

【JIS G 4303:ステンレス鋼棒】から内容を抜粋しました。

SUS317Lは、SUS317・SUS304と比べて耐力と引張強さに劣ります。なお、SUS317Lの比重は、7.93の値となります。

SUS317Lの加工性

SUS317Lは、SUS304などと比べて炭素量が少ないため、溶接性に優れています。ただし、ニッケルやモリブデンを多く含んでいる分、被削性には劣ります。

 

「SUS317Lを使用した金属部品の調達に困っている」

「SUS317Lの加工が自社でできなくて困っている」

そのような方に向けてMitsuriでは、見積から発注までWEB上で行えるサービスを提供しております。お手持ちの図面を登録すると、加工可能な工場から見積が届きます。
ステンレス部品の調達でお困りの方は下のボタンから図面をご登録ください。

メルマガ購読

      Mitsuriでどんな取引が行われている?
      新しい機能を使ってどう新規取引につなげる?
      そんな疑問にお答えします!
カテゴリ一覧