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ステンレス溶接の種類や溶接方法を銅種別に徹底解説!

この記事を監修した人

金属加工業界最大級のマッチングプラットフォーム「Mitsuri」を手掛ける企業。
「未来の製造業をつくる」をモットーに、製造業DXを推進している。

皆様はステンレスの溶接にどのようなイメージをお持ちでしょうか。

溶接を専門としていない方は、

「ステンレスの溶接は難しい・・・」

「ステンレスの溶接法の種類が多くて、どれを選べばいいのか分からない・・・」

「ステンレスといっても鋼種が様々だけど、同じ溶接法でいいのか・・・」

などと、思う方が多いことでしょう。

そこで、今回の記事では、ステンレス溶接の難しさ、またステンレス溶接の種類や鋼種別の溶接法について、詳しく解説していきます。ステンレス溶接の事例も併せてご紹介しますので、ステンレス溶接をご依頼するときの参考にしてください。

ステンレス溶接の難しさ

ステンレス溶接の難しさを説明する前に、ステンレスについて簡単に説明させて頂きます。ステンレス製品はどこの家にも必ず1つはあるほど身近なもので、食器や家具、外に出ればエレベーターやエスカレーターなどどこでも見つけることができます。

ステンレスは、正式名称:ステンレス鋼と呼ばれ、クロム、またはクロムとニッケルを含む錆びにくい合金鋼の事を言います。

ステンレスの種類は多種有り、常温における金属組織によって分けると大きく5つに分けられます。

ステンレスの種類

  • マルテンサイト系ステンレス鋼
  • フェライト系ステンレス鋼
  • オーステナイト系ステンレス鋼
  • オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼
  • 析出硬化系ステンレス鋼

引用元:ウィキペディア

これらステンレスは、それぞれ溶接特性が大きく異なり、その成分によってさらに細分化されます。

このステンレス鋼の種類の多さが、ステンレス溶接が難しいとされる理由の1つに有ります。

また、国内で広く使用されている「オーステナイト系ステンレス鋼」は以下のような問題が有ります。

オーステナイト系ステンレス鋼の問題

1.溶接入熱により、制作物が大きく変形してしまう。2.溶接施工自体も技量を要する。

このような理由から、ステンレスの溶接は難しいと言われています。

ステンレス溶接の種類

ステンレスは、アーク溶接を始め、レーザー溶接や電子ビーム溶接、抵抗溶接などの様々な方法で溶接することができます。特にアーク溶接は、比較的低コストで高強度な溶接ができるため、採用されることが多い溶接法です。ここでは、アーク溶接法の中でもステンレス溶接によく用いられる①TIG溶接、②MIG溶接、③被覆アーク溶接、④サブマージアーク溶接について解説していきます。

なお、アーク溶接は、電極と溶接する金属の間に電圧を加え、アークと呼ばれる気体中に持続的に生じる放電を発生させ、アークに伴う熱で金属を溶融。さらに、溶融金属へ必要に応じて溶加材を添加し、それらを凝固させて接合する溶接法です。

①TIG溶接

TIG溶接は、Tungsten Inert Gas(タングステン‐不活性ガス)溶接を略したものです。電極に消耗しにくいタングステンを使用し、溶接部をアルゴンなどの不活性ガスでシールドし、別途用意した溶加材を加えながら溶接するアーク溶接法です。

溶接精度が高く、仕上がりも美しいため、手作業でのステンレス溶接によく用いられます。しかし、溶接速度が遅い、タングステン電極と不活性ガスにコストがかかるといったデメリットがあります。

TIG溶接によるステンレス溶接は通常、電極を陰極、母材は陽極とする直流正極性で行います。シールドガスには純アルゴンを用い、アーク長は2~3mm程度を維持しながら溶接します。また、溶接可能な板厚は、0.5~3mm程度です。

また、ステンレス溶接の際には、以下の点に注意が必要となります。

  • 「ステンレス溶接の注意点」
  • ガス流量が少ないと、ビード表面の酸化や溶接欠陥が発生することがある。
  • ガス流量が多すぎると、ガスの流れが激しくなって大気を巻き込み、ブローホールなどの溶接欠陥が生じることがある。
  • アーク長が長すぎるとシールド不足になり易い。

参考記事TIG溶接については、以下の記事に詳細がありますので、ご覧ください。⇒ティグ溶接とは【専門家が解説】特徴や加工方法について詳細をお伝えします!

