— シェアする —
facebookTwitterlink

SUS304L(ステンレス鋼)成分、比重、切削性、機械的性質

オーステナイト系ステンレス | 2021年04月22日

facebookTwitterlink

SUS304Lは、【ステンレス鋼棒 JIS G 4303】などに規定されている、オーステナイト系ステンレス鋼の一種です。SUS304から炭素の含有量を減らした低炭素鋼で、耐粒界腐食性に優れています。

材質記号に「L」が付いたステンレス鋼は、Lグレードと呼ばれており、およそ550~900℃の程度の温度に加熱すると腐食しやすくなる「鋭敏化」のリスクを軽減できます。鋭敏化による腐食を「粒界腐食」と呼びますが、SUS304Lは粒界腐食に強い材料として活用されています。

SUS304Lの主な用途は、化学工業・製紙工業・石油精製です。SUS304Lの比重は7.93です。相当材として、ISO規格のX2CrNi18-9、EN規格の1.4307、AISI規格の304Lなどがあります。

SUS304Lの化学成分

  • SUSの化学成分(単位:%)

種類の記号

C

Si

Mn

P

S

Ni

Cr

Mo

Cu

N

その他

SUS304L

0.030

以下

1.00

以下

2.00

以下

0.045

以下

0.030

以下

9.00~13.00

18.00~

20.00

-

-

-

-

SUS304

0.08以下

1.00以下

2.00以下

0.045以下

0.030以下

8.00~10.50

18.00~20.00





引用元:JIS G 4303:2012

上表は、【ステンレス鋼棒 JIS G 4303】から抜粋したものです。比較のためにSUS304の数値も記述しています。

SUS304は、一般的に0.06%程度の炭素(C)を含有しています。一方で、SUS304Lは炭素量が0.030%以下と少ないのが見て分かります。

炭素量が少ないことで、ステンレス鋼が550~900℃程度加熱された際に発生する、炭素とクロムの結合(鋭敏化)を防止します。鋭敏化は650℃前後で発生しやすく、溶接の際に注意する必要がありますが、SUS304Lであれば、鋭敏化による腐食を避けて溶接できます。

SUS304Lの機械的性質

  • <SUS304Lの固溶化熱処理状態の機械的性質>

種類の記号

耐力

Mpa

(N/mm2)

引張強さ

Mpa

(N/mm2)

伸び

絞り

硬さ

HBW

HRBS

又は

HRBW

HV

SUS304L

175以上

480以上

40以上

60以上

187以下

90以下

200以下

引用元:JIS G 4303:2012

SUS304Lの加工性、切削性

SUS304Lは、溶接性に優れているほか、深絞りや曲げ加工などの冷間加工性も良好です。

一般的にオーステナイト系ステンレス鋼は、鋭敏化を避けるために、溶接後に固溶化熱処理を行います。しかし、SUS304Lのような低炭素オーステナイト系ステンレス鋼は、炭素量が少ないことから、固溶化熱処理なしでも、サビの原因となるクロム炭化物の生成を防止し、溶接後も耐食性が十分に保持できます。また、焼きなましに関しては、応力の負荷が大きくかかる環境でのみ行われます。

切削に関しては、SUS304と同じく熱伝導率が乏しいことから困難です。

通常、切削加工を行うと、工具のチップに発生する熱はワークなどに分散します。しかし、SUS304Lは熱伝導率に乏しいので、チップに熱がたまり、工具の破損を引き起こしやすい傾向にあります。

加工熱の対策は加工業者によって異なり、仕上がりにも違いが出てきます。そのため、もしSUS304Lの切削加工を依頼する場合は、ステンレス加工を得意とする業者を選ぶようにしましょう。

facebookTwitterlink
この記事を書いた人
Mitsuri編集部
Mitsuri編集部

Mitsuriは、お客様に寄り添い、製造プロセスに関わる課題をトータルに解決する「お客様の最適な生産活動を達成するコーディネーター」です。記事内容に関するお問い合わせはこちらへ。

facebook followtwitter follow
おすすめ記事
SUS304とSUS430の意味とは? 使い分けや特徴も分かりやすく解説!

SUS304とSUS430の意味とは? 使い分けや特徴も分かりやすく解説!

2019年02月01日
溶接記号の一覧【基礎講座】溶接指示を徹底理解!種類と書き方をマスターしよう

溶接記号の一覧【基礎講座】溶接指示を徹底理解!種類と書き方をマスターしよう

2021年02月22日
SS400とS45Cの違いを徹底解説【専門家が語る】製品による使い分け

SS400とS45Cの違いを徹底解説【専門家が語る】製品による使い分け

2019年07月29日
関連記事
  • オーステナイト系ステンレス鋼の基礎知識まとめ
    • オーステナイト系ステンレス
    オーステナイト系ステンレス鋼の基礎知識まとめ
    2021年02月22日
  • SUS304N2(ステンレス鋼)切削性、機械的性質、成分
    • SUS304N2
    • オーステナイト系ステンレス
    SUS304N2(ステンレス鋼)切削性、機械的性質、成分
    2021年01月27日
  • SUS304とSUS304Lの違いと使い分け
    • SUS304
    • SUS304L
    SUS304とSUS304Lの違いと使い分け
    2021年01月29日
人気記事ランキング