染谷 ひとみ
Mitsuri Media管理人
精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。
SUS304は、ステンレス鋼の代表的な材料で、市場に多く出回っており、私たちの日常でもよく目にします。耐食性・耐熱性・強度などに優れているのが特徴のため、日常生活に限らず、幅広い業界で採用されています。
一方、SUS304LはLグレードと呼ばれるステンレス鋼で、SUS304よりも炭素の成分を減らすことで鋭敏化の発生を抑え、耐粒界腐食性を向上した材料です。鋭敏化とは、ステンレス鋼が550~900℃程度加熱された際に炭素とクロムが結合し、耐食性を低下させてしまう現象のことを指します。
SUS304Lは、鋭敏化を避けられるメリットがありますが、ステンレス鋼の選定において、一概にSUS304Lを選べばいいという訳ではありません。本記事では、SUS304とSUS304Lの価格と強度の違いを見てみましょう。
参考:SUS304とSUS430の意味とは? 使い分けや特徴も分かりやすく解説!
参考:SUS304L(ステンレス鋼)成分、比重、切削性、機械的性質
以下は、金属材料を取り扱う通販サイト【E-metals】のSUS304とSUS304Lの丸棒の価格を一部表にしたものです。
<SUS304およびSUS304Lの丸棒(酸洗)の参考価格表>
参照元:E-Metals(上表は2021年1月時点での価格)
SUS304Lは、SUS304と比べて数%~1割程度、価格の高い材料であることがわかります。上表の【丸棒(酸洗)】の製品に限らず、一般的にSUS304Lのほうが高価な材料です。
また、SUS304Lは、SUS304よりも流通量が少ないため、納期に時間を要する場合もあります。
これらのことから、コストや使用条件などを考慮して、SUS304とSUS304Lを使い分けなければなりません。
例えば、溶接加工を必要とする部材や酸化性のある環境などは、鋭敏化の恐れがあるので、SUS304Lを採用する。逆に鋭敏化の心配がない部材や環境においては、コスト削減のためにSUS304を採用するなど、使用環境によって適切な材料を選ぶようにしましょう。
<SUSの固溶化熱処理状態の機械的性質>
引用元:JIS G 4303:2012
上表は、【ステンレス鋼棒 JIS G 4303】から抜粋したものです。SUS304とSUS304Lの機械的性質の数値を見てみると、硬さは同じ値になりますが、耐力・引張強さにおいては、SUS304のほうがわずかに高い値を示しています。
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