②MIG溶接

MIG溶接は、Metal Inert Gas(金属‐不活性ガス)溶接を略したものです。不活性ガスをシールドガスに用いることはTIG溶接と同様ですが、電極に溶加材を兼ねた溶融させる金属を用い、そのまま溶かして溶接するアーク溶接法の一つです。

金属電極には、針金状の溶接ワイヤを使用し、コイル状に巻かれたワイヤを送給装置でトーチに自動的に送ります。このとき、シールドガスもトーチに備えたノズルで自動的に供給します。ただし、溶接自体は手作業ですることが多いため、半自動溶接で使われる代表的な溶接法の一つとなっています。

TIG溶接に比べると精度や仕上がりの美しさに劣りますが、生産性が高いため、ステンレス溶接によく使われる方法の一つとなっています。

MIG溶接によるステンレス溶接は通常、直流定電圧電源を用い、電極を陽極とする逆極性で行います。シールドガスには、純アルゴン、またはアルゴンに数%の酸素を混合したガスを用います。なお、酸素ガスは、アークの不安定化の防止や溶接速度を上げる目的で混合されます。また、溶接可能な板厚は、およそ3mm以上となっています。

参考記事MIG溶接については、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。⇒ミグ溶接を徹底解説!【専門家が語る】素人でも3分で理解できます!

③被覆アーク溶接

被覆アーク溶接は、溶接対象と同材質の金属棒に被覆材(フラックス)を塗布したものを電極とし、電極を溶加材に用いながら溶接する方法です。溶接作業の全てが手作業で行われることから、手溶接と呼ばれることもあります。

フラックスは、様々な金属や薬剤を含み、アークの高温でガスやスラグとなります。このガスは、アークを安定化させると共に、溶接部をシールドして大気から保護する役割を果たします。一方、スラグは、溶接金属を覆い、大気による酸化やスパッタの付着などを防止する機能を発揮します。しかし、スラグは溶接後、除去する必要があります。

被覆アーク溶接によるステンレスの溶接は、おおよそ板厚0.8mm以上で可能です。また、ステンレス溶接の際には、以下の点に注意する必要があります。

「ステンレス溶接の注意点」

  • ・吸湿したステンレス電極を使用すると、ピットやブローホールが発生しやすくなる。
  • ・ステンレス電極は熱膨張係数が大きいため、被覆材が割れて溶融池に脱落することがある。
  • ・ステンレス電極は電気抵抗が高く、温度が上がりやすいため、溶接金属の組成に悪影響を与えることがある。
  • ・アーク長が長いと大気の影響を受けやすくなるため、割れやピット、ブローホールが生じやすくなる。

④サブマージアーク溶接

サブマージアーク溶接は、溶接部にあらかじめ粉粒状のフラックスを散布し、そこに電極となるワイヤを自動送給して溶接する方法です。被覆アーク溶接の金属電極とフラックスを分離させることで、完全自動化した溶接法と言えるでしょう。

自動溶接であるため、同品質の溶接を高速に実行できますが、溶接形状に制限がある、フラックスの供給と回収が必要、スラグ除去が必要などのデメリットがあります。

サブマージアーク溶接によるステンレス溶接は、板厚6mm以上で可能です。また、被覆アーク溶接と同様の点に注意する必要があります。

ステンレスの溶接についてわかったところで、

・具体的にはどれくらいの費用がかかるのか

・納品までの期間はどれくらいかかるのか

などについて気になるのではないでしょうか。

そんな時はMitsuriにお任せください!

鋼種別ステンレス溶接の方法

次は、代表的な鋼種である、SUS410(マルテンサイト系)、SUS430(フェライト系)、SUS304(オーステナイト系)の溶接方法について説明していきます。

SUS410(マルテンサイト系)

マルテンサイト系ステンレスを溶接する場合には、急冷による低温割れと拡散性水素による遅れ割れに注意する必要があります。

また、溶接後に加熱して高温状態を維持する後熱処理を行うことがよくありますが、これは再び焼戻し処理を行うことと同等であり、低温割れと遅れ割れの両方の防止に効果があります。

なお、マルテンサイト系ステンレスの溶接は、難しいとされているため、経験の深いメーカーにご依頼することをおすすめします。

●低温割れ

マルテンサイト系ステンレスは、高温状態にした後に急冷する焼入れを行って製造するものの、脆くなってしまうため焼戻しを施します。この脆化は、溶接金属にも同様に起こるため、溶接前に予熱しておくことが必要となります。具体的には、母材全体を200℃から400℃程度に予熱しておくことで、溶接部の冷却速度が遅くなり、急冷による脆化を抑制することができます。

●遅れ割れ

マルテンサイト系ステンレスは、溶接過程で侵入した水素が溶接後に拡散することで割れを生じることがあります。この割れは、溶接後、しばらくたった後に起こるため、遅れ割れと呼ばれます。水素の侵入は、電極や溶加材、母材に付着した水分や大気中の水分が、溶接部から取り込まれてしまうことで起こります。

そのため、乾燥した環境下で溶接する、溶接機材や材料を乾燥・清浄化するといった対策によって防止することが可能です。

SUS430(フェライト系)

