設備を新たに導入したり、既存設備の配置を最適化するために、架台の製作を検討されているのではないでしょうか。
この架台の選び方や設置方法で、設備が効率良く稼働できるかどうかに影響がでます。より効率良く稼働をさせるためにも、製作工程と注意点を事前に知っておくことが必要です。
本記事では、架台の製作工程、製作時の注意点、対応可能なサイズ・素材について、わかりやすくご紹介しますので、是非ともお役立ていただければ幸いです。
架台とは、空調機やキュービクル、分電盤、制御盤、サーバーなどの設備機器を設置するために用いられる台を指します。このように、設備機器を支えるため、設備架台と呼ばれることもあります。
架台は、単に設備機器を支えるだけのものとして捉えられがちですが、屋外でも使用されるため、高強度で安全性に優れ、さらに耐食性・耐候性を持つといった機能面においても非常に優れた製品となっています。さらに、地震などの災害時でも簡単に壊れないように設計する必要があるなど、設備の用途によっては建物とほぼ同程度の設計が要求される場合があります。
引用元:摂津金属工業株式会社
架台と似た用語に「ラック」があります。ラックとは、英語で棚という意味を持つように、機器などを置く棚の役割を果たし、一般的に機器の外部との接触を防ぐため、筐体の形になっています。そのため架台は、上図のように機器の入ったラックを支える土台とも言えます。
なお、ラックには、下図のように設備機器に必要なケーブルなどを支持し、固定するために用いられるものもあり、ケーブルラックと呼ばれています。
引用元:太洋通信工業株式会社
架台製作における各工程を一例として紹介していきます。
架台の高さ、長さなどの要件に応じて材料を調達します。
またアルミニウム製、ステンレス製、スチール製といった、どのような素材で架台を製作するかによって調達する材料は異なります。
レーザー切断機、シャーリング、タップ、タレパン、カッターやソーなどのアルミ切断機を使用して、材を高速・高精度にカットします。
切断は、その後の工程に大きく影響し、最終的な製品の仕上がり・精度にも関わる重要な加工工程です。特にアルミはバリや反りが発生しやすいため、高精度なカットが求められます。
加工の際に加工部の淵に出来てしまう残留物をバリといいます。
バリの発生そのものをゼロにすることは、材料や加工方法によっては困難なのでバリ取りによって除去します。機械や手作業による追加工で除去します。
MAG溶接やTIG溶接といった一般的なシールドガスアーク溶接に加え、スポット溶接やレーザー溶接、抵抗溶接などあらゆる加工法を駆使して材料を溶接します。またアルミ材の場合は、比較的低温で溶着可能なろう付けが用いられることも多いです。
溶接加工は機械化が進んでいるものの、アルミ溶接において最後の仕上がりを左右するのはやはり人の経験と技術です。溶融点の低いアルミは、溶接するうちにどうしても歪みが発生してしまいます。また、厚みや求められる強度などによっても注意すべきポイントです。
架台とは、空調機、分電盤や制御盤、太陽光パネルなどの各種電気機器を、基礎や建物躯体に固定するための支持材のことを言います。
製作時の注意点は、架台の用途に応じて仕様を変えなければならないことです。
屋上など風や雨にさらされる場所に設置する場合、溶融亜鉛めっき鋼材やステンレス鋼材を使用して、高強度かつ高耐候性の架台構築が求められます。
湾岸や沿岸地域など塩害の恐れがある場所では、耐食性を高めるために高耐食性の溶融亜鉛めっき鋼板やアルミニウム材を選定する場合があります。
空調機器や変圧器など振動する電気機器を架台で支持固定する場合、空調機や変圧器本体から発生する振動を吸収抑制する機能を持つ「防振架台」と呼ばれる架台も存在します。
架台製作には溶接工程は欠かすことができません。
一般的には、コストの観点で全周溶接は敬遠され、点付け溶接に変更することが多いのですが、高強度架台に関してはその逆で、全周溶接を行うことで板材同士を強固に接合します。
但し、熱歪みの影響が大きく精度が出づらいため、使用される業界によって適切な溶接方法を選択する必要があります。
一般的に強度が要求されないような架台に関してはt6mmの板材が用いられることが多いです。しかし、産業用機械向けなどの架台はt18mmやt22mm、t30mmなどの厚板が用いられます。また、鉄道業界向けのベース架台のように非常に重いものを支えるにはt100mmの板厚が用いられることがあります。
厚板の板金加工は一般的に難易度が高くなります。例えば、曲げ加工は板厚が厚いほど曲げ割れが生じやすいというデータがあります。そのため高強度の架台製作には高い技術力が必要となります。
架台の中でも、例えば鉄道や工作機械、太陽光パネルなどの重量物を支えるために用いられる架台は、強度が要求されます。
精度が要求されるものなど全周溶接が不適な場合は立木(補強のための追加フレーム材料)の数を増やすことで強度アップをはかることが出来ます。架台として機能を持たすには最低でも4本の立木が必要となります。さらに強度を上げる場合には、例えば立木の数を6本や9本など数を増やすことで、各立木にかかる圧力が分散され強度アップとなります。
架台のサイズは家庭用から産業用機械向けまで大小様々あります。そのためメーカーによって製造できるサイズも異なってきます。
また、架台の素材は主に3種類あり、用途に応じて素材とサイズを選ぶ事がとても重要です。各素材ごとの特徴は、以下の通りです。
ステンレス架台
スチール架台
アルミニウム架台
次に、耐震架台について解説していきます。
耐震架台とはその名の通り、突然の地震や振動から重要な機器などの転倒を防ぐために床面に設置される架台を指し、その英語名からチャンネルベースとも呼ばれています。チャンネルベースを設置する際には、設置する床の環境や、機器筐体の構造やサイズ、重量などによって設置方法が決定されます。
引用元:株式会社昭電
また、オフィスや工場などの床面では、上図のようにフリーアクセスフロアと呼ばれる二重床が採用されており、コンクリートなどの基礎の上に支柱が設置され、その上にフロアパネルを置くという構造になっています。そのため、チャンネルベースの設置時には、基礎の部分とフロアパネル上のどちらに設置するかを選定する必要があります。
ただし、フロアパネル上に設置する場合には、振動によってはフロアパネルごと下に抜け落ちるという危険性があります。そのため、基礎のコンクリート上に固定して設置する方がより耐震性に優れることから、通常はこちらの方法が採用されることが多くなっています。
参考記事こちらの記事では、チャンネルベース(耐震架台)の設置の流れや種類について、詳しく解説しています。チャンネルベースの設置方法について、さらに詳しく知りたい方はぜひご覧ください。⇒チャンネルベースの設置の流れや種類について専門家が解説!
