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溶接加工の見積りを決める要素を徹底解説!

この記事を監修した人

染谷 ひとみ

Mitsuri Media管理人

精密板金加工工場のインサイドセールスとして加工と寸法の提案をしてきた経験を経て、製造業の知見と楽しさを提供している。 幼少期からモノの構造を理解するのが好き。JAPAN MENSA会員。

溶接加工は、モノづくりの分野において、金属同士をつなぎ合わせるという非常に需要な役割があります。溶接加工の見積りは、依頼した製品に使用する金属や、溶接加工の範囲によって、見積り金額が変わってきます。

しかし、多くの会社は溶接加工にかかる費用を公開していない場合が多いです。そのため、外注費用がどれほどかかるのかイメージがつかず、なかなか予算を組めないなどの経験があるのではないでしょうか。

そこで今回は、溶接加工の見積りを依頼する場合の、注意点などについて解説していきます。初めて溶接加工の外注を検討している方は、依頼の流れも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

溶接加工とは

溶接加工については、日本溶接協会では下記のように定められています。

材料に応じて、接合部が連続性を持つように、熱又は圧力もしくはその両者を加え、さらに、必要があれば適当な溶加材を加えて、部材を接合する方法。

簡単にいうと、2つ以上の金属に何らかの方法で熱を加えて溶かし、2つの素材をつなぎ合わせるための加工方法です。

溶接加工には、大きく分けて以下の3つに分類されます。

  1. 融接
  2. 圧接
  3. ろう接

一般的に溶接と言われてイメージする「アーク溶接」や「TIG溶接」などは、この中でも融接の分類に入ります。

加工方法によって、加工にかかる時間が変わり、対応できる材質も異なります。見積りを出す際には、メーカーがどのような溶接加工を得意としているのか把握して、見積り依頼を出すようにしましょう。

溶接加工の見積りはどうやって決まる?

溶接加工の見積りは、加工会社によっても異なりますが、大きく分けて以下の2つの項目が大切になります。

  1. 使用金属
  2. 加工時間

では、使用する金属や加工時間によってどのように見積りが変わるのか、解説していきましょう。

使用する金属

製品に使う金属によって、見積り金額が変わる場合が多いです。鉄を素材とする場合には素材の単価が安いため、比較的見積りが安くなります。ですが、チタン合金などの素材価格が高い場合には、それに伴って見積りは高額になってしまうでしょう。

素材にはそれぞれのメリットやデメリットがあるため、製品に合わせて使用する金属を選んでください。

加工する際の時間

加工にかかる時間がどのくらいかによって見積りは変わってきます。より複雑な加工になるほど、加工単価が高くなるので、それだけ見積り価格は高額になるでしょう。多くの会社が溶接加工の加工単価は公表していません。

そのため、加工する製品や使用する素材、特殊な加工方法の有無などで、見積りが変わります。正確な見積りをもらう為にも、見積り依頼をする際に要望や条件などを細かく伝えるようにしましょう。

溶接加工の見積りを依頼する際の注意点

溶接加工の見積りを依頼する場合には、事前に確認しておきたい3つの注意点があります。メーカーとのトラブルを避けるためにも、しっかりと把握しておきましょう。

1.溶接を行った場所は変色する

ひとつ目の注意点は、溶接を行った場所は少し変色をしてしまうことです。溶接加工では金属を溶かして接合するため、素材に高熱が加わります。熱が加わると空気中にある酸素や窒素と反応しやすくなってしまいます。その結果、金属の表面が酸化、窒化することで、溶接部分周辺が変色してしまうのです。

溶接加工をするうえでは変色はどうしようもありません。ただ、業者によっては、このような変色を綺麗に取り除いてくれる場合もあります。事前に、変色した部分への対応を、確認しておくのもおすすめです。

2.熟練度で品質に差が生まれる

自動で行う溶接加工以外は、担当者の熟練度によって品質に差が出る場合が多いです。たとえば、溶接方法や使用金属によって、金属同士を溶かすために母材に合わせた最適な温度を見極めなければなりません。

また、アーク溶接やTIG溶接などでは、溶接方法によって溶接棒を送っていく適切な速度があります。適した速度で動かさなければ、溶接した部分に空気が入り込んでしまい、繋いでいる部分の強度が弱くなってしまうこともあります。

このように、溶接加工では熟練度によって温度の見極め方や溶接棒の動かし方などが異なるため、品質自体に差が出てしまうことが想定されます。

3.加工法によっては形状が限定されることも

加工方法によっては、製品の形状が限定されてしまう場合があります。

たとえば、「摩擦圧接溶接」と呼ばれる加工方法であれば、材料を回転させながらの加工が必要です。そのため、回転が可能で、力が均一にかかるような形状でなければ加工ができません。このように、加工方法によっては、依頼できる製品の形状が限定されてしまう場合があるので、注意しておきましょう。

参考記事

溶接加工の種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

溶接の種類はこの記事だけでOK!3分でわかる金属加工で代表的溶接方法!

参考記事

摩擦圧接の加工方法については、下記の記事で詳しく解説しているので、そちらをご覧ください。

第3回 圧接とは?代表的な種類や特徴、メリット・デメリットを解説

実際に溶接加工の見積り依頼する際の流れ

初めて溶接加工の見積り依頼を出す場合には、どのような流れで依頼を出せばいいのかわからないでしょう。では実際に、見積り依頼する時の流れを、大きく分けて3つのステップで紹介していきます。

1.工場に依頼を出す

まずは、依頼したい工場のお問い合わせフォームなどから注文依頼を出しましょう。会社名などはもちろんですが、何をいつどのような溶接方法で、製品を加工して欲しいかなどを明確に伝えてください。

事前に会社をしっかりリサーチして、製品にあった溶接加工をしているメーカーを選びましょう。

2.見積り回答を見て発注するかを決める

後日依頼した会社からきた見積り回答をみて、予算や納期などが求めている条件に合えば発注するかを決めましょう。見積りは、同じ内容で複数社に出すのがおすすめです。他社と比べながら、なるべく低い見積りで高品質の製品を納入してくれる会社を選択してください。

企業によっては、この段階で対面での打ち合わせやオンラインでの打ち合わせに移る場合もあります。

3.製作開始・納品

依頼先との条件が合い、発注をすればメーカーが制作を開始していきます。あとは、進捗を確認しつつ納品を待つことになるでしょう。その後、届けられた製品の溶接部分に何も問題がなければ、納品完了です。

まとめ

今回は、溶接加工の見積りを出す場合の注意点や依頼の流れについてご紹介しました。溶接加工の見積りは、製品に使用する金属や加工範囲などで金額が変わります。メーカーによって、対応できる溶接加工が異なるので事前にきちんとリサーチをしましょう。ただ、溶接加工を依頼するメーカーを探すことや、営業のやり取りには非常に工数がかかり大変です。

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