フェライト系ステンレスは、溶接熱による脆化と結晶粒粗大化が起きやすいので、溶接前に対策を講じておく必要があります。

なお、フェライト系ステンレスは、オーステナイト系ステンレスに比べ、溶接性に劣るとされていました。しかし、近年では、SUS430の様々なバリエーションが開発されており、炭素や窒素などの不純物を低減したり、ニオブやチタン、銅などを添加したりすることで溶接性や加工性、耐食性などが向上しています。

●溶接熱による脆化

フェライト系ステンレスは、ある2つの温度範囲に長時間維持すると脆化が生じます。この脆化は、350℃~550℃の温度域では475℃脆化、600℃~800℃の温度域ではσ相脆化と呼ばれます。

これらの脆化は、発生した温度域よりも高温に加熱し(475℃脆化では600℃程度、σ相脆化では950℃程度)、急冷することで解消することが可能です。また、溶接後の冷却速度が遅い場合に起こりやすいので、冷却速度を上げるなどの工夫で防止することができます。

●結晶粒粗大化

フェライト系ステンレスは、溶接により融点付近まで加熱すると、溶接部の組織が大きくなり、延性や靭性が低下してしまいます。

一旦粗大化した結晶粒は、熱処理で細かくすることはできないので、高温に維持する時間をなるべく短くするなど溶接時の対策が必要です。

SUS304(オーステナイト系)

オーステナイト系ステンレスを溶接する場合は、高温割れ、クロム炭化物が析出する鋭敏化、溶接変形、残留応力の発生が問題となります。

なお、オーステナイト系ステンレスの溶接には多くの注意点がありますが、マルテンサイト系やフェライト系に比べると溶接の難度は低く、鉄鋼と同程度の難度であるとされています。

●高温割れ

オーステナイト系ステンレスでは、不純物として存在するリンや硫黄などの低融点物質が溶接時に高濃度化してしまうことがあります。これらの低融点物質は、オーステナイトに固溶しにくく、凝固すると結晶粒界に析出して割れを引き起こします。

高温割れの対策として、不純物の低減を図ることはもちろんですが、リンや硫黄が固溶しやすいフェライトを含む溶加材を用いる方法もあります。なお、SUS304は、高温割れ防止のため、高温でフェライト相が5%~10%程度現れるような組成を持っています。

ただし、フェライト相は、σ相脆化などの原因ともなるので、少ない方が良いとされています。

●鋭敏化

オーステナイト系ステンレスでは、鋼種にもよりますが、500℃~800℃程度の加熱によりクロム炭化物が結晶粒界に析出することがあります。クロム炭化物の析出は、周囲のクロム濃度を低下させるため、耐食性を部分的に低下させ、粒界腐食の原因となることがあります。そのため、オーステナイト系ステンレスは通常、予熱せずに溶接します。

鋭敏化の防止には、鋭敏化する温度域に至らないように溶接時の入熱量を抑制する、母材の炭素量を低減するなどの対策が有効です。また、鋭敏化してしまった場合には、1000℃~1200℃程度に加熱して一定時間保持した後、鋭敏化温度範囲を急冷する固溶化処理によってクロム炭化物を固溶化することができます。

●溶接変形

オーステナイト系ステンレスは、線膨張係数が高いことから、溶接熱によって変形しやすいです。

そのため、入熱量を抑制することはもちろん、入熱が集中しない溶接継手とする、変形方向と逆向きの変形を施す、治具などで拘束するなどの対策が必要となります。なお、オーステナイト系ステンレスは、延性が高いため、拘束による溶接割れは起きにくいです。

●残留応力の発生

オーステナイト系ステンレスは、線膨張係数が高い上、熱伝導率が低いため、残留応力が発生しやすいです。そのため、残留応力の内在と腐食の両方を満たす場合の経年損傷である応力腐食割れが発生することがあります。

対策としては、保持温度を800℃~900℃程度とする焼きなましによって残留応力を除去する方法があります。ただし、この焼きなましにより、クロム炭化物が析出することがあるので注意が必要です。

ステンレス溶接事例

「奉名板枠」の製作過程

ステンレス製垂木

棟木端部のTIG溶接した様子

  

柱と垂木のTIG溶接した詳細

引用元:有限会社萩原製作所

「奉名板枠」完成品

ステンレス製大型水槽

引用:株式会社ニットー

ステンレスの溶接ならMitsuri!

普段私たちが何気なく目にしていたステンレス製品。人の目に触れるものも多い為、耐久性が高いだけでなくいかに美しく溶接されているかも大事な事だとわかります。

溶接するには大変難しく、高度な技術が必要だという事を理解いただけましたでしょうか。

なので、ステンレス溶接についてお困りの方は、是非Mitsuriにご登録下さい!

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