引用元:日東金属工業株式会社
製薬メーカー向け搬送用ステンレス架台。キャスター付きの角パイプ架台です。容器は架台と分離します。
引用元:株式会社日本環境テクノ
ソーラーシェアリング 架台。アルミ二ウムが軽量なため、建物へ設置した場合の重量負荷の軽減にもつながります。搬入作業においても軽量なため金属架台に比べてコスト削減が可能です。錆びや腐食にも耐性があるため、塩害が発生している地域においても設置が可能です。
引用元:島田工業 株式会社
サニタリー製品に分類される、人工大理石シンク用の架台。SS400を切断、ノッチおよびピアス加工を施しています。塗装を行ってから出荷をしています。
引用元:株式会社エクセル
本社:長野県長野市大豆島上之島3397-13
TEL:0120-296-971
FAX:026-222-3670
創業:1945年
加工:金属加工、ステンレス製品製作・造形 など
素材:ステンレス、スチール など
株式会社エクセルは、建築ステンレス製作金物を主力製品とし、8万件もの実績のある信頼できるメーカーです。
創業から長きにわたり「お客様の要望に応え、お客様が思っていることを形に変える」というものづくり精神を大切にしている会社です。一般的な手摺などの制作金物から、既製品には無い特殊な形状や用途にも対応可能です。また、オーダーメイド製品にも対応しており、小ロット1点から発注できます。他にも、他社製品の補修や再製作にも対応しております。ただし、特急対応については、可能かどうか、事前に確認することをおすすめします。
株式会社エクセルでの製品例はこちらです。
クレーン用ブーム(アーム)収納棚
消防署内ボンベ収納用棚
ボンベ収納
引用元:株式会社アイザック
本社:東京都八王子市美山町2161-10
TEL:042-650-7151
FAX:042-650-7150
設立:昭和42年7月
加工:大型板金、精密板金、筐体溶接、製罐板金、架台枠組 など
素材:鉄、ステンレス、アルミニウム、真鍮、型鋼、銅 など
株式会社アイザックは、大型板金・精密板金・架台枠組・製罐板金・筐体溶接・試作板金などを主に取り扱っている、試作専門の金属加工業者です。
ものづくりを支える広々としたスペースと多種多様な設備を備えており、超大型板金にも対応ができます。また、多品種小ロット生産の効率性を追求しており、お客様のニーズに合わせた短納期・小ロットに対応しております。製品の規模にもよりますが、通常は図面を送った後、1日~10日で納品可能です。なお、部品など細かなものなら当日出荷も可能です。ただし、大ロットでの依頼の場合は、事前に可能かどうか、確認することをおすすめします。
株式会社アイザックでの製品例はこちらです。
架台枠組(長さ9M級)
架台枠組(ステンレス製)
架台枠組(長さ6m越えのサイズ)
引用元:大田産業株式会社
本社:兵庫県神戸市西区神出町宝勢1463-1
TEL:078-965-3977
FAX:078-965-3978
創業:昭和17年7月
加工:板金加工など
素材:ステンレス、鉄、アルミ など
大田産業株式会社は昭和17年に創業した老舗の金属加工会社で、多種多様な板金加工製品を製作しています。
機械パーツはもちろん、極小サイズの箱やアート作品など、様々な金属加工品の製作を行っています。また、オリジナル商品の考案や、端材の有効利用の提案などにも対応しています。ただし、短納期をご希望の場合は、事前に確認することをおすすめします。
大田産業株式会社での製品例はこちらです。
アルミ材質の製作事例(バイクの入るサイズの箱)
SUS304材質の製作事例
エッチング板を使用した展示会用の台
本記事では架台の製作工程についての解説と製作時における注意点についてご紹介しました。用途によって製造工程や素材が異なってくるので、適切なメーカーを選ぶことが重要ではないでしょうか。
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