2025-01-15
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今回は、サーボプレスの特徴や構造などについて解説します。
プレス加工は、専用の機械と金型を用意することで、せん断・曲げ・絞り加工を繰り返し素早く行えるため、製品の大量生産に採用されています。サーボプレスは、より生産効率を向上するために生み出された機械で、非加工時のスピードは速く、加工時のスピードは遅くといったような制御が可能です。
サーボプレスとは、加圧部の動きをNCとサーボモータで制御するプレスユニットのことです。
油圧式のプレスユニットでは、加圧する際のスピード調節や停止位置などの制御が難しい傾向にありますが、サーボプレスでは、サーボモータでラム(駆動部)の動きをコントロールすることで、複雑なプレス加工にも対応が可能です。また、NC制御によりマグネシウムなどの難加工材や複雑な形状のワークもプレスできるようになります。
サーボプレスの用途は、以下のものが挙げられます。
サーボプレスはプレスの途中まで高速で駆動でき、プレスする際は遅く駆動させます。例えば、下死点(加圧の最下点)付近まではスピードを上げ、それ以降はスピードを落としてプレス加工できることから、歩留まり低下の防止と生産性の向上が期待できます。
また、加圧を数値制御できるため、従来のプレス機では加工が難しかった材料に対しても対応できます。
サーボプレスは内部構造の違いによりさまざまなタイプがあります。ここでは代表的なタイプである「スクリュー(ボールねじ)式サーボプレス」と「クランク式サーボプレス」の2種類の構造を解説します。
●スクリュー(ボールねじ)式サーボプレス
スクリュー式サーボプレスは、サーボモータの回転をボールねじに伝えて、ボールねじのナットに組付けたラムを動作させる仕組みです。
スクリュー式サーボプレスは、位置や荷重を高い精度で制御できる点が強みです。
ただし、往復動作にてサーボモータが正転と逆転を繰り返すため、クランク式と比べてスピードがある往復運転は得意ではありません。また、ボールねじを使用していることから、ラムへの衝撃に注意を払う必要があります。
●クランク式サーボプレス
引用元:日刊工業新聞 【プレス技術】イメージでつかむ「抜き」「曲げ」「絞り」の原理・原則/プレス機械が作用する荷重の変化を「腕立て伏せやバケツ持ち」から考える(上)
クランク式サーボプレスは、クランク機構にサーボモータを組み合わせたタイプです。
モータは片方のみ回転しますが、回転運動を往復動作に変化できることから、連続動作が可能です。クランク式サーボプレスは、主にパーツの大量生産に適しています。
しかし、ロングストロークの対応は難しく、上死点(加圧の最上点)と下死点にて大きな荷重を発生できるものの、中間位置では荷重を発揮できないことから、複雑なプレス動作には不向きです。
ここでは主なサーボプレスの種類をご紹介します。
メカニカル駆動式サーボプレスは、サーボモータとクランクなどのメカニカル駆動機構を備えたサーボプレスのことを指します。サーボプレスの構造で解説した、スクリュー式やクランク式のサーボプレスもメカニカル駆動式に該当します。
メカニカル駆動式のタイプは扱いやすく、大型のモデルが多いのも特徴です。
引用元:アイダエンジニアリング株式会社 AIDA 新型ダイレクトサーボフォーマ DSF-N1-Aシリーズ
ダイレクト機構サーボプレスは、サーボモータとクランク機構を組み合わせた、クランク式サーボプレスのことを指します。
クランクプレスの良さはそのままに、構造の簡素化と従来機械と変わらない外観により、扱いやすい特徴があります。
引用元:KOMATSU H1F-1
ハイブリット機構サーボプレスは、リンク機構(下降運動は低速で、上昇運動は高速で動く機構)とサーボモータを組み合わせるなどの、ハイブリット駆動機構を搭載したタイプです。油圧式の機能を備えたサーボプレスの場合もハイブリット機構サーボプレスと呼ばれています。
引用元:有限会社モリ工業 製品紹介 油圧ハイブリットサーボプレス
油圧式サーボプレスは、油圧プレスの駆動源である油圧ポンプをサーボモータで直接駆動させるタイプです。
油の流量をサーボモータで制御し、加圧力や加圧量を精密にコントロールしながら、油圧のパワーを発揮できます。また、オイル量を削減できるほか、発熱が少ない点も強みです。
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