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製缶板金加工とは?板金加工との違いやコストダウンの方法を紹介!

2025-01-13

更新

この記事を監修した人

金属加工業界最大級のマッチングプラットフォーム「Mitsuri」を手掛ける企業。
「未来の製造業をつくる」をモットーに、製造業DXを推進している。

金属加工と言うと、一般的には板金加工という言葉を耳にする機会が一番多いでしょうか。今回のテーマである製缶板金加工は、その板金加工と似たような分野です。

製缶板金加工とは、鉄やステンレスなどの金属板を切断や曲げ、溶接など行い容器または骨組み状のものを作り出す加工のことを言います。

本記事では、製缶板金加工の特徴や製品例、コストダウン事例についてご紹介します。板金加工と似ているところが多い分野ではあっても、製造業に携わる者でなければあまり馴染みのない製缶板金加工ですが、この記事を機会に少しでも知識を深めていただければ幸いです。

製缶板金加工とは? 板金加工との違い

製缶板金加工とは、ぶ厚い金属板でタンクや建物の鉄骨などを作ることを言います。

材料は鉄やステンレスといった他の分野でもよく使われている金属を使用。金属の板を曲げ・溶接・切断など様々な加工方法を駆使して、複雑な形状の製品を作ったり立体的な構造物を組み立てたりします。

一般的な金属加工と言えば板金加工があります。

板金加工でも、曲げ・溶接といった加工の種類に違いはなく、材料も同じ金属を使いますが、定義としては板金加工と製缶板金加工は区別して考えられます。

では何が違うのかと言うと、板金加工と製缶板金加工では扱う金属の厚さに一番の違いがあります。

板金加工では比較的薄い金属板を使うのに対し、製缶板金加工では厚めの金属板を使用します。

板金加工との違い板金加工:比較的薄い金属板を使用(目安として7mm以下)製缶板金加工:厚めの金属板を使用(目安として7mm以上)

引用元:NC network 製缶板金加工.com

板金加工の会社ではだいたい7mm以下、製缶板金の会社では7mm以上の厚さの金属をメインに加工します。分かりやすいよう7mm以上と示しましたが、何ミリから製缶板金というかは決まっておらず、会社によって見解が異なることもありますのであくまで目安です。

製缶板金加工で使われる金属板はぶ厚いだけあって、作られる製品が板金加工の製品よりも大型の物になることが多くなります。

ちなみに、板金加工をメインとする会社でも9mm以上の厚さの金属を加工することができるところはあり、製缶板金でも薄い金属を加工することはできます。ただそこは、設備や技術の関係で得意分野から外れるため、料金が高くなったり時間が掛かったりすることがあります。

そのため、もし仕事を依頼するのであれば、なるべく依頼の内容とあった会社を選択するのがオススメです。

製缶板金加工における工程

製缶板金加工では、設計図面にしたがって、下記のような工程で製作されます。

切断・抜き加工

切断・抜き加工は、板材から必要な形状に抜き取る加工を指し、ブランク加工とも呼ばれます。一般に、レーザー切断機やタレットパンチを用いて加工が行われます。

一口で必要な形状に抜き取ると言っても、切断・抜き加工の品質は、その後の工程にも大きく影響し、最終的な製品の仕上がり・精度にも関わる重要な工程です。

曲げ加工

切断・抜き加工の後には、曲げの工程があります。曲げ加工では、プレスブレーキなどの機器を用いて、ダイと呼ばれる型の上に板材を置き、押し金型を使って金属を折り曲げ、必要な形状に加工を施します。

なお、タンクのような製品の場合には、ベンディングロール機を用いて、板材を筒状にしていきます。

溶接加工

溶接加工によって、製品の組み立てを行います。溶接加工の種類はさまざまで、使用している材質や必要な製品の強度などに応じて溶接の方法を選定します。

製缶板金加工では、一般にアーク溶接やTIG溶接が用いられます。

アーク溶接は、空気中の放電現象を利用して、同じ金属同士をつなぎ合わせる溶接方法を指し、母材同士の融合が強いことが特徴として挙げられます。

また、TIG溶接は、タングステンを電極に用いて、不活性ガスを噴出させて無酸素状態にした状態で行う溶接方法を指し、高品質で美しい溶接ビード(溶接跡)が得られ、あらゆる金属の溶接に適用できるという特徴を持ちます。

穴あけ・タップ加工

必要な部品を挿入するためのボルトなどを固定するために、タップ穴を開ける工程です。なお、タップ穴とは、穴にめねじ(ねじが入る筋)を切るタップ加工が施されたものを指します。

機械加工(マシニング加工)

工作機械を使用して、より精密で複雑な形状の構造物を作り出す工程です。素材表面を削ることで、必要な精度出しを行っていきます。

研磨加工

部品の表面に研磨加工を施し、溶接跡などを目立たないようにしたり、研磨によって素材に光沢を出したりする工程です。

表面処理加工

素材の表面にメッキ加工やアルマイト、塗装を施すことによって、耐食性・導電性・耐熱性などのさまざまな機能を付与したり、装飾する工程です。

溶接加工が製缶加工の質を決める?

