2023-11-13
更新
SUS202は、SUS302の代替品を目的として作られた、オーステナイト系のステンレス鋼です。JIS規格では【JIS G 4303 ステンレス鋼棒】に規定されています。
SUS202は、ステンレス鋼板・鋼帯・形鋼には規定されておらず、SUS300系の材料に比べて、用途が限られた材料です。そのため、見かけたり聞いたりすることが少ない材料かと思われます。
そこで今回は、市場に多く出回っているSUS304や、SUS302と比較しながら、SUS202の用途や特性、化学成分、機械的特性などについて解説します。
SUS202は、オーステナイト系のステンレス鋼の一種で、SUS302ステンレス鋼の代替品を目的として開発された材料です。JIS規格では、ステンレス鋼板・鋼帯・形鋼には該当せず、【JIS G 4303 ステンレス鋼棒】にのみ規定されています。
一般的によく使われている、オーステナイト系ステンレス鋼のSUS304と比べて、ニッケルNiの含有量を抑えており、代わりにマンガンMnと窒素Nを添加しています。
SUS202は、SUS302の代替品目的の材料であるものの、耐食性に劣るほか、加工硬化が起こりやすい特徴を持ちます。
参考:加工硬化とはどんな現象?仕組み・影響・扱い方をご紹介!
用途としては、調理器具に使われています。高価であるニッケルの含有量を抑えている分、価格もSUS304と比べて安く設定されていることが多いです。
SUS202の相当材は下記の通りです。
・アメリカ UNS規格:S20200
・欧州規格 EN:1.4373
・中国規格 GB:S35450
・国際規格 ISO:X12CrMnNiN18-9-5
相当材とは、「同等品」である材料のことを表します。例を挙げると、材料の指示に「SUS202相当材」との記述があった場合、相当材である上記の材料を代用しても問題ありません。
<SUSの化学成分(単位:%)>
引用元:JIS G 4303:2012
上表は、SUS202・SUS302・SUS304の化学成分を表しています。SUS202は、他の材料と比べてニッケルNiの含有量が少なく、その分マンガンMnと窒素Nを含んでいることが分かります。
ニッケルはステンレス鋼において重要な成分で、クロムCrと併存することで、耐食性の向上が期待できます。SUS202は、ニッケルの含有量が少ないため、SUS302・SUS304と比べて耐食性に劣ります。
<SUSの比重(基本質量)>
引用元:JIS G 4303:2012
ステンレス鋼は、材質によって比重が異なりますが、今回ご紹介しているSUS202と、比較対象であるSUS302およびSUS304に違いはありません。
<SUSの機械的性質>
引用元:JIS G 4303:2012
機械的性質については、SUS302・SUS304と比べると、SUS202の耐力と硬さの数値が高いことが分かります。このことから、SUS202は、高強度かつ耐摩耗性に優れていますが、その分、加工性は低下。冷間加工の際には大きな力を必要とします。
<SUSの物理的性質>
SUS202の物理的性質については、SUS302・SUS304と比べて大きな違いはありません。
SUS202は非磁性のステンレス鋼のため、基本的に磁石につくことはありません。しかし、曲げなどの加工を行った箇所に関しては、材料の結晶構造に変化が生じ、僅かに磁性を持つことも。これらは、SUS302・SUS304も同様の特徴を持っています。
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