SUS202(ステンレス鋼)成分、硬度、比重、用途

オーステナイト系ステンレス | 2021年01月19日

SUS202は、SUS302の代替品を目的として作られた、オーステナイト系のステンレス鋼です。JIS規格では【JIS G 4303 ステンレス鋼棒】に規定されています。

SUS202は、ステンレス鋼板・鋼帯・形鋼には規定されておらず、SUS300系の材料に比べて、用途が限られた材料です。そのため、見かけたり聞いたりすることが少ない材料かと思われます。

そこで今回は、市場に多く出回っているSUS304や、SUS302と比較しながら、SUS202の用途や特性、化学成分、機械的特性などについて解説します。

SUS202について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

参考:【SUS(ステンレス)種類と見分け方】用途・特徴を専門家が徹底解説!

cta

SUS202の用途と特性

引用元:Amazon

SUS202は、オーステナイト系のステンレス鋼の一種で、SUS302ステンレス鋼の代替品を目的として開発された材料です。JIS規格では、ステンレス鋼板・鋼帯・形鋼には該当せず、【JIS G 4303 ステンレス鋼棒】にのみ規定されています。

一般的によく使われている、オーステナイト系ステンレス鋼のSUS304と比べて、ニッケルNiの含有量を抑えており、代わりにマンガンMnと窒素Nを添加しています。

SUS202は、SUS302の代替品目的の材料であるものの、耐食性に劣るほか、加工硬化が起こりやすい特徴を持ちます。

参考:加工硬化とはどんな現象?仕組み・影響・扱い方をご紹介!

用途としては、調理器具に使われています。高価であるニッケルの含有量を抑えている分、価格もSUS304と比べて安く設定されていることが多いです。


相当材

SUS202の相当材は下記の通りです。

・アメリカ UNS規格:S20200

・欧州規格 EN:1.4373

・中国規格 GB:S35450

・国際規格 ISO:X12CrMnNiN18-9-5

引用元:ステンレス協会

相当材とは、「同等品」である材料のことを表します。例を挙げると、材料の指示に「SUS202相当材」との記述があった場合、相当材である上記の材料を代用しても問題ありません。



SUS202の化学成分

  • <SUSの化学成分(単位:%)>

種類の記号

C

Si

Mn

P

S

Ni

Cr

Mo

Cu

N

その他

SUS202

0.15

以下

1.00

以下

7.50~

10.00

0.060

以下

0.030

以下

4.00~

6.00

17.00~

19.00

-

-

0.25以下

-

SUS302

0.15以下

1.00以下

2.00

以下

0.045以下

0.030以下

8.00~

10.00

17.00~

19.00

-

-

-

-

SUS304

0.08

以下

1.00

以下

2.00

以下

0.045

以下

0.030

以下

8.00~

10.50

18.00~

20.00

-

-

-

-

引用元:JIS G 4303:2012

上表は、SUS202・SUS302・SUS304の化学成分を表しています。SUS202は、他の材料と比べてニッケルNiの含有量が少なく、その分マンガンMnと窒素Nを含んでいることが分かります。

ニッケルはステンレス鋼において重要な成分で、クロムCrと併存することで、耐食性の向上が期待できます。SUS202は、ニッケルの含有量が少ないため、SUS302・SUS304と比べて耐食性に劣ります。



SUS202の比重

  • <SUSの比重(基本質量)>

種類の記号

比重(基本質量)

SUS202

7.93

SUS302

7.93

SUS304

7.93

引用元:JIS G 4303:2012

ステンレス鋼は、材質によって比重が異なりますが、今回ご紹介しているSUS202と、比較対象であるSUS302およびSUS304に違いはありません。



SUS202の機械的特性(硬度、引張強さ、耐力、伸び)

  • <SUSの機械的性質>

種類の記号

耐力

Mpa

(N/mm2)

引張強さ

Mpa

(N/mm2)

伸び

絞り

硬さ

HBW

HRBS又はHRBW

HV

SUS202

275以上

520以上

40以上

45以上

207以下

95以下

218以下

SUS302

205以上

520以上

40以上

60以上

187以下

90以下

200以下

SUS304

205以上

520以上

40以上

60以上

187以下

90以下

200以下

引用元:JIS G 4303:2012

機械的性質については、SUS302・SUS304と比べると、SUS202の耐力と硬さの数値が高いことが分かります。このことから、SUS202は、高強度かつ耐摩耗性に優れていますが、その分、加工性は低下。冷間加工の際には大きな力を必要とします。



SUS202の物理的性質(ヤング率など)

  • <SUSの物理的性質>

種類の記号

密度

g/cm3

ヤング率

GPa

熱伝導率

W/(m・℃)

電気抵抗率

10⁻⁸Ω・m


比熱

J/Kg・℃


弾性係数

103N/mm2

線膨張係数

10-6/℃

SUS202

7.93

NA

100℃:16.3

69

0~100℃:

503

197

0~100℃:17.0

0~315℃:18.4

SUS302

8.03

193

16

72

503

縦弾性係数:193

横弾性係数:86.2

0~100℃:17.2

0~315℃:17.8

0~538℃:18.4

0~648℃:18.8

SUS304

7.93

193

100℃:

16.3~25.1

500℃:

21.3~28.9

72~74

460~502

167~193

25~100℃:16.3~17.3

25~300℃:17.8

25~500℃:18~18.4

25~700℃:18.4~18.9

引用元:ステンレス鋼(SUS)専門情報サイト susjis.info

SUS202の物理的性質については、SUS302・SUS304と比べて大きな違いはありません。



SUS202の磁性


引用元:東洋磁気工業株式会社

SUS202は非磁性のステンレス鋼のため、基本的に磁石につくことはありません。しかし、曲げなどの加工を行った箇所に関しては、材料の結晶構造に変化が生じ、僅かに磁性を持つことも。これらは、SUS302・SUS304も同様の特徴を持っています。

cta

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