製缶加工において一番時間を要し、さらに作業者の技量を必要とするのが溶接加工です。例えば、タンクなどの場合には漏れなどが発生しないよう品質の高い溶接技術が要求されますし、その他の製品においても、接合することで歪みが発生しないように、溶接後の歪み取りなどを行う必要があります。また、製缶加工の溶接では、機械化が進んでいる現代においても、作業者の技量に頼る部分が多く、各メーカーにおいて優秀な溶接工が必要となってきます。

製缶板金加工の品質向上とコストダウン(VA/VE)について

コストを抑えながら製品の価値を高めていく取り組みのことをVA/VEと言います。一つの製品では少しの無駄でも、大量に生産とすると大きなコストアップになってしまう製造業において、VA/VEは切っては切り離せないほど重要な課題です。

そのため、月並みなことではありますが、コストダウンをするには当然ながら製缶板金の加工方法や材質の特徴を理解していなければいけません。

加工技術の基礎知識をしっかりと把握し、設計・開発の段階からコスト面を考慮しつつ、品質の向上を図る必要があります。

VA/VEとは

ここで、VA及びVEの用語について解説していきます。

まず、VAとは英語の「Value Analysis」の頭文字を取ったもので、価値分析を意味します。一般に、「Value(価値)=Function(機能)/Cost(コスト)」で表され、機能つまり品質を向上させながらコストの低減を図ることで、製品の価値を高めるという取り組みを指します。

また、VEとは英語の「Value Engineering」の頭文字を取ったもので、基本的にVAと同じ意味を持ちます。ただし、VAでは既存製品に対して分析し、コストダウンを行っていくのに対し、VEは設計段階から材料、工法、コストを考慮して価値の最大化を図る場合に用いられます。

以下、VA/VEの考え方を用いて、製缶板金加工におけるコストダウンの技術についてご紹介していきます。

1.溶接部分をできるだけ少なくする

溶接部分が多いということは、そのぶん作業工数が増えて手間が掛かるということです。加工する時間の効率や加工後の検査時間も大幅に変わってくるので、無駄な作業時間は極力を省くことが望ましいですね。

手間暇が掛からないようにするのもコストカットの一部と考え、設計の段階から余分な溶接部分がなるべく少なくなるよう意識することが重要です。

2.材料の種類をなるべく少なくする

材料費を抑えるため当然とは言えますが、材料の種類を少なくすることもVA/VEの基本的な考え方の一つです。材料費の都合だけでなく、種類が多いと材料や金型の交換作業が必要になるため、そのぶんの手間もなるべく減らしたいという理由もあります。

シンプルイズベストとは少し違うかもしれませんが、必要以上に材料を詰め込みすぎないのも良い製品を作る上で重要なのかもしれません。

3.小さな部品を多用するのは避ける

溶接の時など、加工方法によっては部品が小さいと自分の手や道具で加工箇所が隠れてしまうことがあります。

加工箇所が見えにくいと失敗しやすくなったり、ズレ防止の確認や作業工程で時間が掛かってしまったりするので、結果的に作業工数が増しコストが余分に掛かる原因になります。

精密な作業が求められる製造業において、大きい部品の方が好ましいというのは意外かもしれませんが、こういう時に材料や加工方法の特徴を理解しておく必要があります。もちろん製品によって適正な大きさの部品は異なりますので、場合によっては小さい部品がいいこともあります。

4.二次的加工を極力省く

二次的加工とは加工の後にもう一度手作業で加工の追加や再加工をすることです。二次的加工は、設計の段階で追加の加工が必要になっている場合を言います。

設計の都合なので製品を作る以上仕方なくすることもありますが、発想や工夫次第で二次的加工が必要ない場合もあるので、なるべく不要な工程は省いて設計しようということです。

追加加工・再加工は製品の品質低下の原因となりやすく、また作業効率も下がってしまうため、設計の際には加工技術の知識を駆使し、できる限り二次的加工は少なくしたいところです。

以上1~4の考え方の他にも、製缶板金におけるコストダウンの方法はいくつもあります。そして未だ発見されてないコストダウンの方法を求め、多くの会社が様々な観点から、日々VA/VEの試行錯誤をしています。

製缶板金による製品

最後に、製缶板金加工によって製作される代表的な製品である、架台及びタンクの製作方法についてご説明いたします。

架台

引用元:有限会社川久保製作所

架台には、主に厚板が用いられるため、切断加工にはレーザー切断機が使用されます。素材を必要な大きさに切断した後は、溶接の工程となりますが、溶接の熱による歪みを最小限にするため、冷却などを行いながら、基本的に溶接工によって手作業で溶接が行われます。

参考記事こちらの記事では、架台の製作工程について詳しく解説しています。架台の製作についてさらに知識を深めたい方は、ぜひご覧ください。⇒架台の製作工程について徹底解説! 製作時の注意点についてもご紹介!

タンク

ステンレス製タンク

タンクの製作では、まずベンディングロール機を用いて曲げ加工を行うことで、板材を筒状にします。筒状にした素材に対し、内面、外面と溶接工によって手作業で溶接を施し、さらにノズルなどを取り付けます。その後、検査などの工程を経て完成となります。

製缶板金加工を依頼するならMitsuri

今回は、製缶板金加工をテーマに、板金加工との違いや作業の工程、また製缶板金加工におけるコストダウンの考え方や、製品例など幅広い内容についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。製缶板金加工では、熟練した溶接の技術が要求されるため、作業者の技量によって製品の品質の良し悪しが決まるとも言われています。そのため、製缶板金加工を依頼する際には、信頼できるメーカーを選定することが重要です。

製缶板金加工を依頼できるメーカーをお探しの際には、ぜひMitsuriにご登録ください。

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